「グレーシア湘南平塚海岸」
中央日本土地建物「バウス平塚」を取材したあと、相鉄不動産がほぼ同時期に分譲開始した「グレーシア湘南平塚海岸」を見学した。中央日土地の物件が駅の傍なら、こちらは目の前がすぐ海。〝贅肉〟をそぎ落としたコンセプトが奏功したか、全100戸のうち海側の29戸を中心に33戸に〝赤いバラ〟が付いていた。
物件は、JR平塚駅から徒歩17分(平塚駅からバス6分、徒歩2分)、平塚市龍城ケ丘4丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する5階建て全100戸。専有面積は62.99~88.84㎡、価格は2,900万円台~5,600万円台(最多価格帯3,900万円台。現在分譲中の住戸(40戸)の坪単価は196万円(全体予定は175万円)。竣工予定は2023年1月下旬。設計・監理・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
現地は、元公務員宿舎。目の前の防砂林-道路(橋)を渡るとすぐ海(表示は海まで3分)。海岸では、防砂林を伐採する計画に反対する地域住民がいるため着工は中断されているが、市民協働の森、レストラン、スポーツフィールド、カフェなどからなる「湘南海岸公園龍城ヶ丘ゾーン整備計画」がある。
建物は、コの字型で、海側の南向きが50戸、東向きが32戸、西向きが18戸。主な基本性能・設備仕様は直床、リビング天井高2480ミリ(最上階は2450ミリ)、良水工房など。床暖房はなく、浴室タオル掛け、食洗機などはオプション。間口6m以下も40戸ある。共用施設としてカームラウンジ、シェアストレージ、オーシャンビューテラスなど。南向き1階住戸には約12㎡のテラスと約10㎡の専用庭付き。
今年3月から分譲開始し、これまでに南向き29戸(分譲中の21戸の坪単価222万円)、東向き2戸(分譲中の12戸の坪単価154万円)、西向き2戸(分譲中の7戸の坪単価201万円)、合計33戸が成約済み。
販売担当者によると、予想以上の売れ行きで、購入者は海好きの人が多く、他社物件との競合は少ないという。
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相鉄不動産といえば、今年1月、坪単価717万円でも圧倒的な人気を呼んでいる「THE YOKOHAMA FRONT」(ザ ヨコハマ フロント)を見たばかりだ。
大激戦の「平塚」はどんな商品企画で勝負するのだろうとわくわくしながらモデルルームを見た。あにはからんや。その〝シンプルさ〟に唖然茫然するほかなかった。
これまでもこの種の経済設計のマンションを見学したことはあるが、今回はその極みだ。地域の需要ニーズを熟知するデベロッパーと、設計・施工のプロでしかなしえない技だ。コンセプトを明確に打ち出し、ターゲットを絞り込めば〝売れる〟ことを示した好例ではないか。
単価設定にもうなってしまった。海に面した側でも、前面の砂防林のマツも高さは5層分あり、最上階でも海が見えるかどうかは微妙とのことで、それほど高値に設定していないが、海の眺望が望めない東向き、西向きは価格を極端に低く設定している。
そこで小生は考えた。海の映像をカメラに、波の音を収音マイクに収め、室内にリアルに画像とともに音を楽しめるようにしたらどうだろう。その費用はどれくらいか分からないが、そうすれば価格をもっと上げられると。
太陽光を採光し、居室内に照らし出すシステムを採用すればマンションの値付けを劇的に変えられるとずっと昔から思っているのだが…。
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