積水ハウスは4月20日、京都府木津川市にある総合住生活研究の「関西 住まいの夢工場」に新設したライフスタイル型モデルハウス「みんなの暮らし 4stories」の記者発表会・内覧会を行った。モデルハウスは4月29日にオープンする。
「みんなの暮らし 4stories」は、理想の住まいを説明的に伝える従来型のモデルハウスから脱却し、人が本当に住んでいるかのようなリアルな生活・暮らしを提案することで「共感」を呼ぶことをコンセプトにしている。
今回新たにオープンするモデルハウスは、二世帯向けの「高橋さんち。」、自分と家族の「王国」を築く富裕層向けの「財前さんち。」、アクティブシニア向けの「山本さんち。」、子育て&共働き世帯向けの「小林さんち。」の4棟。
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同社から取材の案内が届いたとき、小説の舞台にもたびたび登場する木津川を観たいものだと参加も考えたが、ライフスタイル型モデルハウスは昨年8月に「関東 住まいの夢工場」で見学しており、コロナ禍で交通費と時間をかける価値とを天秤にかけて断念した。ところが、発表会の数日前に、オンラインでも参加を受け付けるとのメールが届いたので参加した。
ただ、この日(4月20日)、記者はスウェーデンハウスの「世界初の機能を搭載したオンライン住宅展示場システム発表会」にリアルで参加することも決めていたので、積水ハウスのオンライン見学会は途中で退席した。その際、以下のような率直な感想をチャットで送った。
「河崎さん(この日、施設の説明を行った同社執行役員住生活研究所長・河崎由美子氏)は『共感』と仰いました。わたしは、モデルハウスに使用されている床材、壁材、建具家具などの素材がなんであるか、天井の高さや階段の広さなどを具体的に伝え、空気感が感じられるような語り、演出も必要だと感じます。
これは御社だけでなく、オンライン説明会はやや説明が過ぎるというのが率直な感想です。一番良かったのは『樟の一枚板』でした。クスノキの香りを伝えればもっとよかったし、『豪華』というのは『美しい花』と一緒。『目も彩な』というようにどのように豪華なのか伝えるべき。古河の見学会での『小林さんち。』を説明された方は最高によかった」と。
このチャットは少し補足する必要がある。「御社だけでなく」としたのは、あるデベロッパーのオンラインでのマンションプロジェクト発表会を視聴したときも同じような感想を抱いた。今回の発表会は「(同社)広報室社員の携帯端末からの簡易配信のため、音声・映像などの乱れなど閲覧しづらい部分もあるかと思いますが」ということを割り引いても、「4stories」のよさを伝えきれていないと感じた。一方通行のオンラインの課題だろう。
「一番良かったのは『樟の一枚板』」とも書いたが、これは「豪華」なバーカウンターを担当者が紹介したものだ。これは分かる人には分かるだろうが、その豪華さをどこまで伝えられたか疑問だ。
「目も彩な」は、同社が2018年に「住生活研究所」を設立し、その発表会を行ったとき、河崎由美子所長の衣服に記者は感動を覚え、次のように書いた。「この日の河崎氏が着ていた洋服がまた目もあやな、えもいえぬ『赤』だった。本人に聞いたら『タイシルクです。70代の母が着ていたワンピースをツーピースに仕立て直したものです。〝幸せ〟の継承です』と語った」
ここで「河崎氏が美しい」と書いていたら、ご本人も含め顰蹙ものだったに違いない。
「古河の見学会での『小林さんち。』」は、添付した記事を読んでいただきたい。説明したのは住生活研究所課長・木野村昭彦氏(41=当時)だった。木野村氏は最初に「リアルを表現した」と短い言葉で特徴を言い切り、自らの子育て・共働きをリアルに語った。
そんな経験をしているのでチャットで注文を付けた。
ただ、素晴らしい説明もあった。「山本さんち。」で担当者の方は、敷地に植わっている、「山本さん」が植えたアカマツについて「アカマツの葉っぱ(二葉松)は、枯れても離れずにくっついている」という主旨の説明をした。熟年夫婦をアカマツの枯葉に例えるこうした意表を突く言葉にみんな共感を覚える。別れたくてしょうがない妻、あるいは夫もドキリとするはずだ。
とりとめないことを書いた。この続きはスウェーデンハウスの記事で書く。積水ハウスが伝えられなかったものをスウェーデンハウスは伝えた。