小田急不動産が分譲中のマンション「リーフィアレジデンス調布小島町」を見学した。駅から徒歩5分と近いにも関わらず、商業エリアから一歩入った住居系エリアで、ZEH-M Oriented認定、専有面積平均75㎡超、内廊下方式、「ONEX」(離れ)付きなど商品企画が秀逸。デザインも美しい。坪単価予想(というよりは願望)は外したが、とてもいいマンションだ。
物件は、京王線調布駅から徒歩5分、調布市小島町二丁目の第一種住居地域(建ぺい率70%、容積率200%)に位置する敷地面積約1,951㎡、地上7階建て全50戸。専有面積は26.10~128.80㎡(6~7階住戸5戸は別に5.40~6.06㎡のONEX付き)、現在先着順で分譲中の住戸(6戸)の価格は8,278万円~14,008万円(専有面積66.69~81.51㎡)。坪単価は500万円弱。建物は2024年6月竣工済。設計デザイン監修は西山建築デザイン事務所(西山広朗氏)、実施設計・施工は風越建設。
現地は、駅から遊歩道・大規模商業施設を抜けた住居系エリア(車道はあるが信号機はなし)。従前敷地は社宅。敷地西側は道路を隔てて第一種低層住居専用地域。建物は三方道路に接道。ZEH-M Oriented認定、内廊下方式を採用。住戸は東向きと西向きがほぼ半々。その他の主な基本性能・設備仕様は、二重床・二重天井、リビング天井高2450ミリ(一部除く)、御影石キッチン天板・洗面カウンター天板、食洗機、サッシ高2300ミリ、Low-E複合ガラス、6~7階の5住戸は食器棚標準仕様・5.40~6.06㎡のONEX(離れ)付き、物干しポール、全戸玄関宅配BOX・トランクルーム付きなど。
3月上旬からエントリーを受け付けており、これまでの反響数は約2,100件、7月下旬からのモデルルーム来場者は約280件。10月19日に供給した1期30戸のうち26戸が申し込み済み。申込者の約半数は地元居住者。ほかは世田谷区など中広域にわたっているが、隣接市の府中市は少ないという。
同社住宅事業本部住宅販売部マンション販売グループリーダー・清水徹氏は「用地を取得した段階から〝この価格で売れるのか〟という社内の声もあったが、ピン立地でここしかない条件を生かすよう6~7階をプレミアム住戸として仕様レベルを上げ100㎡超の専有部に『離れ』付きとし、物件全体で75㎡超の専有面積を確保し、1階の1住戸は専用利用権付き平置き駐車場とするなどプランニングには力を入れました。このような点がお客さまにご評価いただいています」と語った。
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調布市(布田駅)は、50年近く前に結婚して住んだ街だ。今はマンションなどがたくさん建っているが、当時は、畑などがかなり残っていた。住むならここだと思っていたが、バブルが発生し、駅近マンションは坪500万円を突破して、あきらめざるを得なかった。
今回のマンションは、2012年に京王線柴崎駅〜西調布駅、相模原線調布駅〜京王多摩川駅が地下化され、遊歩道などが整備されたことにより、住宅地として注目されるようになった、住宅地としては調布の一等地だと思う。
物件特性は上段で紹介したので省くが、御影石、タイルを多用し水平・垂直ライン、分節を強調したデザインがとにかく美しい。監修した西山広朗氏の名前はどこかで聞いたような気がしたので、「RBAこだわり記事」で検索した。3件がヒットした。一つは同社の「「リーフィアレジデンス上原」で、あとの2つはいずれもモリモトの「浜田山」と「目黒」のマンションだった。近くには大規模商業施設だけでなく市役所、図書館、病院、文化会館などの公共施設も揃っている。
現地を今春に見た段階で、坪単価は400万円台の後半どころか、500万円超ではないかと予想した(というより、500万円を突破している城北の北千住、大山などには絶対負けてほしくないという願望)。若干外したが、それでも予想は間違っていないと思う。
京王線はバブルがはじけてからこの40年近く、他の沿線と比較して割負けしているとずっと書いてきた。街のポテンシャルは負けていないはずなのに、小田急線より2~3割、あるいはそれ以上安い。
例えば、坪単価は730万円くらいで瞬く間に売れた三井不動産レジデンシャル「パークホームズ代々木西原」(69戸)。物件名にそうなっているように、小田急線(千代田線)代々木上原駅から徒歩9分の渋谷区西原に位置しているのだが(「代々木西原」の地名はない)、最寄り駅は京王新線幡ヶ谷駅で徒歩5分だ。しかも、代々木上原駅からだと坂がきついが、幡ヶ谷駅からだとフラットで緑道も利用できる。物件名を「代々木西原」でなく「幡ヶ谷」にしたら、この単価をつけられるかどうかは記者も自信がないが…。
「調布」とほぼ同じ、小田急線新宿駅から15分圏内の大和ハウス工業「プレミスト世田谷梅丘」(29戸)は、各駅停車の梅ヶ丘駅から徒歩9分だが、坪単価は630万円だ。こちらもわざわざ「世田谷」をつけている。
もう一つ。わが国初の全棟「ZEH-M」と全住戸「ZEH」マンション大京「ザ・ライオンズ世田谷八幡山」。各駅停車の京王線八幡山駅から徒歩3分の第一種低層住居専用地域立地で、坪単価は540万円台。やはり物件名に「世田谷」がついている。
駅名の看板が外されたり、余計なものがつけられたりする。「調布」も「八幡山」も梅ヶ丘駅とほとんど同じ距離圏なのに坪単価は100万円以上安い。どうしてこのような屈辱的な扱いを受けるのか、京王電鉄も自治体も考えないといけない。
だが、しかし、京王線は笹塚駅~仙川駅間約7.2kmの区間を高架化し、25か所の踏切を除却し、代田橋・明大前・下高井戸・桜上水・上北沢・芦花公園・千歳烏山は高架駅となる工事を進めている。いつ全体が完成するかわからないが、利便性は飛躍的に高まるはずだ。
わが国初の全棟「ZEH-M」全戸「ZEH」駅徒歩3分の1低層大京「八幡山」(2024/10/4)
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曰く言い難し三条実美の邸宅跡地価格はいくらかモリモト「ディアナコート目黒」(2018/3/2)
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