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2024/05/25(土) 13:38

甲州街道のケヤキの街路樹 見るも無残な強剪定 調布市民の声は届いたのか

投稿者:  牧田司

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甲州街道のケヤキの街路樹

 もう慣れっこになっているが、この日(524日)もとても嫌な気分にさせられた。旭化成不動産レジデンスと丸紅都市開発の「アトラスシティ千歳烏山グランスイート」の取材の行き帰りだ。マンションは、都の「マンション環境性能表示」で「みどり」をはじめオール満点の★15個を獲得しており、取材には大満足したのだが、販売事務所が面する甲州街道の街路樹のケヤキが無残にも強剪定されていたからだ。以前、調布市にも三鷹市にも住んでいた記者はとても悲しくなった。甲州街道は国道だから、国が管理しているのだろうが、市や市民はどう考えているのか。

 ネットで検索したら、令和3年10月6日~令和3年11月5日にかけて調布市が実施した「調布市街路樹管理計画(素案)に対するパブリック・コメント」の結果がヒットした。意見提出件数は28件(6人)と少ないのは気になったが、主な意見を紹介する。( )内が市の回答。

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酷暑にケヤキは耐えられるのか

        ◆     ◇

意見 この計画でカバーするのは、市道の街路樹のことだと思われます。公園の樹、国道、都道の街路樹は対象外なのでしょうか? 

回答 本計画の対象範囲及び街路樹管理基準は,道路や野川サイクリングロードなど、道路管理課が所管する市道等の高木・中木・低木・地被類等を対象としています。そのため、公園内の樹木、国道及び都道の街路樹は対象外となります)

意見 実際の管理業務は業者委託でやむを得ないかもしれませんが、仕上がりを把握する植木造園の専門職の市職員はいないのでしょうか? もしいなくても、担当者や受託業者そろっての講習会などを年に2回以上はやるべきではないでしょうか(現在、街路樹を担当している職員は植木造園の専門職ではございません。御提案いただきました、受託業者との講習会開催等については、検討させていただきます)

意見 樹木の名前は今、個人宅委託の保存樹には付けられていますが、公園や街路樹にはありません。同種の数本に1本は名前札を付けられませんか? (市内全ての路線において名前札を設置することについては困難ですが、今後の検討とさせていただきます)

意見 「調布市環境基本計画(概要版)」に「街路樹」の文言が一言も出てこないことをまず反省すべきである。街路樹を道路法で規定された道路の付属物だけと捉えることはせず、調布市内全体の環境問題を改善させるための施策として、街路樹を増やすことを宣言し、樹木の減少はさせないこと、市内緑被率を低下させずに、街路樹含めた緑化状況を改善させることを目的とするべきである(「調布市環境基本計画」等の関連する計画と相互に連携・整合を図って参ります)

 意見 管理コストを減らすために街路樹を減少させることがあってはならない。街路樹は枯死や倒木の危険がある場合を除き、原則伐採せず、保全すること。また、「ゼロカーボンシティ」実現のために街路樹を含めた樹木を保全または増加させることを本計画に明記するべきである。未来の調布市が現在よりもっと緑豊かな街になるよう希望する

意見 調布の緑がどんどん失われていくのが悲しいです。駅前広場はその象徴です

意見 駅近の市役所通りや電通大前の通りの花水木はお粗末 ハナミズキが植樹されたが、手入れがほとんどなく枝も葉も花も瀕死の状態(御指摘いただきました市道南29号線(東急前の通り)及び調布駅北側の西友から電通大までの間にある街路樹については、駅周辺の利用の多い地域であること、また、建物に囲まれ日陰が多く生育状況の悪い樹木があることから、景観及び環境にも配慮し、適切に維持管理を行って参ります)

意見 甲州街道の強せん定は気になります。電柱などの地下埋設物は歩道ではなく車道の端部に置き、街路樹の根が歩道側に延びるようにすれば、樹木は車道側に枝を張り、枝葉が車道と歩道両方に延びて特に車道に日影をつくり(樹冠被覆)道路の温度を下げます

意見 今年の初夏に、住んでいるマンション前の甲州街道沿いのケヤキの枝がばっさり切られて驚きました。前から他の区域で切られているのを見て無残だと思っていたのですが、自分の家の前まで切られてしまうとは…甲州街道のけやき並木は見事で、新緑は美しく、夏はたっぷりと木陰を広げてくれました。これから暑くなるという時だったのでほんとうにショックでした。甲州街道は国道で市の管理するものではないかもしれませんが、住民の意見としてこういうものもあることを伝えてください(甲州街道の街路樹の剪定方法等に関する御要望の内容については、市から国土交通省相武国道事務所へ伝えさせていただきます)

意見 野川の桜も切られていました。どうしてあんなにきるのですか(倒木等の危険性のある桜については伐採等を行い、道路利用者の安全確保を図っておりますが、今後は、策定する「街路樹のサクラに関する管理方針」に基づき、桜の更新について検討して参ります)

意見 今年は下布田公園の桜も無残に剪定されていました(御意見いただきました下布田公園の桜の剪定については,所管部署である緑と公園課へ内容を伝えさせていただきます)

        ◆     ◇

 ミライアクションみたかが511日(土)に行った講演会で千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏は「1970年ころまでは、街路樹管理は自治体の技術職員が民間委託業者に剪定方法を指示していたが、それ以降は技術職員の退職による不補充と担当者の定期異動で〝素人集団〟になり、適切な選定方法を支持できなくなり、また、選定結果を専門的に評価できなくなり、苦情に対しても対応できず、過剰な安全志向で強剪定が日常化していると指摘した。

  この調布市のパブリック・コメントの質問はもっとも至極だと思うが、市がパブリック・コメント結果を発表してから2年半が経過する。今回の強剪定は昨年末に行われたはずで、これはどう理解すればいいのか。

 職員がいかに素人集団であるか。記者は戸田市の職員との対応で実感した。その記事も添付する。記事には「戸田市の公園緑地課に電話をして、街路樹の整備状況について聞こうとした。最初に出た担当者はまったく話が通じなかった。市内に何本の街路樹が植えられているか維持管理費にどれぐらいの予算が計上されているかまったく把握していなかった。街路樹の樹種についても『ハナミズキ』『アカシア』の2本しか出てこなかった」と。

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