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2022/03/02(水) 17:21

レンタブル比67% わが国初の社会人・学生・賃貸の複合 長谷工「コムレジ赤羽」

投稿者:  牧田司

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「コムレジ赤羽」

 長谷工コーポレーションは3月2日、わが国で初と思われる「社会人棟」「学生棟」「賃貸棟」からなる複合共創型レジデンス「コムレジ赤羽」が竣工したのに伴う記者内覧会を行った。赤羽駅から徒歩8分の全340戸で、レンタブル比率(有効率)は実に67%で、ICTを積極的に活用し、それぞれの棟が緩やかにつながる仕掛けが随所に施されている。建物の一部をRC造と木造のハイブリッド構造とするなど木質化の取り組みも行っている。付加価値の高いレジデンスだ。

 物件は、JR赤羽駅から徒歩8分、北区赤羽南二丁目の準工業地域に位置する敷地面積約5,197㎡、RC造8階建て(一部木造、鉄骨造)全340戸。竣工は2022年2月下旬。事業主・設計は長谷工コーポレーション。施工は長谷工・不二建設共同企業体。敷地は大日本印刷の施設跡地。

 「社会人棟」は全168戸で、専用面積は16.41~16.50㎡、賃料は107,000円/月、共益費は13,000円/月。シャワー室か浴室付き。

 「学生棟」は全112戸で、専用面積は13.50~17.85㎡、現在募集中の住戸(56戸)の賃料は80,000円/月~95,000円/月。シャワー室か浴室付き。

 「賃貸棟」は全60戸で、専用面積は29.20~58.54㎡、現在募集中(18戸)の賃料は128,000円/月~260,000円/月、共益費は24,000円/月~30,000円/月。食洗機を標準装備。

 貸主はいずれも長谷工ライブネットで、敷金・礼金・更新料は1か月(学生棟の礼金は150,000円)。家具・家電はベッド・チェア・エアコン・照明・冷蔵庫・電子レンジなど。インターネットは無料。契約は普通借家契約で、契約期間は2年間。

 地域や大学・企業とも連携したコミュニティ形成の取り組みを進めていくのが大きな特徴で、それぞれが緩やかにつながる共用部分に工夫を凝らしているほか、学習プログラム「GAKU家」を通じて様々なイベントを開催していく。

 また、顔認証、ランドリーの稼働状況、フィットネススタジオの混雑状況、CO2濃度確認、カフェテリア決済などICT(Information and Communication Technology=情報通信技術)を積極的に採用しているのも特徴の一つ。

 内覧会で、同社都市開発部門不動産投資事業部事業部長・浅野武彦氏は、「2017年に当社の若手が取り組み始めたのに端を発している。『コムレジ』には、コミュニティとコンプレックス(複合)の意味が込められており、これまでにない『賃貸』のコミュニティをどのようにして育てるかをハード・ソフト両面で実現しようというプロジェクト。新しい試みとして一部木造化も図った。共用部の設備などはすべてコミュニティに欠かせないもの。当社が保有する施設でもあり、今後もどんどんアップデートしていく」と語った。

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ツドイラウンジ・パーティルーム

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エントランス

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中庭

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フィットネススタジオ

◇        ◆     ◇

 数えたわけではないが、浅野氏は数分間のあいさつの中で〝コミュニティ〟の言葉を5回は使った。いうまでもなく、わが国の格差社会はどんどん進行し、家族間のコミュニティすら希薄になっていることを考えると、浅野氏がコミュニティを強調するのは分からないではないが、言うは易く行うは難し。社員、普通の賃借人、学生が交じりあうことなど不可能ではないかと思った。これまで見学した集合住宅のうち、サ高住と賃貸マンションなど2つの組み合わせはあったが、今回のように3つが同じ敷地内に収まっているのは初めてだった。

 なので、同社に聞いたら、同社も「当社の調べでは他にはない」とのことだった。入居後1年経ってから、この共創プログラムがどのように評価されているか知りたい。

 内覧会では、入居者すべてが出入りできるエントランス、社会人・賃貸棟のみ利用可のエントランス、フィットネススタジオ(115㎡)、サウンドルーム(38㎡)、学生は立ち入れない飲酒可能のツドイラウンジ・パーティルーム(220㎡)、ワーキングルーム(10室)、ゲストルーム(23㎡、2室)、カフェテリア、共用ランドリー、シェアリビングなどの共用施設を見学した。

 その多彩さと広さに驚いたのでレンタブル比率(有効率)を聞いた。何と67%だった。このレンタブル比率が全てを物語っている。一言でいえば、極めて付加価値が高いということだ。分譲マンションだったら、坪単価370万円の価値があると思う。この高さをどうアピールできるか。

◇        ◆     ◇

 前段ですべてを言い尽くしたはずだが、木質化とリーシングについても触れたい。

 木質化は、学生棟の北東側の一部で行われており、1階はRC造、2階から5階までが木造のハイブリッド構造だ。構造柱(管柱)はスギ集成材、垂木はスギ製材、梁、大引、母屋はカラマツ集成材を採用している。

 もう一つ、カフェ棟の天井部分にはカラマツの不燃化を施した木ルーバーが使用されていたが、ルーバーの総延長は1,073.1mもある。カフェ内は木の香りが心地よかった。このカフェ棟と中庭を包み込むようなコの字型の住棟配置もいい。設計を担当したのは同社エンジニアリング事業部第一設計室だ。波を打つデザインもいい。

 社会人棟のリーシングでは、1フロア24戸に対して同じ業種は1つに限定しているとのことだ。なるほど。1フロアに競合会社の社員が入居したら企業も入居者も問題が起きたら困る。それを避けようということか。

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一部木造の学生棟(1階と2階以上では外観も異なるのが分かる)

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学生棟 シェアリビング

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カフェ棟(天井はカラマツ材のルーバー)

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カフェ棟

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