三井デザインテックは12月3日、恒例の「プレスセミナー&懇親会」をジョサイア・コンドルが設計した大正2年建設の迎賓館「綱町三井倶楽部」で開催した。セミナーで「家具の買取再販は2030年にはサーキュラー デザイン(Circular Design)のスタンダードになる」と聞いたのにいささかショックを受けた。わが国の家具製造業市場は2兆数千億円のようだが、その市場は激変するということだ。
セミナーの冒頭、今年4月に同社代表取締役社長に就任した村元祐介氏はこれまでオフィス事業と住宅事業領域でそれぞれ半分ずつ携わってきたことを紹介し、「社長に就任して8か月、三井不動産グループの中でとても個性的な会社であることを改めて感じている。当社は空間創造を手掛ける会社ではあるが、意匠性だけでなく、ものごとを根本的に捉えなおすことをデザインの対象にしており、これまで幅広い領域で培った知見や実績を掛け合わせた、事業領域を超えたクロスオーバーデザインを強みに、今後とも豊かな暮らしと魅力ある社会づくりに貢献していくい」とあいさつした。
同社フェロー・見月伸一氏は、最近同社が手掛けた主な作品20事例くらいを紹介した(このうち小生が取材見学したのは「HARUMI LLAG」「東京ドーム」「ららアリーナ 東京ベイ」くらいしかない)。
今回のセミナーのテーマは「三井デザインテックの考えるサーキュラーデザインの現在と未来」で、資源循環コンサルティングなどの取り組みで実績のあるモノファクトリー常務取締役・三上勇介氏をゲストに迎え、同社クリエイティブデザインセンター長・堀内健人氏と同社デザインディレクター/グループ長・田中映子氏がトークセッションを行った。
3氏は、わが国のサーキュラーデザイン(CD)の取り組みは欧州と比べ遅れており、脱炭素社会を実現するためには法整備を含め官民が一体となり、資源⇒素材建材⇒政策施工⇒利用⇒解体回収⇒再資源化の循環を推進すべきとした。
同社は、3年半前からCDのプロトタイプ家具の実証実験を行っており、「MINI BAR」「NICHI TABLE」「BENCH SOFA」「BENCH」「CHAIR」などを開発した。
これらの成果を踏まえ、同社は「サーキュラーデザイン構想」としてまとめ、⓪ロングライフ①CO2削減量の見える化②循環がしやすい③分解がしやすい④再利用材(再生可能)⑤認証材/推奨材⑥国産材/国内製作⑦製品製材トレーサビリティ-の「8つのポイント」を挙げている。
同社は2026年度内にCDインテリアサービスを開始し、2030年度には家具の買取再販がスタンダート゜になるとしている。開発されたプロトタイプ家具も展示された。
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小生は、年に1回のこの同社のセミナー&懇親会を楽しみにしている。何が楽しみかといえば、何といっても〝記者〟というだけでジョサイア・コンドルが設計した「綱町三井倶楽部」にただで入れることだ。ロダンの彫塑、ターナー、ト一マス・ローレンスなどの西洋絵画や日本画、山水画などが至るところに展示されており、懇親会場はマンションの天井高の2倍はありそうな宴会場で、床は無垢材によるヘリンボーン仕上げ、細かな刺繍が施されたカーテンタッセル…これだけで金持ちになったようで、飲む前に酔うことができるからだ。
この日、供された料理の一部を紹介する。食器類はみんなブランド物に違いなく、料理そのものが美しい。記者は、いつものように白ワインを何杯もお替りし、食べ物といえば〝名物〟と言われるビーフカレーとワカサギのカルピオーネ(甘酢漬け)しか食べなかった(供されたワイン、ウイスキーなどの酒類は、この施設を日常使いされている方々が飲まれる酒とは明らかに異なる-これだけが唯一惜しまれる)。
宴もたけなわ、酒が飲めない、記事も〝甘い〟同業の記者は昨年同様、性懲りもなく意地汚くケーキをほおばっていた。勧められるままに1つ食べてみた。まろやかな甘みが口腔を満たした。ケーキが病みつきになるのも分かるような気がしたが、〝辛口記者〟の小生は絶対そのような甘い誘惑には屈しないぞと誓った。
記者の一押しの作者不詳の18世紀の絵画(50号くらいか)
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