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2024/05/12(日) 14:43

藤井氏の熱弁に拍手鳴りやまず 会場100人+オンライン180人 三鷹で講演会 更新

投稿者:  牧田司

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「身近な樹木にヒントがあった!【温暖化で熱い路面を20℃下げる方法】を街路樹の研究者に聞く」(三鷹市市民協働センター)

 ミライアクションみたかは5月11日(土)、千葉大学名誉教授・藤井英二郎氏と特別ゲストに「コモンズの緑を守る全国ネット」共同代表のロッシェル・カップさんを招いた講演会「身近な樹木にヒントがあった!【温暖化で熱い路面を20℃下げる方法】を街路樹の研究者に聞く」を行った。会場となった三鷹市市民協働センターには定員の70人を大幅に超える100人超が参加。オンライン参加者約180人と合わせ約280人が視聴した。予想外の参加者の多さに、主催者は急きょ席を増やしたり配布資料を増刷したりするのに奔走していた。

 講演会は2部構成で、藤井氏は「強剪定はダメ」「枝先は残さないといけない」「(市職員は)素人集団になっちゃった」「左脳は言語論。ここにヒントがある」「地下支柱も問題」「三鷹の宝」「天文台は自然の宝庫」などとトータルで2時間近く熱弁をふるった。講演終了後も人気アーティストのコンサートのように拍手が鳴りやまなかった。

ミライアクションみたかは、三鷹市在住の仲間数人で地域の問題解決のため今年から立ち上げた任意団体。517日から52423時まで、今回の講演会の録画配信を次の通り行う。https://youtu.be/YKHRIwIs6zY

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藤井氏

◇        ◆     ◇

 三鷹市の街路樹について藤井氏は、「天文台もそうですし、井の頭もそうです。あれだけの緑地があって、間をつなぐ街路樹をしっかり整備すれば、素晴らしい都市になる。それをぜひ実現していただきたい。三鷹市のポテンシャルは極めて高い。そんなに経費は掛からない。街路樹の剪定の仕方を変えるだけで劇的に変わります。昨日見た隣の武蔵野市の剪定はよくできていた。三鷹市はその点を見直さないといけない。そうすれば仙台がそうなったようにまちは劇的に変わる」とエールを送った。

 最後に藤井氏は、「強剪定された街路樹をみて多くの人々は無意識でストレスを感じているんです。感じていながら気づいていない。これは不幸でしょ。無窓疎石は『山水に得失なし 得失は人の心にあり』と言ってるんです。山水は庭です。庭に良し悪しはないよ、良し悪しは人の心の中にあるんだよと。街路樹もそうです。強剪定された街路樹は委縮した心と社会の表れです。だから、木とお互い様だよ、共認している生き物としての感覚でいえば、涼しくもなるし、心も豊かになる。そういう社会を目指そうじゃありませんか」と締めくくった。拍手が鳴りやまなかった。

 ロッシェル・カップさんは、神宮外苑の樹木伐採計画が発表されて以降、同時多発的に同様の問題が起きているとし、イギリス発祥のPark-PFIについて、「イギリスでは不人気なのに、日本は行政が音頭を取って推進している」と批判した。

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ロッシェル・カップさん

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 記者は、10年以上前から「街路樹が泣いている」をテーマに数十本の記事を書いており、藤井先生がどのような話をされるか興味があったので参加した。(講演会の前にもう一つ取材があり、また三鷹駅からの道に迷ったため、第一部の講演会はほとんど聴けなかった)

 会場に入って驚いたのは参加者の数だった。藤井氏とロッシェル・カップさんは〝全国区〟ではあるが、まさか街路樹をテーマにした講演会にこれほど多くの人が集まるとは全然予想しなかった。せいぜい20~30人くらいだろうと思っていた。

 参加者が多様だったのにも驚いた。この種の講演会はお年寄りの女性が圧倒的多数を占めるのだろうと思っていたが、そうではなかった。男女比はほぼ同じで、30代、40代、外国人と思われる人も多く参加していた。市内にある国立天文台敷地内に小学校を移転させる計画があり、敷地内の樹木が伐採されることに反対している住民も多く参加していた。質疑応答に多くの時間を割いていたのもよかった。講演会はこうあるべきだ。

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 藤井氏は無窓疎石の「夢中問答」(岩波文庫)を引用したが、疎石は最近読んだ中村元「慈悲」(講談社学術文庫)にもたびたび登場する。同著には「自己がすくわれるということは、他人をすくうというはたらきのうちにのみ存する」(248ページ)という疎石の考えを紹介している。生きとし生けるものに対する慈しみ=愛は無限であり、自他不二は真理だ。

 樹木の倒壊を防ぐ支柱の整備に関する藤井氏の指摘・問題提起は貴重だ。藤井氏は、支柱を設置していない街路樹のほうが、設置している街路樹よりはるかに成長度合いが大きい調査研究を発表。「樹木は揺れることで成長する」と話した。確か「手荒な環境では、手荒な人間しか育たない」旨の発言もした。

-なるほど。死刑囚などが長期にわたって刑事施設に収監されることによる身体的精神的拘禁反応が問題視されているし、特殊学級教育にも通じることだろう。

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 街路樹の剪定を改めるだけで、街は劇的に変わるという藤井氏の指摘は全国の市町村に当てはまることではないか。緑被率だけを見ると、武蔵野市は24.3%、三鷹市は32.5%だ。三鷹市のほうがはるかに高い。

 武蔵野市のほうが街のポテンシャルが高いのは街路樹整備と無関係ではないと記者は思う。〝街路樹が泣いている〟記事を書くことにしたきっかけは、すべての街のポテンシャルを引き上げてほしいと思ったからだ。いま〝街路樹が泣いている〟をネットで検索すると、かなりの団体がヒットするが、最初にこの見出しを付けたのは記者だと思う。少しは街路樹に対する関心が高まったことに寄与できたかと思うとうれしい。

 今回の講演会参加者が一人でも二人でも今回の藤井先生の話を拡散すれば、ねずみ算に増え、行政を変えることができる。藤井先生は「主役は住民」と語ったではないか。

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三鷹中央通りの街路樹(藤井氏も指摘したように、きわめて貧弱)

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街路樹を拘禁する三鷹中央通りの金属支柱(金具に樹皮が食い込んでいた。何年間も放置されているはずで、市民はともかく、市民代表の市議が問題にしないのは問題。「ケヤキは絶対強剪定してはダメ」と藤井氏が言った三鷹市牟礼の記事も添付する)

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