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2020/11/23(月) 18:12

泥縄式のGo To トラベル 予約一時停止 用意周到の準備 必要ではなかったか

投稿者:  牧田司

 政府は11月21日、新型コロナ感染者が全国で爆発的に増加していることを受け、withコロナの目玉政策である観光事業支援事業「Go Toトラベル」の運用を見直し、感染拡大地域を目的地とする旅行の新規予約を一時停止する方向を示した。

 腑に落ちないのは、新型コロナの収束の兆しすら見えない段階で1兆1,248億円の国費を投入し、Go To イート、地域クーポン券や割安旅行プランなどと組み合わせると豪華ホテルがただ同然で宿泊できるキャンペーンを張ったことの是非だし、それを煽った関係者やメディアの責任はあるのかないのかを問いたい。

 記者は10月11日付で、東京都のオープンデータから感染者が3日連続で200人超となり、10代の感染者が過去最高を記録するなど各年代に広がっていると書いた。「経済活動が活発化し、人の移動が増え、感染拡大のリスクを高める機会が増加することにより、新規陽性者数が再び増加傾向となることが懸念される」と、都のモニタリング会議の専門家の声も紹介した。

 11月に入って東京都だけでなく地方で感染が拡大したときも、政府は感染拡大とGo Toトラベルとの関連について明言を避けていた。

 例えば、11月19日に行われた政府の厚生労働省の新型コロナウイルス感染症対策アドバイザリーボードの第14回会議では、次のような資料が提出された。「グレンジャー因果性は確認東京発の航空旅客数が北海道・沖縄県・福岡県の感染者数に与える影響について、統計的観点から検証したところ、いずれについてもグレンジャー因果性は確認できなかった」と。新型コロナ感染とGo To トラベルの関連は明確でないという資料だ。

 これを補完する発表もあった。11月16日、「加藤官房長官は、観光支援策『Go Toトラベル』キャンペーンの利用者のうち、新型コロナウイルスの感染が確認された人は合計で148人となり、この6日間で17人増えたことを明らかにしました」(TBSテレビニュース)とある。

 観光庁が発表した直近のデータによるとGo Toトラベルの利用人泊者(7月22日~10月31日)は約4,000万人だ。加藤官房長官が発表した148人と観光庁の資料は一致しないのだろうが、つまるところGo Toトラベルの利用者約4,000万人のうち新型コロナ感染した人はわずか0.00037%(人口10万人当たり0.37人)であることを強調したかったのではないか。

 確かに、数字だけは少ないと受け取れる。11月22日現在のわが国の新型コロナ感染者は約13万人で、人口比にして0.1%(10万人当たり103.5人)だ。

 しかし、この約13万人は1月からの累計だ。これに対してGo Toトラベルは東京を除き7月22日からだし、東京都は10月1日からだ。1年近くの累計数とわずか3~4カ月の数値を同列には扱えない。さらにまた、全国の新型コロナ感染者の不明率は50%近いと思われるが、Go Toトラベルの148人はこの経路不明者は含まれるのか含まれないのかいま一つ明確でない。

 1兆1,248億円をかけて観光業を支援するのはよく分かる。予算消化率は10%を超えた段階(10月15日現在)で、感染拡大に慌てふためき、急場しのぎの新規予約の一時停止を決めるのは狼狽だけが際立ち、キャンペーンの先が思いやられる。

 専門家も「エビデンスが得られていない」と指摘しているように、調査体制にも問題があるのではないか。大前提である感染拡大防止の観点が欠落しているような気がしてならない。〝見えない敵〟と戦うのだから用意周到な準備が必要ではなかったのか。泥縄式の対応はみっともない。

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