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2023/01/11(水) 13:51

隈研吾氏デザイン〝番町に負けない〟東急不 フラッグシップ「千代田富士見」

投稿者:  牧田司

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 東急不動産は1月10日、隈研吾氏がデザイン監修した免震工法で千代田区初のZEH-Mを取得したフラッグシップ「ブランズ千代田富士見」を1月14日から販売開始すると発表した。同日、隈氏も出席した記者発表会を行った。

 「環境先進マンション」のフラッグシップ物件と位置付け、建物は免震工法を採用し、千代田区で初の「ZEH-M Oriented」と低炭素建築物の認定を取得し、デザイン監修に世界的な建築家・隈研吾氏を起用しているのが特徴。

 外観デザインは「豊かな緑の中に浮遊する厳かな石のヴェール」がテーマで、外構に自然石を用いているほか、ロビー・ラウンジの前には大きな水景を設置。さらに本物の石の質感を上層階まで設えていくことで、先進的なデザインを目指しているという。

 主な基本性能・設備仕様は、免震、ZEHのほか、リビング天井高は2~15階のスーペリアが2750ミリ(16~18階のプレミアムは1フロア2戸で、専有面積は210㎡、リビング天井高は3000ミリ)、リビング・居室とも床暖房、挽板のリビング床、主寝室はオーク材のナグリ仕上げ(オプション)、ガス衣服乾燥機「乾太くん」、グローエ水栓、Miele食洗機、廊下幅1.2m、Low-Eガラス(プレミアムは二重サッシ・樹脂サッシ)、60cm角床タイル、框ドアなど。

 このほか、駐車場は全戸分設置し、緑化率22%、コンクリート型枠合板に認証材・国産材)を使用。マンションギャラリーのジオラマ模型や建物模型作成を行わず、デジタルツインを活用したデジタルコンテンツによる接客など。

 12月16日に物件ホームページを開設してからこれまで資料請求は約1,000件、2月までのモデルルーム見学はすべて満席。インナーセールで既に全住戸の4割が成約見込みとなっている。

 記者発表会に臨んだ隈氏は、「ここには、落ち着いた歴史を感じさせる雰囲気がある。陰翳礼讃と言われているように、今回のために自然石を特別加工し、全面的に採用することで繊細な細かい陰翳、ヒダを演出し、ヒューマンスケールのデザインとした。これまで木を多用してきたが、最近は石にも興味があり新しいデザインとして使うようになった」と話した。

 物件は、東京メトロ・都営新宿線九段下駅から徒歩5分、JR飯田橋駅から徒歩8分、千代田区富士見一丁目の第1種住居地域に位置する18階建て全69戸。専有面積は72.96~210.89㎡、坪単価は1,000万円強。竣工・引渡予定は2025年4月下旬。設計・施工・監理は東急建設。デザイン監修は隈研吾建築都市設計事務所。

 現地は、九段下駅など7路線が利用可能な「千代田区富士見」エリアの高台に立地。暁星小・中・高校、お茶の水小学校(仮校舎)、フィリピン大使館公邸、野村不動産「プラウドタワー千代田富士見」などに隣接・近接。

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隈氏

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 モデルルームを見学してすぐ、同社が過去に千代田区番町で分譲した2物件を含め見学取材した30物件くらいの中で最高レベルだと確信した(免震&ZEHは千代田区内に1物件もない)。

 隈氏のデザインによる総延長約35mの御影石張りの外構・エントランス、木調ルーバーパネル、水景を中心としたランドスケープデザインが圧巻だし、設備仕様レベルも極めて高い(もっと高いものもあったような気がするが)。鏡面仕上げの框ドアのデザインがいい(通常のドアの選択も可とか)。

 坪単価は、「番町」(現在、三菱地所レジデンスが分譲中で、隣接地では三井不動産レジデンシャルが『ザ』を冠した『パークコート』を今春に分譲する)もあるので1,000万円弱と読んだのだが、甘かった。同社は敢然と挑戦するようで、坪1,000万円を超えると話した(隈氏を起用したのだから、それも理解できる)。上層階のプレミアムは1,500万円と聞いて、これは安いと思った。現地を観ていないのでよく分からないのだが、眺望がよければ坪2,000万円でも安いと思う。2住戸をセットで販売することも可能ということなので、1フロア丸ごとで約25億円。360度丸ごと所有できるのだから安くはないか。

 記者は質疑応答で「総合的な評価は『番町』に負けないのではないか」と挑発的な質問をした。同社の担当者は「番町は邸宅街だが、当社の物件は利便性と再開発エリアという特性からして負けていない」と否定しなかった。

 参考までに、坪単価470万円の「プラウドタワー千代田富士見」(306戸)は2007年に一挙販売され、平均2.9倍で即日完売している。2012年に分譲された三井不動産レジデンシャル「パークコート千代田富士見ザタワー」は坪単価476万円で、全505戸のうち425戸が億ションだったが、わずか10か月で完売している。

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 もう一つ、この物件の特徴である容積率を消化しきれていない点について。現地は建ぺい率60%、容積率400%の第一種住居地域・文教地区に指定されているのだが、敷地の前面道路は6~7m弱であることから、容積率は約260%しか消化できていない。

 これは地価の減価要因になるが、逆手にとれば〝売り〟にもなる。小生は、駅前などの商業エリアのタワーマンションよりも、少し奥まった住居系エリアのマンションのほうが住むにはいいと思う。バブル崩壊までの億ションはほとんど全て住居系エリアに立地していた。

 ちなみに、千代田区には用途地域は第一種住居地域、第二種住居地域、商業地域の3地域が指定されており、第一種住居地域は皇居、日比谷公園、靖国神社、紀尾井町から富士見町にかけての一帯、容積率300%の地域は皇居、日比谷公園、靖国神社、紀尾井町の一部しかない。今回の物件と同じ容積率が400%のエリアは番町4~6番町もそうだ。

 東京都の人口予測で、向こう40年間の2065年までに増加すると見込まれているのは千代田区のみで、中央区、港区、渋谷区、新宿区、文京区などは2030年から2045年の間にピークを迎えると予測されている。

 このことを考慮すると、区内の主要エリアでマンションの坪単価が1,000万円を超えるのは当然か。

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