「HARUMI FLAG」メインストリート
三井不動産レジデンシャルなど「HARUMI FLAG」の売主10社は1月10日、「HARUMI FLAG」の最終章となる総戸数1,455戸の50階建て超高層ツインタワー「HARUMI FLAG SKY DUO」のメディア発表会を行い、マスターアーキテクトとして街全体のデザインを統括する光井純氏(光井純アンド アソシエーツ建築設計事務所代表取締役)と、タワー棟のデザインを担当する同社上席執行役員・緒方裕久氏が参加したトークセッションを行った。
発表会ではタワー棟の概要について、三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室・古谷歩氏が説明。
名称は「HARUMI FLAG SKY DUO」に決定し、東京最前列にふさわしい、今後のタワーマンションをけん引する、新たな一対のランドマークトなるようデザインしたと切り出し、建物は免震工法を採用、48階にはスカイラウンジ、ゲストルームを配置し、多様性を実現するため居住者だけでなくゲストも利用できる施設を整備、専有面積は40㎡台から100㎡超で、プラン構成は1LDKが61戸、2LDKが352戸、3LDKが1,042戸。リビング天井高2600ミリ確保して間取りの更新性を高め、メーターモジュールの廊下幅、長期優良、わが国初の蓄電池とエネファーム全住戸に設置、低炭素住宅認定、49・50階のプレミアム住戸には全館空調システムを採用するなどと話した。
4月上旬にモデルルームを公開、第1期の販売を6月下旬に予定しているとした。価格は未定で、4月に発表する。
物件は、50階建てSUN VILLAGE(733戸)とPARK VILLAGE(722戸)のツインタワーで、SUN VILLAGEの専有面積は49.38~145.54㎡、PARK VILLAGEの専有面積は47.74~161.12㎡。竣工予定は2025年秋。設計はSUN VILLAGEが三菱地所設計、前田建設工業、PARK VILLAGEが日建ハウジングシステム、三井住友建設、施工はSUN VILLAGEが前田建設工業、PARK VILLAGEが三井住友建設。
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トークセッションは、光井氏と緒方氏、三井不動産レジデンシャル都市開発三部事業室・高木洋一郎氏と同室・廣瀬俊輔氏の4氏で行われ、約1時間30分にわたり「SKY DUO」に込めた思いや「HARUMI FLAG」全体の街づくりなどについて語り合った。
光井氏は冒頭、廣瀬氏の問いに答える形で、かつてフランスのパリ博では都市軸をつくり、その中心部にシンボルとしてエッフェル塔を設置したことを紹介しながら、「今回のプロジェクトは、パリ博に負けないくらい大事な都市・街の開発であると考えている。『HARUMI FLAG』の最大の特徴は、非常に大きな敷地を一気に開発することができた。そしてまた、一気に開発するためには強いコンセプトが必要であったが、考えたのは都市軸。既存建物などがある内陸部では実現できない都市軸をつくることで、1キロ先、2キロ先の地球規模の空間を体験することができるデザインにした」と話した。
緒方氏は、デザインコンセプトであるわが国の伝統的なデザインを踏襲することについて、能の二人静の紫の色を盛り込んだことなどを紹介し「東京のビューを手中に収めることができる誇り高いタワー棟をデザインすることができた」と語った。
そして、最後に光井氏は「地下に駐車場を設置し、無電柱化も図ったので、地上部分は緑に覆われている。数値としてのSDGsはもちろん、視覚環境、体感環境として、快適な空間と空気、光を東京でもっとも感じていただけるはず」と締めくくった。
記者はトークセッションをワクワクしながら聴いた。とても分かりやすかった。聴きながら、この種の「住宅都市」の好事例である「幕張ベイタウン パティオス」や「ベルコリーヌ南大沢」と比較した。「南大沢」は施工不良が問題になったが、街づくり・デザインは双方とも素晴らしい。光井氏が力を込めたように「HARUMI FLAG」はまた異なるような気が気がする。「ここでしかできないデザイン」にしたのだろうと得心した。
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記者は、光井氏のファンの一人だと自認している。最初にデビューされた物件は何だったのか思い出せないのだが、2013年以降の10年間の間に「光井純」に関わる記事を何本書いたか、RBAタイムズの「こだわり記事」で検索したところ35本がヒットした。
この35本がどのような意味を持つか、読者の方には伝わらないだろうから、他のワードと比較した。以下に列挙する。
・三井不動産 1,000件超※①
・三菱地所 1,000件超※①
・野村不動産 959件
・積水ハウス 712件
・ポラス 686件
・住友不動産 543件
・東京建物 533件
・旭化成ホームズ 517件
・長谷工 497件
・ミサワホーム 496件
・大和ハウス工業 487件
・東急不動産 437件
・リスト 357件
・オープンハウス 343件
・ナイス 333件
・コスモスイニシア 330件
・鹿島建設 275件
・大京 238件
・三菱地所ホーム 225件
・ケイアイスター不 178件
・サンフロンティア不 172件
・小田急電鉄・不動産 166件
・大成有楽不動産 165件
・明和地所 153件
・総合地所 131件
・三井ホーム 116件
・伊藤忠都市開発 115件
・アキュラホーム 115件
・モリモト 112件
・大和地所レジデンス 103件※②
・日鉄興和不動産 103件
・隈研吾 100件
・飯田建設グループ 87件
・NTT都市開発 61件
・菰田正信 61件
・吉田淳一 43件
・安藤忠雄 39件
・青木茂 37件
・光井純 35件
・吉永小百合 32件
・沓掛英二 29件
・芳井敬一 29件
・仲井嘉浩 28件
・岩沙弘道 26件
・アーキサイトメビウス24件
・坂茂 14件
・山本理顕 6件
※①1,000件を超えるとカウントされない※②大和地所レジデンスは日本綜合地所の記事も含む
皆さんいかがか。長々と書いてしまったが、ここを入れたらあそこはどうかと考えたら次々に入れざるを得なくなった結果だ。抜けているデベロッパーもほかにあるかもしれない。
リスとは、小生の主な取材フィールドは分譲マンションや分譲戸建てなので、その事業を展開している住宅・不動産会社が上位に並び、RBA野球大会でお世話になっている会社が多いのは記者の好みの反映だ。
注目していただきたいのは、個人名で検索した結果だ。菰田正信氏、吉田淳一氏、沓掛英二氏、芳井敬一氏、仲井嘉浩氏、岩沙弘道氏は業界・企業トップとして会見の回数が多いことと、記者の嗜好だ。
自分でも驚いたのは、建築家の隈研吾氏が実に100件も入っていることだ。これは〝木造ファン〟の記者が何かにつけ隈氏を取り上げるからだ。建築家では、安藤忠雄氏は隈氏の半分以下の39件で、その次は「リファイニング建築」の青木茂氏の37件。そして光井氏の35件と続く。光井氏は女優の吉永小百合さんの32件とほぼ並んでいる。ここが大事なことだ。(吉永さんの次位が沓掛氏とは。これはもう笑うしかない。沓掛氏も大満足のはずだ)
なぜ吉永さんかというと、記者が好きだからで、建築物の美しさを形容する形で、ご本人の了解は得ていないがよく名前を使わせていただいている。問題はないはずだ。共通するのは〝美しい〟ということだ。
光井氏はトークセッションで、「近景・中景・遠景がとても重要」と話したが、記者はその外観を遠くから見ただけでほとんど光井氏の作品であることが分かる。光井純=三井不動産レジデンシャルといえるほど記念碑的な物件も多く手掛けている。
デザインの特徴は、シャープで都会的であり、カラーリングではアースカラーのオレンジ、イエロー、赤などの暖色系を多用し、かつブルー、ブラウンなどの抑制的な色彩をマリオンに配したりしてバランスを保っていることだ。目立つのだが主張しないで周囲の街並みにしっくりと溶け合う-これこそ吉永さんではないか。こころの美しさが表情・外貌に現れる。
光井氏の作品(物件)でもっとも好きなのは「パークシティ大崎」だ。あの工場街のイメージを一新した。
そこで東京都と事業者にお願いだ。光井氏は「視覚環境、体感環境が大事」と話した。建物はほぼ完成しているのだから、メディアにも購入検討者にも現場見学会を行い、ランドスケープ・建物デザインを体感できるようにしていただきたい。
文句なしにいい 街づくり・基本性能 坪単価280万円か 「HARUMI FLAG」(2019/4/24)
街の価値を評価したい三井不動産レジデンシャル他「パークシティ大崎 ザ タワー」(2013/11/27)