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2021/06/30(水) 13:29

ポラスグループ 2021年3月期 増収増益 分譲戸建てがけん引 契約棟数は3,212棟

投稿者:  牧田司

 ポラスグループは6月28日、2021年3月期決算を発表。売上高は2,329億円(前期比3.2%増)、営業利益163億円(同18.9%増)、経常利益176億円(同14.8%増)、純利益50億円(同14.8%増)となり、5期連続で売上高を更新、純利益、経常利益とも2年連続で過去最高を更新した。

 分譲戸建てが好調で業績をけん引し、契約棟数は3,212戸(前期比27.7%増)と過去最高となった。マンションも首都圏供給ランキングベスト10に2年連続で入った。

 プレカットは、加工ラインの新設・更新などにより外販受注棟数は38,912棟となり過去最高を更新した。

 このほか、注文住宅、非木造住宅建築物、住宅展示場での受注棟数、リフォームなども概ね順調に推移した。

 2022年3月期業績予想は、売上高2,400億円(前期比3.0%増)、営業利益170億円(同3.8%増)、経常利益180億円(同1.8%増)、純利益51億円(同1.5%増)を見込んでいる。

◇       ◆     ◇

 記者がもっとも関心がある分譲戸建ての業績について、中央住宅・品川典久社長は、「コロナが発生した当初、住宅は全く売れないのではないかと危惧したが、5月下旬以降はネットの反響数が前年の倍以上に増加し、完成在庫は前期末336戸だったのが、現在は66戸に減少している。当社の商圏エリアでは、本拠地の越谷が伸び悩んでいるが、埼玉エリアの京浜東北・埼京線、東武東上線、松戸・城東エリアの常磐線、京葉線が伸びた。マンションの引き渡し戸数も前期より5.6%増で安定してきた」などと述べ、「大事なのは使命。当社は『住まい価値創造企業』をロゴに掲げているように、より豊かでいい街づくりを最大の目標としている。棟数ではない」と強調した。

 これを受けて中内 晃次郎ポラスグループ代表も「(同業他社は)ポラテックのお客さんでもあるのであまり言えないのだが、当社は上場企業のように数字を最優先せず、上棟作業やアフターメンテナンスも社員が行っており、そこの部分を重要視している。人も育てながら力量の範囲内でじわじわと安定的に業績を伸ばすことを経営の基本に据えている」と語った。

 同社の幹部がいつも口にするのはこの企業理念の実践だが、今回の決算数字にも、住宅着工が減少している中、同社の商圏での他社物件より500万円前後価格が高いにもかかわらず、シェアを伸ばし(2019年度10.3%⇒2020年度12.7%)、着工棟数を増やしている(2019年度2,300棟⇒2020年度2,455棟)のは、この理念を実践しているからだと思う。

 両氏の話を聞きながら記者の念頭にあったのは、分譲戸建て御三家の数字だ。ご存じのように、飯田グループホールディングスの2021年3月期決算のグループ販売棟数は46,620棟だ。2020年度の全国分譲戸建ての着工戸数は129,351戸だから、単純比較はできないにしろ市場の36.0%を占めている。1戸当たりの価格も全国展開しているからでもあるが、2,720万円と他社と比較できないほど安い。

 瞬く間に第2位の座に躍り出たオープンハウスの2020年9月期の販売棟数は、オープンハウス・ディベロップメントの2,804戸とホーク・ワンの2,477戸を合わせ5,281戸だ。オープンハウス・ディベロップメントは大都市圏での展開なので1戸当たりの価格は4,160万円と高いが、首都圏のマンション平均価格より2,000万円以上安い。

 ケイアイスター不動産の2021年3月期の販売棟数は4,457棟で、これまで3位だったポラスグループを抜き去った。

 住宅は〝幸せを売る〟商売でもあるし、記者は最近この3社の分譲戸建てを見学していないので軽々には言えないが、価格の安さと質の担保や緑環境の保全とはどう結びつくのか、それとも背馳するのか、永遠のテーマかもしれない。

 ポラスに期待したいのは、行政や同業他社とも連携して埼玉県の緑環境の改善・向上に取り組んでほしいことだ。同社の分譲戸建てが売れているのは、街並みを整備して差別化を図っているからでもあるが、同時に地域全体の価値向上にも貢献する使命を担っているはずだ。

 同社か商圏とする越谷、草加、八潮、さいたま市、戸田市、川口市、蕨市、松戸市、城東はグロス志向の強いエリアだ。当然、競争も激しい。一方で、これらのエリアの緑環境は都内の世田谷や杉並などと比べて桁違いに貧しい。この前、蕨市の緑環境について書いたので、こちらも読んでいただきたい。

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 最近の分譲戸建て業界の動きとして、オープンハウス、ケイアイスター不動産、三栄建築設計の3社が4月13日付で「「一般社団法人日本木造分譲住宅協会」を設立し、理事長に三栄建築設計の小池信三氏が就任したと発表した。

 木造分譲住宅における国産木材の利用を促進することで、国内の森林が持つ多面的機能の維持回復に資する活動を行い、SDGsの課題解決にも貢献するというのが目的のようだ。

 詳細は分からないが、結構なことだ。ただ、どうして3社のみか、他社に呼びかけを行って断られたか、それとも排除したのか。機会があったら聞いてみたい。

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