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2024/05/22(水) 00:54

大和ライフネクスト 第三者管理者方式 既存中心に76組合受託 2026年に200組合へ

投稿者:  牧田司

 Screenshot 2024-05-22 at 01-07-01 「業界動向勉強会<マンション管理業(分譲マンションの第三者管理者方式)篇>」発表資料.pdf.png

 大和ハウス工業と大和ライフネクストは5月21日、業界動向勉強会を開催し、「マンション管理業(分譲マンションの 第三者管理者方式)篇」をテーマに大和ライフネクスト新領域創造部部長・沢登正一氏と同社新領域創造部第三者管理者サービス課課長・大塚威氏がマンション管理市場と課題、国の方針、同社の取り組みなどについて説明した。第三者管理者方式について事業者が自らの取り組みについて詳細に報告するのは今回が初めてのはずで、国土交通省もガイドラインを近く発表するタイミングに合わせて行うことで、関心を高めようという狙いがある。とてもいい勉強会だった。

 沢登氏はマンション管理業界の市場について、マンションストック約69万戸のうち管理会社上位15社の市場占有率は55.4%にのぼり、大和ハウスグループは約40万戸を管理しており、業界5位にランクされており、CSを重視した方針のもと、リプレイスと言われる他社管理からの切り替え受託が36%を占めると報告。

 国のマンション管理に対する方針としては、平成29年に示されたマンション管理士など外部専門家の活用を想定したガイドラインは普及せず、新築マンション購入者への十分な説明がなされないまま管理会社が管理者になっていた事例や、業務委託契約を締結せず、監査体制も不十分で、利益相反を防げないことなどからワーキンググループで旧外部専門家の活用ガイドラインを改訂し、今年3月「マンションにおける外部管理者方式等に関するガイドライン」(案)が発表されたことなどを紹介した。

 大和ライフネクストの第三者管理者方式の取り組みについて大塚氏が説明。2022年4月、民法の改正を受けて利益相反の課題が解消され、委託者の承諾があれば無権代理ではなく委託者の行為とされることになったことを受けて、社内公募による新規事業として専門組織「TAKSTYLE(タスクタイル)」を立ち上げ、既存マンションを対象に第三者管理者方式のサービス受託に注力してきた結果、2023年度末では76組合、受託管理戸数は5,287戸に上っていると公表した。近く100組合になる予定。

 受託物件を築年数別では、「5年以下(新築含む)」が34%、「31年超」が30%、戸数別では「50戸未満」が54%を占め、新築・既存別では、既存管理が55組合(72%)を占めると公表した。

 大塚氏はまた、第三者管理者方式の導入のメリットとして、①組合員の時間的・精神的・身体的負担による理事の担い手不足の問題を解決②管理実績で培ったノウハウを活かした専門的知見や機動的な業務執行によるサービス提供③社内ガバナンスを徹底し、透明性のあるサービスを提供ことを挙げ、デメリットとしては①一定戸数以下の 場合は、管理組合の支出が増えてしまう場合がある②組合員の管理組合運営に対する関心が低下してしまう恐れがある③フロント部門と管理者部門が同一会社なので、利益相反に対する監視が必要となる―ことなどを挙げた。

 デメリット対策として、第三者管理者サービスを独立した組織で提供し、各業務執行に複数の部門が関わることで牽制・内部統制を行い、社内ガバナンスを高めているとし、契約形態としては管理委託契約とは別途「管理者業務委託契約」を締結していると話した。報酬額は50戸程度で月額約5万円(1戸当たり1,000円)と報告。受託に際しては理事会がなくなることに伴う人件費の削減、DX採用による紙・印刷費のコストダウン提案も行うという。受託管理組合は2026年度までに200組合に拡大する意向を示した。この方式を採用する既存マンションは15%に上るのではないかとも話した。

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沢登氏(左)と大塚氏

◇        ◆     ◇

 記者は、国交省が2012年に「マンションの新たな管理ルールに関する検討会」を設置した時から第三者管理者方式(当時は第三者管理)とマンション標準管理規約のコミュニティ条項について取材を続けてきた。

 新規マンションでは第三者管理者方式がかなり採用されていることは、国土交通省が昨年12月に行った管理会社を対象としたアンケート調査結果でも明らかにされた。しかし、マンション購入者に対する説明が不十分で、契約も結ばず、報酬も明確でなく、監査や利益相反についてもあやふやで〝どんぶり勘定〟そのものの実態が浮かび上がった。ガイドラインによって整備されることに期待したい。また、大和ライフネクストのように既存マンションの受託に力を入れるところも増えるはずで、リプレイスが激増し、大激戦が展開されそうだ。

 気になるのは新築マンションだ。売主-設計・施工・監理-管理会社が同じ会社グループで一気通貫することの危うさも注視する必要がある。各社のガバナンス体制が問われる。また、月額1,000円は高いのか安いのか、規約改正の4分の3条項はハードルが高いのか低いのか、さらにまた新築と既存マンションはどうして報酬額の差が大きいのかの論議も出そうだ。

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