三井デザインテックは12月5日、綱町三井倶楽部でプレスセミナー&懇親会を開催し、パンデミックによる社会の大きな変化を受け、価値観が反転したNew Normal社会が日常化した現在のWell-Beingを叶える「クロスオーバーデザイン3.0(2023年)を発表した。
セミナーの冒頭、同社代表取締役社長・檜木田敦氏は「セミナーは2019年11月以来4年ぶりの開催。この間、価値観、ライフスタイルは大きく変化した。当社は2020年7月、三井不動産リフォームと統合し、新生デザイン会社として事業領域を広げていく。今回発表する『クロスオーバーデザイン3.0(2023年)』」はWell-Beingつながる価値観を提案するもの」と挨拶し、懇親会では「クロスオーバーデザイン3.0によってどんどん出番が増える」と乾杯の音頭を取った。
続いて登壇した同社フェロー・見月伸一氏は、2015年の空間の融合を具現化した「クロスオーバーデザイン1.0」、2016年のアナログ要素のポテンシャルを引き出した「身体性伴う情緒的な体験」提供する「クロスオーバーデザイン2.0」を振り返り、今回の「クロスオーバーデザイン3.0」について次のように説明した。
パンデミックを経て価値観が反転したNew Normal社会が日常となり、SDGsの社会通念化とAIが急速に普及しつつある現代において、ダイバーシティ&インクルージョンがますます重要性を増し、自分らしく居られるWell-Beingな環境を創造することが求められている。
そのためには、既成概念にとらわれない「UNCONVENTIONAL」の発想で、リトリート・コミュニティ・イマーシブの3つの掛け離れた要素を融合し、化学反応を起こす「CROSSOVER INNOVATION」を当社は推進していく。
トークセッションでは、世界的なフラワーアーティスト ニコライ・バーグマン氏、見月氏、同社ワークスタイルデザイン室 コンサルティング第1グループ長・酒井慎太郎氏がWell-Beingな社会などについて語り合った。
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同社のこの種のセミナーほど楽しい取材はない。何か楽しいかと言えば、何の資格もない〝記者〟と名乗るだけで、ジョサイア・コンドルによる歴史的建造物の「綱町三井倶楽部」の敷地内に堂々とただで入れることだ。
完成は大正2年だから110年が経過する。その間、関東大震災では大きな被害を受け、戦後も米軍に撤収されたようだが、現在もほぼ原形をとどめている。その美しさに圧倒され、畏怖すら覚える。
同社もホテル関係者も鷹揚なもので、自由に動き回って館内の絵画や家具・調度品を撮ろうとおとがめは一切なし。今回も新しい発見があった。地階「BAR」の横に据えられている幅1.5m、高さ2mもある螺鈿仕上げの大鏡。値段を聞いたが「値はつけられない」代物だという。
明治末期の作品だという英国Mappin社製のスプーンセットもケースの中に収められていた。ネットで調べた。同社は1897年にビクトリア女王から「王室御用達」の認定を受け、今でもMappin&Webbの職人が英国王室のクラウンジュエラー(王冠を作成する職人)として任命されているとか。
クロスも調べた。張り替えられたように見えたが、ビニールクロスではなく紙か布クロスのようだった。
肝心のセミナーはどうか。同社が手掛けたマンションやホテル、とくにマンションは数えきれないほど見学しており、その卓越したそのデザイン力に感服している(RBAホームページで「三井デザインテック」を検索すると2013年以降の約40件がヒットする。トータルするとアクセス数は約20万件)。
しかし、小生は自分が見たものだけしか信じない質で、座学は苦手で、セミナーの中身を理解したかと問われれば、正直よく分からない部分もあった。「クロスオーバーデザイン3.0(2023年)」は、デザインとアート・音環境などを多用したインタラクディブな空間を創造するのだろうと解した。
食べ放題&飲み放題の懇親会では、バランタインファイネストをかなり飲んだ。100年物のワインやウイスキーもあるようだが、われわれメディアには供されなかった。札幌から2時間くらいのホテルが1泊75万円(120㎡)と聞いたが、坪単価は2万円強だ。△△△ホテルだって坪2,000円超だ。ありえない話ではない。マンションの今後のデザインについて話を聞けなかったのは残念だった。
檜木田社長も触れた、様々なアワードを受賞した東銀座の新社屋はコロナ禍で見学は断られたが、改めてお願いしレポートしたい。
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