「コスモグラシア内神田」完成予想図
コスモスイニシアの賃貸マンション「コスモグラシア内神田」を見学した。同社とLaspy(ラスピー)が参画する不動産関連のスタートアップ育成プログラム「Open Network Lab Resi-Tech(Onlab Resi-Tech)」を通じ、住まいへの導入検討を進めてきたサブスク型防災備蓄サービス「あんしんストック」を初めて導入したものだ。
物件は、JR・東京メトロ神田駅から徒歩4分、東京メトロ・都営地下鉄大手町駅から徒歩6分、千代田区内神田2丁目に位置する敷地面積約325㎡、7階建て全24戸。専用面積(間取り)は25㎡(1DK6戸)・35㎡(1LDK6戸)・47㎡(2LDK12戸)。賃料は1.8万円/坪。竣工は2022年10月下旬。施工は大木建設。
加入者(入居者)は月額料金をLaspyに支払い、Laspyは3日分の防災備蓄を用意し、賞味期限の管理や備蓄品使用後の再補充などを行う。「置く場所がない」「管理が面倒」「気づいたら賞味期限が切れている」などの課題を解消するシステム。
このほかスマートロック、置配サービスなどが標準装備で、住戸プランは北向き。間口は1DKが471ミリも1LDKは6950ミリ、2LDKは8210ミリのワイドスパンで、直床、天井高は2400ミリ。蛇口はマイクロバブル。
同社によると、DINKS向きの2LDKを中心にリーシングは順調で想定内のようだ。
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現地取材の大事さを改めて学んだ。収穫もあった。
最大の収穫は「3項道路」を知ったことだ。建物は、幅員3mくらいの狭い路地に建築されていた。記者は、「道路」とは幅員4m以上で、建築物の敷地はその道路に2m以上接道しなければ建てられないと理解していたので担当者に聞いたら、「道路は確かに幅員3m。建築基準法第42条3項の適用を受けているので問題はありません」とのことだった。
同法を読んだ。平成15年改正の建築基準法第42条(道路の定義)では「『道路』とは(道路法他=略)幅員4m(略)以上のもの」と定義しているが、同条第3項では「特定行政庁は、土地の状況に因りやむを得ない場合においては、前項(2項道路=建基法が制定される以前の4m未満の道路)の規定にかかわらず、同項に規定する中心線からの水平距離については2m未満1.35m以上の範囲内において、同項に規定するがけ地等の境界線からの水平距離については4m未満2.7m以上の範囲内において、別にその水平距離を指定することができる」となっている。
例外があるということだ。密集市街地の建物はみんな既存不適格かと思っていたが、必ずしもそうでないことが分かった。逆にそのようなエリアでの再開発を促すため改正されたようだ。
もう一つは、もちろんマンションもそうだが、都心部の賃料は高いということだ。先日、野村不動産のコンパクトマンション「プラウド銀座一丁目」を見学したが、坪単価は700万円台の半ば。10坪で約7,500万円。利回りを3~4%と仮定すると賃料は18.8~25.0万円だ。
今回の「内神田」も大手町へ徒歩6分。道路付けがいま一つなので分譲にしたら坪700万円は高く、しかし、かといって坪500万円以下はありえない。仮に坪600万円として10坪で6,000万円。利回り3~4%とすると、賃料は15.0~20.0万円。実際の賃料1.8万円/坪とほぼ一致する。
サブスクもそうだ。車、音楽、家具、洋服…防災備品も考えてみればなるほどというサービスだ。「所有から利用」の時代の流れは今後も加速するはずだ。人材派遣も広義の意味でその一種だし、婚姻・離婚だって、近年は年間婚姻件数60万件に対し離婚件数は3分の1の20万件、再婚件数は15~16万件で推移している。婚姻が激減し、離婚が激増している図形だ。共働きが主流の今は利用するのは夫か妻か。「気づいたら賞味期限が切れている」のはどっちか。
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