RBA OFFICIAL
 
2022/01/26(水) 20:31

相鉄不・東急 横浜駅直結タワマン 第1期129戸完売 坪717万円

投稿者:  牧田司

完成予定CG.jpg
「THE YOKOHAMA FRONT」(ザ ヨコハマ フロント)

 相鉄不動産(事業比率50%)と東急(同)は1月26日、日本で初となる国家戦略住宅整備事業「横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業」(施設名称 THE YOKOHAMA FRONT/ザ ヨコハマ フロント)内のタワーマンション「THE YOKOHAMA FRONT TOWER」(ザ ヨコハマ フロント タワー)のモデルルームを横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ内に2月下旬にオープンすると発表した。同日、メディア向け記者発表会・モデルルーム内覧会を行った。

 すでに高層階の住戸を中心とする第1期129戸を供給済みで、坪単価は717万円の高額ながら、ほとんど申し込み済み。記者が懸念した〝嫌悪施設〟が隣接することに対して、関係者は「減価要因にはまったくなっていない」と断言した。

 物件は、JR他横浜駅きた西口から徒歩3分、横浜市神奈川区鶴屋町1丁目の商業地域(建ぺい率75%、容積率850%)の敷地面積約6,687㎡に位置する43階建て全459戸(一般販売対象外住戸35戸含む)。第1期129戸の専有面積は55.48~161.62㎡、価格は1億630万~6億6,800万円。坪単価は717万円。施工は大林組。竣工予定は2024年3月。販売代理は東急リバブル、三井不動産レジデンシャル、東急ラフィア。ファサードデザインは光井純&アソシエーツ建築設計事務所。

 現地は、市のまちづくりガイドラインによって、地域の就業者や居住者の利便性を高め。賑わい機能を誘導するとともに多世代の交流を支援する機能や安全・安心をサポートする機能の集積を図るべき地域として指定されているエリアの一角。

 「横浜駅きた西口鶴屋地区第一種市街地再開発事業」は施行面積約0.8haで、2010年5月、再開発準備組合が設立され、2016年9月に都市計画決定。組合員は11名。事業コンサルタントとして松田平田設計、UG都市建築、東急設計コンサルタントが参画。2016年9月、全国第1号の国家戦略住宅整備事業に認定されている。

 建物は、2階部分に既設の歩行者デッキで駅と結ばれており、1階から4階は複合施設(4階にホテルロビー)、5階は住宅共用・ラウンジ(居住者専用ガーデン)、6階から10階がホテル、11階から12階がサービスアパートメント、13階以上が住宅ゾーン。

 共用施設としては、39階の「ベイビューラウンジ」のほか、5階にはラウンジ、ガーデン、パーティラウンジ、キッズスペース、ランドリー、ライブラリー、ワークプレイス、シガールーム、フィットネスルームなどを設置する。

 居住者サービスとして、横浜ベイシェラトンのレストランシェフの派遣、デリバリー、横浜高島屋の外商サービス、ジョイナスの提携サービスを用意している。

 専有部の主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井(スラブ厚260~330ミリ)、リビング天井高2700~3500ミリ、シーザーストーンキッチン天板、ディスポーザー、食洗機、グローエ水栓、食器棚、ミストサウナ、Low-Eガラス、良水工房など。

 記者発表会に臨んだ再開発組合理事長・中山久招氏は「準備組合を設立してから12年の歳月が流れた。事業を通じて地域の発展と駅周辺の賑わいの創出に貢献したい」と述べた。

 分譲事業について、相鉄不動産分譲事業部分譲事業センター課長・菅沼圭太氏は「当社と東急さん2社の集大成のプロジェクト。グローバルな視点でホテルライクな様々なサービスを提供する。第1期の購入者からは立地の希少性、複合開発の資産性・先進性、2社の安全・信頼のブランドが高い評価を頂いている」と話した。

 第1期の申込者の属性は、居住地は横浜が6割、東京都が3割、その他が1割。購入動機は実需が6割、2割が買い増し・セカンド利用、投資が2割。

眺望CG.jpg
眺望

◇        ◆     ◇

 記者はつい最近まで、このようなプロジェクトがあることを全く知らなかった。横浜出身の同業の記者の方から見学会が行わることを聞いたとき、とっさに昨年末に見学した東京建物「Brillia Tower 堂島」と住友不動産「梅田ガーデンレジデンス」が思い出され、坪単価は700万円でも不思議でないと予想した。

 ところが、その記者の方から、「鶴屋町」は地元の人なら知らない人はいない歓楽街で、物件の目の前には「ソープランド」=「嫌悪施設」があると知らされた。さらにまた、別の取材でやはり横浜出身のマンション販売担当者にそのことを話したら、その方も眉をしかめた。

 その時点で、予想単価を大幅に下方修正した。「歌舞伎町」「黄金町」と同じだったら坪単価600万円でも高いと。

 この嫌悪施設について少し補足する。嫌悪施設の定義はなく、不動産の広告規制を行っている不動産取引公正協議会も嫌悪施設の有無について広告に表示することを義務付けていないし、宅建業法の重要事項説明項目には嫌悪施設の項目はない。ただ、購入者に嫌悪施設があることを知らせなかったケースで、民事裁判で訴えられた不動産会社が敗訴した判例もあり、行政も不動産会社には嫌悪施設の有無を告知するよう指導しているようだ。(嫌悪施設について説明している不動産流通促進センターの記事を添付する)

 記者はこのことが頭にあったので、はぐらかされることを承知の上で菅沼氏にストレートにその対応と、仮に嫌悪施設が減価要因になるとすればいくらくらいかと質問した。

 菅沼氏は「重説に盛り込んでいるが、嫌悪施設が減価要因には全くなっていない」と断言した。

 疑り深い記者は現地を確認した。確かに「ソープランド〇〇」がマンションの敷地の裏側(西側)に存在した。とてもクラシックな歴史を感じさせる3階建てで、派手な呼び込み広告看板などはなく、老いぼれ記者の生き写しそのものの侘しい佇まいに拍子抜けした。小さな窓から若い女性が手を振る気配はまるでなく、手摺には全て赤さびが浮き出ていた。「男性スタッフ急募」の張り紙が張ってあった。

 これで菅沼氏の言葉に嘘がないことを確信した。さらに言えば、「心理的瑕疵」のガイドラインもできたことだ。「嫌悪施設」についても国土交通省ははっきりした見解を示すべきだ。施設側から見たらマンションこそが「嫌悪施設」になることもありうる。〝なんでもあり〟の用途指定をしておきながら、現実はそうなっていない。

 しかし、問題は簡単ではない。記者発表の後で、どこかの女性記者に「嫌悪施設って何ですか」と聞かれた。仕方なく「ソープランドです」と答えた。また別の女性記者はこう話した。「私にも子どもがいますから…でも、買えるなら買いたい」と。

ベイビューラウンジ.jpg
ベイビューラウンジ

ライブラリーサロン.jpg
ライブラリーサロン

◇        ◆     ◇

 嫌悪施設について長々と書いたが、この問題が氷解した。坪単価予想は700万円に再び上方修正する。650万円の「堂島」、600万円超の「梅田」との単純比較はできないにしろ、「横浜」と「大阪」を比較したらやはり「横浜」に軍配を記者は挙げる(「大阪」では〝負けたらいかんぞ、東京に〟と発破をかけたが)。2期以降の価格は未定で、常識的には600万円台の半ばだろうが、坪700万円台に乗っても記者は驚かない。

 根拠を示せと言われても困るが、物件の基本性能・設備仕様レベルは極めて高い。一つひとつ紹介する余裕はないが、鈴木ふじゑ氏と門井鮎美氏がモデルルームのコーディネートを担当している161㎡の「PREMIUM」は間違いなく富裕層の心を捉えるはずだ。

 もう一つ、91㎡の「SUPERIOR」を担当しているJun SAKAGUCHI氏と、55㎡の「SUPERIOR」を担当している三井デザインテックの辻瑠衣氏のデザインがよく、設備仕様レベルは都内の坪単価500万円クラスよりはるかに高いと断言できる。

 菅沼氏は「物件エントリーは1日100組のペース」と語った。分譲開始まで数千件に達するのではないか。

 モデルルーム会場になっている「横浜ベイシェラトン」の宴会場の広さは500~600坪とか。この前オープンした住友不動産「汐留」は710坪なので広さは負けるが、グレードは負けない。ホテルに聞いたら、850㎡の宴会場は会議用で2時間100万円だそうだ。

Four Seasonsとの複合 東建「堂島」第1期1・2次185戸 平均4.6倍で完売(2021/12/17)

〝どう見ても美しい〟大阪の市場を変える 東京建物「堂島」は坪単価650万円(2021/11/25)

「心理的瑕疵」「嫌悪施設」とは何か 釈然としない国交省「死の告知ガイドライン」(2021/10/10)

 


 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン