東日本不動産流通機構(東日本レインズ)は12月10日、首都圏の2021年11月の不動産流通市場の動向についてまとめ発表した。
中古マンションの成約件数は前年比5.6%減の3,416件と5か月連続で前年同月を下回った。成約坪単価は前年比7.1%上昇の201.0万円で、20年5月から19か月連続上昇し、成約価格は同3.8%上昇の3,897万円となり、20年6月から18か月連続で前年同月を上回った。専有面積は前年比で3.1%縮小し63.98㎡となっている。
中古戸建ての成約件数は前年比5.0%減の1,227件で、4か月連続で前年同月を下回った。成約価格は前年比10.1%上昇の3,579万円となり13か月連続で前年同月を上回った。土地面積、建物面積とも前年同月比で縮小した。
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首都圏の中古マンションの成約単価の上昇が続いている。成約坪単価は新型コロナの影響で昨年4月に167.9万円となり、同年1月の187.8万円から10.6%下落したが、その後は回復し、今年9月にはレインズデータのアーカイブで公表されている2002年以降では最高値の坪205.0万円を記録した。(関係者によると1990年5月の成約単価336.6万円が過去最高値)
11月の成約単価を地域別にみると、東京都区部は前年比6.9%上昇の296.5万円となり、20年5月から19か月連続で前年同月を上回った。多摩は152.2万円で、前年比プラス13.3%の2ケタ上昇、9か月連続で前年同月を上回った。
神奈川県の横浜・川崎市は前年比7.9%上昇の179.2万円で、20年6月から18か月連続で前年同月を上回った。神奈川県他は前年比16.5%の2ケタ上昇の115.5万円で、12か月連続で前年同月を上回った。
埼玉県は前年比11.4%上昇の126.4万円となり、20年6月から18か月連続で前年同月を上回った。
千葉県は前年比10.8%上昇の113.0万円となり、20年8月から16か月連続で前年同月を上回っている。
また、新規登録単価は前年比15.9%上昇の坪224.7万円となり、8か月連続して2けた上昇、20年10月から14か月連続で前年同月を上回るとともに過去最高値となった。
在庫坪単価は前年同月比14.8%上昇の過去最高値の230.9万円となり、7か月連続の2けた上昇、18年2月から46か月連続で前年同月を上回った。
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この数値をどう見るかだが、首都圏新築と比較して成約単価は6掛け、新規登録単価と在庫単価はそれぞれ7掛け前後だ。地域別では新築と比較して東京区部は6.7掛け、横浜・川崎は6.4掛け、埼玉は5.4掛け、千葉は5.5掛けだ。
この先の市況はいまひとつ読めないが、新築は総じて売れ行きが好調で、完成在庫数も漸減傾向にあることから下落に転じる可能性は少ないとみている。注意したいのは、平均価格は頭打ちの感があり、単価上昇を専有圧縮で吸収しようという動きが鮮明となり、合わせて階高・天井高の低下、設備仕様のグレードダウンが甚だしいことだ。ローン金利は引き続き低水準で推移すると思われるが、過度な基本性能・設備仕様レベルダウンをユーザーがどう見るかだ。
このような新築の懸念材料を考慮すると、記者は建築費が著しく上昇した数年前以前の中古マンションのほうが総じてレベルは高いとみている。新築との価格の乖離率を考え合わせると、中古市場の活況は当分続くのではないかと思われる。
ただ、新規登録単価が8カ月連続して2けた上昇しているのは実需というよりは買い取り業者が介在しているのではないかと思われ、この先どうなるかは今一つよく分からない。かつてバブル発生時は、新築より中古が市場をリードしたように今回もそのような状況になるのかどうか。〝まだはもうなのか、もうはまだなのか〟-中古市場は踊り場に差し掛かっていると言えなくもない。
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