ポラスグループ中央住宅が分譲中のコンパクトマンション「ルピアシェリール三郷中央」を見学した。三郷中央駅から徒歩4分の全57戸で、坪単価約280万円(同駅圏最高値のはず)ながらこれまで20戸を成約するなど好調なスタートを切った。きめ細かなプラン提案が評価されているようだ。
物件は、つくばエクスプレス三郷中央駅から徒歩4分、三郷市中央三丁目の第1種住居地域に位置する12階建て全57戸。2月下旬に販売予定の第3期(戸数未定)の専有面積は32.03~38.41㎡、予定価格は2,400万円台~3,400万円台(最多価格帯3,000万円台)。坪単価は約280万円。竣工予定は2021年10月中旬。駐車場は平置き18台。施工は川村工営。販売代理は長谷工アーベスト。
昨年12月から分譲を開始しており、これまでに20戸を成約している。
現地は、敷地南側、東側、北側に接道。つくばエクスプレス線路に近接しているが、商業エリアから外れているので嫌悪施設や日照を疎外する建物などは周辺にない。
住戸プランは全戸南向きで、1フロア5戸構成。すべて30㎡台だが、間口はコンパクトにしては広い4.3~4.8m確保されている。
主な基本性能・設備仕様は二重床・二重天井、リビング天井高2400ミリ、備え付け食器棚、シューズインクローク(SC)換気窓、浴室窓(全住戸の約8割)、キッチンかくれんBOX、リモートワーク用「イコイノ」(Aタイプメニュープラン)、ホスクリーン、埋め込み引手、アーチウォール(一部のみ)、ソフトクローズ機能付き引き戸、どこでもスピーカー、玄関鏡など。
同社マインドスクェア事業部マンションDv営業企画課・塚本雅美氏は、「三郷中央駅圏ではファミリータイプに次いで2棟目で、コンパクトマンションは3棟目です。コンパクトマンションでは初めてシューズインクロークに換気窓を設置したほか玄関鏡、キッチン食器棚、アーチウォール、どこでもスピーカーなどを設置し、リモートワーク用に約2帖台の『イコイノ』を提案するなど、より進化した設備仕様としたのが特徴です。来場者は30代から50代の女性が中心ですが、地縁のない方が多い。毎月約30組の来場がありますので、想定を上回る人気」と話している。
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記者は三郷中央駅が開業した2005年から毎年10回くらい乗り降りしている。荒川の河川敷で行われるRBA野球の取材のためだ。戸建てやマンションの取材も結構してきた。戸建てはポラスが他社を圧倒している。これまで600棟くらい供給しているというから、マンション・戸建ての供給量ではポラスがナンバーワンではないか。マンションは、かつて人気になったマンションは駅前の大京「ザ・ライオンズ三郷中央」424戸などいくつかはあるが、苦戦する物件のほうがはるかに多い。
なぜか。これまでの物件の坪単価は200万円以下で、価格の安いのは魅力なのだが、駅前の生活利便施設が貧弱(失礼)なのが難点だ。タバコが吸える飲食店は一つもないはずだ。
なので、同社がコンパクトを分譲すると昨年聞いたときは、コンパクトなので単価は安くなるはずもなく苦戦は必至だとみていた。
ところがどうだ。坪単価約280万円(これは想定内)で分譲開始約2カ月半で20戸を成約し、しかも毎月約30件の来場があるというではないか。予想は大外れだ。
予想を外した理由は考えられなくもない。地縁のある人よりない人の方が多いということがすべてを物語っている。もともとコンパクトは、どこからお客さんが来場するか読めない部分がある。この物件はその典型例だ。
東京駅へ30分圏内という利便性、価格の安さ(都内のコンパクトは軒並み坪400万円以上になりつつある)、広さを求める顧客ニーズを記者はうっかりしていたということだ。
これだけではない。プランのよさだ。全住戸のシューズインクローク(SC)に換気窓と、8割の住戸の浴室に窓を設けたマンションなどファミリータイプも含めて記者は数えるほどしか知らない。コンパクトで5面、6面の採光・換気窓付きなどまずありえないプランだ。
まだある。「イコイノ」だ。壁面にレール付きの棚が設置されており、いろいろな小物などが置けるようになっていた。セレクトメニューだが、これをオプションで設置しようとすれば50万円はするのではないか。これまでリモートワーク用のスペースはかなり見てきたが、コスト・機能性はどこにも負けないはずだ。
このほか、塚本氏は浴室で音楽が聴けるどこでもスピーカーや電動歯ブラシが充電でき収納できる三面鏡をアピールしたが、これはよく分からない。評価を留保する。記者は風呂が好きではなく、入る前からとにかく早く出ることだけをいつも考えている。浴槽に入る習慣は冬場以外なく、浴槽に入ると眠ってしまい叩き起こされるまで気が付かない。記者にとってはスピーカーは無用の長物だ。電動歯ブラシも使ったことは一度もない。そんなにいいものか。
以上、くだくだと書いてきたが、コンパクトに注力しているデベロッパーの皆さんもこの物件のプランは参考になるはず。
ついでに問題提起を一つ。2021年の税制改正でローン控除対象を「50㎡以上」から「40㎡以上」に緩和したのはいいのだが、これは税の公平性から言って不公平だ。業界はなぜ40㎡で満足するのか、単身女性も男性もどうして立ち上がらないのか。記者はずっと前から居住用であれば30㎡に引き下げるべきだと主張してきた。Don’t Be Silent!
ポラス中央住宅 コンパクトマンション「南浦和」 順調な売れ行き(2020/10/16)