積水ハウス(事業比率80%)と清水総合開発(同20%)の「世田谷喜多見ザ・テラス」を見学した。小田急線喜多見駅から徒歩3分の全134戸で、積水ハウスの〝5本の樹〟計画を採用し、光と風を取り込んだプランが優れている。昨年末から第1期58戸が販売開始されており、現在約40戸が成約済み。50歳以上の購入比率が4割を超えているのが特徴だ。
物件は、小田急電鉄小田原線喜多見駅から徒歩3分、世田谷区喜多見9丁目の第一種低層住居専用地域に位置する敷地面積約6,300㎡、地上5階地下1階建て全134戸。専有面積は59.10~88.89㎡、現在分譲中の住戸(9戸)の価格は6,498万~8,798万円(61.90~84.64㎡)、坪単価は375万円。竣工予定は2022年1月中旬。設計・監理はINA新建築研究所。施工は東急建設。
現地は社宅跡地で、三方に接道。用途地域は西側道路に面した敷地の一部は第一種中高層住居専用地域だが、ほとんどが第一種低層住居専用地域。
建物は中庭を中央に配したロの字型で、三方に〝5本の樹〟計画による植栽を施し、住戸内に光と風を取り込むため吹き抜け(ボイド)を26か所に設置している。
4階部分の住戸プランは、南向きが10戸、西向きが7戸、東向きが5戸、中庭に面した南向きが9戸。29戸が1・2階のメゾネットプラン。
主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高は2450~2500ミリ、食洗器、ディスポーザー、御影石キッチン天板、メーターモジュール廊下幅など。共用施設としてコモン&ワークスペースを設置している。
積水ハウス東京マンション事業部部長・伊藤啓一氏は、「駅近の1低層でこれほどの規模の用地は、世田谷区内では今後まず取得できないはずです。地元の人はよくご存じの土地で、いよいよ始まったかと待たれていた方がかなりいらっしゃる。50歳以上の購入比率が4割強というのも特徴です。プランにはワークスペースやこどもの遊びスペースを設けたメゾネットやユニバーサルデザイン、キッズデザインなども採用しています」などと語った。
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住戸内に光と風を取り込む吹き抜け(ボイド)をこれほどたくさん設けたマンションを久々に見た。昭和50年代後半から60年代にかけて各社が競って採用したが、最近はめったにお目にかかれなくなった。建築コストを抑えるためだ。
メゾネットタイプが多いのも特徴の一つだ。コロナ禍で在宅勤務用の個室を求めるユーザーが激増しており、このプランはぴったりか。
価格について。ここが成城学園アドレスだったら坪単価は600万円でも安いと思うが、喜多見のこの場所でこの計画であれば決して高くない。トータルとしての質は間違いなく高い。これを訴えきれるかどうか。
記者は同社のマンションを結構見学しているので驚きはしないのだが、メーターモジュールの廊下幅、プッシュプル・壁面セットバックドア、指詰めストッパードアなどユニバーサルデザイン、キッズデザインをふんだんに盛り込んでいることを強調しておきたい。竣工したら〝5本の樹〟計画や出隅入隅を多用した外観は存在感を示すはずだ。
参考までに、積水ハウス「グランドメゾン狛江」と「グランドメゾン江古田の杜」の記事を添付する。これも伊藤氏から説明を受けた物件だ。