「NLTコンテナ」
三井ホームは2月12日、埼玉県加須市の同社埼玉工場で「NLTコンテナ」現場見学会を開催し、2025年2月から本格販売を開始したと発表した。同コンテナは15㎡で、価格は250万円(坪52万円)から。持家の着工戸数が減少する中、木造に注目が集まっていることを追い風に、非住宅のメニューの一つに加えようというのが狙いだ。
NLTとは、ネイル・ラミネイテッド・ティンバーの略称で、隣り合わせにした2×4材の側面を釘打ちすることを繰り返し束ねパネル形成したもの。同社の木造マンション「MOCXION INAGI(モクシオン稲城)」の一部の床根太としても採用されている。
工期は約7日間と短く、強固で断熱性能が高く、接合方法にはボルト・ナットを採用することで再利用が可能で脱炭素社会にも貢献し、3階建てにすることもできるのが特徴。
想定される用途はリゾートホテルバンガロー、グランピング施設の客室、事務所、展示会ブース、移動販売店舗、カフェ、離れ・勉強部屋など。
試作棟は幅6.7m×奥行き2.4m×高さ2.4m、重さ4t。構造は木造枠組壁工法(ツーバイフォー工法)、用途は木造コンテナ、工期は約7日間~(仕様により変更有)、価格は250万円(税別)~。設計・施工は三井ホーム。木材利用量は7㎥、炭素貯蔵量は4t-CO2、スギの木に換算すると約8本に相当する。
コンテナ内部
NLT部材
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同じような商品は、三井不動産の「HUBHUB(ハブハブ)プロジェクト」、ミサワホームの「MISAWA UNIT MOBILITY『MOVE CORE』」を見学取材しているが、今回の「「NLTコンテナ」も負けず劣らずだ。試行段階のため、同社は具体的な販売目標は示さなかったが、確かな手ごたえを感じているようだ。無限の可能性を秘めていると思った。
何がいいか。まず、床も壁も天井も全てが木造ということだ。外壁は群馬県産材、内装壁は福島、栃木、茨城にまたがる八溝山脈産材のスギ材。中に入ると甘い香りが鼻腔を満たした。
断熱性能も高い。同社は具体的な断熱性能の数値を公表しなかったが、寒冷地の基準をクリアする自信を見せた。鉄骨造などとは比べようもなく優れている。
問題の価格だが、同社木材建材事業本部施設建材営業部施設営業グループ兼木構造研究所主任・山本剛氏は「(ゼネコンなどの)類似品と比較して高くはない。価格が商談を進めるうえでネックにはなっていない」と自信をのぞかせた。
記者は法令上の制限などはよくわからないが、トレーラーで運べるということのようだ。土地に定着させなければ建築物に該当しないから、固定資産税、都市計画税の課税対象にもならない。
山本氏は10㎡を超えると建基法の確認申請が必要との主旨の説明を行ったが、ならば、これを2つに分けるとか、6畳大(9.9㎡)のコンテナを開発して販売してはどうか。爆発的に売れるのではないか。記者なら、施設を回転式にして、太陽光を追尾し、窓面はいつも自然光を取り入れるようにするし、朝昼晩、四季によって自由に向きを変えられるようにする。
今回の見学会では、もう一つ、驚くべき光景を目の当たりにした。埼玉工場(敷地面積約4.7ha)内の25m×40m(約1,000㎡)の施設も公開されたのだが、全て一般で流通している木材を使用して建てられたものだった。普通の鉄筋、鉄骨、木造在来だったら至るところに大きな柱や梁があるはずなのに、それらは一つもなかった。その隣の約600㎡の「スマート倉庫」は大工さん2人がわずか3週間で完成させたという。
見学会(埼玉工場で)
説明する山本氏
工事用内の現しの天井
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