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2022/12/08(木) 09:30

本日COP15開幕 生物多様性の情報開示焦点 積水ハウスのフォーラムから

投稿者:  牧田司

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「都市の生物多様性フォーラム」(左からアナウンサー木佐彩子氏、八木氏、菊池市、河村氏、仲井氏、村松氏、今森氏、河口氏=神田スクエアで)

 積水ハウスが11月30日に開催した「都市の生物多様性フォーラム」をアーカイブで視聴した。12月7日(日本時間8日)にカナダで開幕するCOP15(生物多様性条約第15回締約国会議)第2部を見据えた基調講演やディスカッションが行われた。同フォーラムは昨年11月の第1回に続く第2回目。

 基調講演では、積水ハウス代表取締役社長執行役員兼CEO・仲井嘉浩氏は、同社「5本の樹」計画と琉球大学のビッグデータシステムを共同検証し、世界初の都市の生物多様性の定量評価システム「ネイチャー・ポジティブ方法論」をオープンデータ化してから1年経過したことを踏まえ、「この1年間で予想外の嬉しい取り組みが3つあった。一つは都市緑化機構さんと連携して企業緑地の生物多様性評価を強化すること、二つ目は教育分野への展開、三つ目は東京大学とのウェルビーイングの共同研究が始まったこと」などと同社の生物多様性の取り組みが前進していることを報告した。

 これを受け、国際自然保護連合日本委員会事務局長・道家哲平氏は、多くの国・団体から「情報開示義務がなければ、政府も企業(金融)も、目隠しして空を飛ぶようなもの」との声があることを紹介し、COP15では企業の生物多様性の取り組み状況を開示し、義務化すべきという論議が行われる可能性を示した。

 このほか、環境省大臣官房 総合政策課 環境教育推進室長・河村玲央氏は同省の環境教育プログラムについて、都市緑化機構企画調査部主任研究員・菊池佐智子氏は同機構の「SEGES(シージェス)」の「育てる」「都市オアシス」「計画(つくる緑)」についてそれぞれ報告した。

 このあと行われた、積水ハウスESG経営推進本部環境推進部スペシャリスト・八木隆史氏が司会役とする、写真家・今森光彦氏、千葉大学非常勤講師でNPO法人生態教育センター理事、生態計画研究所主席研究員・村松亜希子氏、立教大学特任教授で不二製油グループ本社CEO補佐・河口眞理子氏3氏によるディスカッションでは、生物多様性の取り組みは点から線へ、さらに面的に広げなければならないことが強調された。

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仲井氏

◇        ◆     ◇

 フォーラムの全てを紹介する余裕はないが、出身地・大津市の45年間も管理が放棄された、シカやイノシシも避けて通る山林や耕作放棄された農地を取得し、自ら農業も行っている写真家の今森氏が興味深いことを話されたので紹介する。

 今森氏は写真を撮るときは被写体と距離を置き、冷静な目で俯瞰的、鳥瞰的に眺め、そしてその被写体の中に入り込むようにして、中から見える世界を切ると話した。そうすると自然と人間の関係性がよく分かるのだという。

 記者が好きな作家・丸山健二氏は、同じようなことを語っている。丸山氏は、小説を書くうえでもっとも大事なのは人間やものを徹底して観察することだとし、例えていえばカメラだと話している。サングラスをかけているのは、目を保護するためでもあるが、じろじろ眺めていることが相手に悟られないからだという。丸山氏の小説には、人間だけでなく動植物、あるいは無機物を主人公にしたものが多い。

 生物多様性を考えるとき、今森氏や丸山氏のような視点が必要だと思う。人間と自然界の関係性をしっかり捉えることだ…小生などは自分の物差しでしかものごとを測れないが…。

◇        ◆     ◇

 演壇に飾られていた樹木がまた素晴らしい。同社に樹種を聞いた。シラカシ、アオキ、コナラ、イスノキ、ナンテン、サツキツツジ、ユズリハ、ハクサンボク、アセビ、タブノキ、カクレミノ、ソヨゴ、アオダモ、アカマツ、ドウダンツツジ、シャリンバイだそうだ。

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