三井不動産の2021年3月期第3四半期決算は増収減益となったが、分譲セグメントでは、海外住宅を含む投資家向けの売上高が前年同期比3倍増の2,769億円となり、分譲住宅の2,495億円を上回った。通期でも投資向けが初めて(※)分譲を上回る可能性が強まった。
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別表・グラフに過去14年度の同社の分譲住宅と投資向け物件の売上高推移を示した。分譲住宅は多少の変動はあるが、市場構造の変化を受け減少傾向にあるが、投資向けはここ数年増加傾向にある。2020年3月期は分譲住宅の2,686億円に対して、投資向けは2,554億円と132億円差に迫っている。
そして今期第3四半期決算では海外物件や、賃貸オフィス、物量、賃貸マンションなど投資向けが分譲を上回った。残り3か月でどうなるかは不明だが、分譲住宅の計上予定の進捗率は97%に達しており、通期でも投資向け物件の売り上げが分譲住宅を初めて上回ることがほぼ確定した。
※2007年3月期以前の決算数字は調べていないが、バブル期も含めて分譲住宅が投資向けより低かったというのはまずありえない
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記者は、最近のマンション市場は新型コロナの影響を受け供給量が激減し、低迷しているかのように伝えられているのは、表層的な一面でしかないと思っている。約6万戸の住宅着工戸数の半分しか供給されていないはずはない。
残りの約3万戸はどこにいったのかは謎だが、今回の三井不動産の決算発表でもわかるようにも、当初分譲予定の少なくない戸数が賃貸やリート市場などへ流れていると推測する。海外住宅も数値の変化に大きな影響を与えているはずだ。
一方で、三井不動産の投資向け物件はどのようなものか、取得する機関投資家などは何を基準に取得しているのか、外資はどう動くのか、活況を呈す株式市場との関連はあるのかどうか、新型コロナとの関連はどうなのか、リスクも少なくない分譲の質は置き去りにされるのか…誰か解明してほしい。
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