ポラスグループのポラス暮し科学研究所は3月8日、耐震・制震の性能を併せ持つ高性能耐力壁「Endure Wall (エンダーウォール)」を開発し、すでに注文住宅への採用も決まったと発表した。同日、同研究所内の実大実験施設で、従来の耐力壁との性能の違いが分かる記者見学会を行った。
「Endure Wall」は、複数回の地震にも耐えられる強度を持つ耐力壁と、地震の揺れを吸収する高い剛性を持つ特殊な「性能復元材」KOA制震ダンパーを組み合わせることで、コストパフォーマンスに優れ、設計やデザインの自由度も高めることを可能としたのが特徴。
同じ耐震性能を持つ30~40坪の一般的な住宅の場合、従来では22枚の耐力壁が必要なのを、「Endure Wall」はバランスよく配置すれば4枚で済ますことを可能とした。価格は1戸当たり約40万円(坪単価1万円)。すでに4件の成約があるという。木造軸組み工法と2×4工法に対応する。
従来型の耐力壁を用いた建物と「Endure Wall」を組み込んだ建物に阪神淡路大震災の揺れの50と70%の揺れ(中地震)を2回、熊本地震の前震と本震(大地震)の揺れを2回、合計4回それぞれ与えた実験の結果、「Endure Wall」を用いた建物の変形は小さく、構造性能を低下させないことが実証されたという。
現在の耐力壁は熊本地震のような大きな地震が度重なって起きた場合、耐震性が弱まるとされている。