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2021/09/14(火) 21:36

「看取り」も行う新発想 ファーストコーポ・中央住宅・中央日土地 第一弾「南大沢」

投稿者:  牧田司

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左からファーストエボリューション社長・須藤憲綱氏、品川氏、小島氏、高橋氏、中村氏、初澤氏(青山グランドホテルで)

 ファーストコーポレーションと中央住宅、中央日本土地建物は9月14日、これまでにないコンセプトの分譲マンションプロジェクト「ウェルビーイングシティ構想」の記者発表会を開催し、第一弾の「CANVAS南大沢」(181戸)のモデルルームを10月2日にオープンすると発表した。

 「CANVAS」は、暮らす人の身体的・精神的・社会的な健康状態がバランスよく調和の取れた状態であることを意味する概念「ウェルビーイング」をコンセプトに、様々なサービスの提供を通じて〈〝自分に正直でいい、自分らしく〟をかなえる暮し>を目指す。

 発表会の冒頭、登壇したファーストコーポレーション代表取締役社長・中村利秋氏は、「従来の分譲マンションは分譲すれば、その後は管理会社に管理を委託し、入居者と関わることはなかった。新規事業を立ち上げるべく検討を重ねてきた結果、生まれた今回のプロジェクトは、人々の暮らしを支える様々なサービスを提供することで持続可能な社会の構築の実現を目指すもの。3社が力を合わせて成功させたい」と語った。

 続いて、中央住宅代表取締役社長・品川典久氏は、「2年前、中村社長からお話を伺い、地域の幸せ、豊かさを追求するという当社の理念に合致すると事業参画させていただくことを決定した。大きな第一歩としたい」と話した。

 中央日本土地建物専務執行役員・初澤剛氏は、「今回の新ジャンルは持続的、多面的な未来のシニア住宅時代を切り開くものとして育てていきたい」と語った。

 発表会ではこのあと、元フジテレビアナウンサーの小島奈津子氏と後輩の高橋真麻氏によるトークセッションが行われた。

 「CANVAS南大沢」は、京王相模原線多摩境駅から徒歩16分、南大沢駅からバス7分徒歩3分、八王子市鑓水二丁目に位置する9階建て全181戸。専有面積は32.47~82.35㎡、価格は未定。竣工予定は2022年10月。設計・施工はファーストコーポレーション。販売代理は伊藤忠ハウジング。

 ターゲットは50代から70代で、年齢制限を設けず、子ども世代、孫世代との同居も想定。一般にも開放するレストランを併設しシェフサービスを行うほか、杏林大学病院-新川すみれクリニックとの24時間相談、リモート会議室、節税・自叙伝相談、フィットネス、大浴場、リゾートホテル宿泊優遇、入居者専用畑など多彩なサービスを提供する。橋本駅と南大沢駅を行き来するシャトルバスを運行する予定。

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「CANVAS南大沢」

◇       ◆     ◇

 上段は、プレス・リリースをコピペし、3氏が話したことをそのまま紹介した。ここまで読まれた方は、どのようなマンションかさっぱり理解できないはずだ。発表会に参加された約20名の記者の方も同様のはずだ。記者は発表会が始まってから約30分間、各氏の話を必死でメモし、コンセプト動画も見た。意気込みはよく分かるのだが、肝心の中身がよくわからない。どのようなマンションを分譲するのかさっぱり理解できなかった。

 似たようなサービスは、フージャースコーポレーションやコスモスイニシアが展開しているシニア向け所有権分譲マンションや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などにもあるが、シニア向け所有権付き分譲は年齢制限があり、どちらかといえば連れ合いをなくしたお年寄りが一人で入居するケースが圧倒的に多いはずで(コスモスイニシアは都市型なので夫婦入居比率は高いか)、老人ホームもサ高住も法律の規制が多く、そもそも老人ホームは利用権付きが圧倒的に多く、サ高住は賃貸だ。

 これらに対し、新構想は住、食、働、遊、学、健、看の7つのテーマを掲げている。そんなサービスを付加したらとんでもない価格になるのではないかなどと考え、出口、結論がさっぱり見通せず、イライラのみが募った。

 すると突如、鮮やかな「赤」(朱と呼ぶべきか)のドレスと、対照的な純白のドレスをそれぞれまとった女性二人が登壇したではないか。記者は近眼と老眼のため視力は0.2で、しかも遠目であったので容姿などは全然わからなかったのだが、美しさに見とれそれをよしとし、核心に迫る話題を提供してくれるのではないかと期待した。

 しかし、お二人からはそんな話はほとんど出ず、明るく元気なフジテレビパワーなどの話に花が咲いた。

 (お二人は元フジテレビのアナウンサーであることは事前に知らされてはいたが、昔はプロ野球ニュースや競馬中継はよく観たが、いまはお笑い番組など興味はないし、最近はほとんど観ないので、小島さんも高橋さんもどのような方か全く知らなかった。小島さんは50歳以上であることを、高橋さんはコロナ禍で出産したことを明かした)

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小島さん(左)と高橋さん(共同PR提供=知らないのは記者だけ。かみさんは「昔のフジテレビのトップアナウンサー」と言ってました)

◇       ◆     ◇

 ここまで訳が分からない記事を辛抱強く読んでいただいた読者のみなさんに感謝します。これからが本番だ。まとまりを欠く起承転結がでたらめな発表会に対し、記者は皮肉を込めて「若い赤と白の女性の方が登場されて、もうコンセプトなとどうでもいいと思いましたが、もう少し具体的なプランを説明していただきたい。坪単価は200万円を下回ると思いますがいかがか」と挑発的な質問をした。

 あにはからんや、回答したのは正面に居並ぶお三方ではなく、袖に控えていた方が「価格は未定。申し上げられませんが、コンセプトは老人ホームに近い」と答えた。

 …なるほど。記者はもう少しヒントを得ようとその方に駆け寄った。名刺には「ファーストコーポレーション開発事業本部 第一開発事業部長兼シニア専任部長 細川潤」とあった。細川氏は、シニアに限定したくない、「老人」などの文言も使いたくない、看取りもやる、「介護」の問題はお年寄りだけではないなどと話した。細川氏は、自らトータルブレイン出身であることも明かした。

 これですべての疑問が氷解した。老人ホームでもサ高住でもシニア向けでもない新しい概念のマンションがどのようなものかおぼろげながら見えてきた。「看取り」までやるマンションなど記者も読者の皆さんも考えたことなどないはずだ。3社はそれをやるというのだ。

 まだ詳細は分からないが、記者は質問した「坪単価200万円以下」を取り消し、上方修正する。坪単価250万円は高すぎるような気がする。坪230万円でどうか。コンセプトの具体的な中身を分かりやすく訴えきれれば広範な支持を得るかもしれない。老人ホーム、サ高住、シニア向け分譲マンションの盲点をつく新しい提案になる可能性はありそうだ。

高級住宅街の一角に シニア向けフージャース他「デュオセーヌ緑山」(2016/10/11)

サ高住は終の棲家になるか 日比谷花壇・東建不販「グレイプスガーデン西新井大師」(2014/9/10)

 

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