三菱地所レジデンスは9月13日、都心のフラッグシップマンションシリーズ「ザ・パークハウス グラン」(102戸)の8物件目となる「ザ・パークハウス グラン 三番町26」の報道機関向け内覧会を行い、分譲対象78戸のうち半数以上の40戸を第一期として9月17日(土)から販売開始すると発表した。平均坪単価は1,000万円前後となる模様で、バブル崩壊後の同社の分譲マンションとしては最高値となる。
物件は、東京メトロ半蔵門線半蔵門駅・市ケ谷駅から徒歩8分、千代田区三番町26番の第二種住居地域・商業地域・第二種文教地区(建ぺい率84%、容積率471%)に位置する敷地面積約1,734.28㎡、17階建て全102戸(募集対象外住戸24戸含む)。専有面積は67.99~237.69㎡、第1期は40戸で、坪単価は平均1,000万円前後となる模様。売主は同社のほか三菱倉庫。竣工予定は2024年11月下旬。施工は東急建設。
現地は、二松学舎大、大妻女子大、東京家政学院大などのキャンパスがある文教エリアの一角で、四方道路に囲まれた従前オフィスだった土地。敷地西側は桜並木が美しい「大妻通り」に面している。
事業化に当たっては、地区計画により通常なら14階くらいしか建てられないのを千代田区の総合設計制度を活用することで容積緩和・高さ規制緩和を受け17階建てとし、内廊下方式、全住戸ワイドスパンなどを採用。
デザインでは、同社の「ザ・パークハウス グラン 千鳥ヶ淵」や「ザ・パークハウス五番町」などを手掛けた三菱地所設計 シニアアーキテクト・石井邦彦氏を起用。全16本の列柱とエンタシスのフォルムのほか、低層部の水平ライン部分には自然石、エントランスにはロートアイアンを採用するなど重厚感を演出している。
敷地北側のカスケードガーデンには「三春滝桜」の子孫木を配し、敷地四方に植栽を施し、「BIO NETINITIATIVE」にも取り組んでいる。
主な基本性能・設備仕様は、リビング天井高2700~3000ミリ、100㎡超ワイドスパン、Miele、SieMatic製の水回り、脱臭機能付き専有部ごみ置き場、タモ材の居室扉・壁・床仕上げ、床大理石張り、全館空調(エアロテック)、洋室ヘリンボーンパネル(有償)、トランクルームなど。
内覧会で同社執行役員第二販売部長・岡橋志郎氏は、「当社はこれまで番町エリアで14物件846戸を手掛けているが、今回の物件を当社最高水準の〝グラン〟としたのは、豊かな緑と四方道路に囲まれた希少立地を生かすため。総合設計制度を活用し、立体的空間をキーワードに天井高を高くするとか全館空調、専有部ごみ置き場など消費者インサイトに応えられる仕様レベルにした」と語った。
これまで問い合わせは約2,700件、7月からのモデルルーム来場者は約270件。そのうち約半数は千代田区、港区居住者。在日外国人投資家からの反響もあるという。第1期で販売対象の半分以上の40戸を供給できることから好調に推移していると説明した。
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同社のこれまでの〝グラン〟シリーズのうち「南青山四丁目」を除く「三番町」「千鳥ヶ淵」「南青山」「南青山高樹町」「麻布仙台坂」「南青山四丁目」「神山町」の6物件を見学している。
今回の1,000万円前後という坪単価は、これまでの番町エリアの最高値885万円を上回り、同社のバブル後の分譲マンション単価としても高値更新するというのは、価格の上昇からして〝さもありなん〟と納得した。
基本性能・設備仕様レベルもとくに驚くようなことはなかったが、全館空調(エアロテック)をグランシリーズでは初めて採用(未確認だが)しているのと、建物デザイン・住戸プランがとてもよくできているのが印象に残った。建物は、四方道路に囲まれた長方形の敷地の利点を最大限に生かしたシンメトリックな形状がとても美しい。〝美しいもののみが機能的である〟とはよく言ったものだ。「千鳥ヶ淵」も素晴らしかったが、石井氏の最高傑作となるのだろう。
住戸プランもしかり。3~14階までは1フロア7戸。タイプは60㎡、70㎡、100㎡(2スパン)、110㎡(2スパン)、15・16階が4戸。タイプは120㎡、170㎡(2スパン)、200㎡、最上階の17階が3戸。タイプは200㎡、230㎡、240㎡。スパンは60㎡が10,515ミリ、100㎡が14,855ミリ、110㎡が19,482ミリ、200㎡が25,840ミリなどだ。
この前見学した野村不動産「プラウドタワー目黒MARC」も60㎡台で8,000ミリ以上というワイドスパンが人気だと聞いたが、こちらは比較にならないほど長い。全ての居室が窓側に面しており、廊下幅は1,200ミリ以上ある。逆梁とし全て腰窓のカウンター付きとしているのもいい。
専有部に約1㎡のごみ置き場を設けているのにはびっくりした。専有部のごみ置き場は高級物件には採用事例があるようだが、記者は初めて見た(共用部の外廊下にごみ置き場を設けた事例は取材したことがある)。操作一つでマンション管理センターに通知でき、玄関サイドに設けられたドアから掃除担当者がごみを運び出すのだという。
玄関サイドのごみ置き場出入口(右が玄関ドア)
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余計なことかもしれないが、書くべきだと判断して書く。どこのメディアの方か分からなかったが、200㎡のモデルルームを見て「これって1億円超えるの? 」と担当者に質問した。小生は唖然とした。事前の説明会で同社は坪単価は1,000万円前後と話した。200㎡だから70坪近い。1,000万円×70坪=7億円(モデルルーム住戸は中層階想定で8億円台とか)というのは子どもだって計算できるではないか。この方だったか他の方だったか、「来場者270件」の意味するもの、「全館空調」が何だか分からない記者もいた。
つまり、「猫に小判」「豚に真珠」だ。同社は詳細にわたって説明したのに、聞いている記者はマンションのことなど全然わかっておらず、坪単価、全館空調、ワイドスパン、総合設計なども何のことやらちんぷんかんぷんということだ。この素人記者の方は何を書くのだろうか。読者はその記者が書く記事から何を読み取るのか。
そこで、同社をはじめデベロッパーにお願いだ。これまでも何度も書いてきたが、この種の内覧会をどんどん実施して、よく分かっていない記者向けにはマンションのイロハから説明する機会を設けていただきたい。必死で話しても相手に伝わらない、聞く側はなにを話しているのか理解できない…こんな不幸なことはない。
一つ書き忘れた。同社の物件の背中合わせの隣接地約2,670㎡では三井不動産レジデンシャルが18階建て共同住宅を2022年11月に着工する旨の標識が掛かっていた。おそらく分譲マンションだろう。分譲時期は異なりそうなので競合はしないだろうが、三井不動産レジデンシャルだって負けていられない。坪単価は1,000万円超となるのは必至だ(階高だけなら三菱地所レジデンスが勝つのか)。
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