「ルネ柏ディアパーク」
総合地所が京成電鉄、FJネクストとともに共同で分譲している「ルネ柏ディアパーク」を見学した。柏市指定の「景観重点地区」内に位置していることから緑地率を23%確保し、ZEH-M OrientedとABINCの認証を受け、全389戸のうち約9割に可動収納ユニット「UGOCLO(ウゴクロ)」を採用し、新型コンパクト3LDKプランを提案しているのが特徴。
物件は、JR常磐線柏駅から徒歩15分(バス約9分「向原住宅」バス停徒歩1分)、柏市豊四季台1丁目の第一種中高層住居専用地域に位置する敷地面積約13,972㎡、14階建て全389戸。先着順で販売中の住戸(25戸)の専有面積は62.43~84.61㎡、価格は4,188万~7,598万円(最多価格帯5,400万円台)、坪単価250万円前後。竣工予定は2026年8月中旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト。
現地の従前はUR都市機構の賃貸住宅で、2023年5月に同機構の入札により用地を取得。建物はコの字型で、東向き、南南西・南西向き、西向きがそれぞれ3分の1ずつ。
物件ホームページ開設は昨年4月で、これまでの反響数は約800件、モデルルーム来場者は約360件(1/19現在)。うち約6割が地元からの反響・来場。販売開始は昨年12月で第1期として100戸を供給し、これまで70戸を成約している。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented認証、ABINC認証、市条例の14%を上回る23%の緑地率、直床、リビング天井高2500ミリ、ディスポーザー、食洗機、可動収納ユニット「UGOCLO(ウゴクロ)」、「U’s スタイル」など。共用施設はパーティールーム、マルチラウンジ、ゲストルーム、サウナルーム、スタディラウンジ、ランドリールームなど10施設。管理会社管理者方式「smooth-e(スムージー)」も採用している。
開発担当の同社分譲事業部マンション開発部開発1課課長・石井大祐氏は「戸数は柏駅圏最大級で、当社の物件としては全439戸の『ルネ横浜戸塚』に次ぐ規模。(記者の「遠い」という質問には)、物件のすぐそばには、通勤時間帯は2~3分置き、1日約200本が運行されている豊四季エリアの玄関口となるバス停『向原住宅』がある。来場者に対する成約率は23%と高い。(この単価帯の競合物件はかなりあるという質問には)共用施設を充実させ差別化はできている。今後、中広域からの集客を目指す」と語った。
模型(バス停「向原住宅」があることが分かる)
説明する石井氏
◇ ◆ ◇
記者は、間口5400ミリ(フレーム奥行き1148ミリ)の62.43㎡(18.88坪)の新型コンパクト3LDKプランに注目した。全戸数の13%に当たる50戸で、リビングダイニングが約9.7畳大、キッチンが約3.6畳大で、洋室は約5.9畳大、約3.8畳大、約3.5畳大の3室。価格は4,000万円台の前半だろう。
今から10数年前の3LDKといえば73~74㎡が〝標準〟とされていた。その後、用地・建築費が上昇する一方で、実質賃金が底這いを続けたことから、デベロッパー各社は専有面積圧縮などで価格抑制に努めてきた。しかし、このところの建築費高騰は多少の専有圧縮では対応できなくなっている。
今回の物件で81㎡と62㎡の新型3LDKのモデルルームを設けたのは、建築費高騰対策として、さらにまた潜在的なニーズを掘り起こし、今後の展開に生かそうという狙いがあるはずだ。
モデルルームを見てすぐ、これは支持されると思った。何がいいか。吊り型クロゼットやランドリークロゼットを配することでスペースを有効に活用していることと、キッチンは壁付けとし、リビングとの間に広いカウンターを設け、カウンターにダイニングテーブルを配した提案だ。LDKは13.3畳大だが、もう一つの81㎡のモデルルームの約15畳大のLDKとそん色がなかった。(ポラスの「ピアキッチン」がどうして人気なのか考えていただきたい)
同社によると、第1期で供給した9戸は全て完売したという。購入者の中には5人家族もいたという。(ナイスがかつて70㎡の4LDKを供給したのをご存じか)
62㎡(D2タイプ)モデルルーム
62㎡(D2タイプ)間取り
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同社のマンション見学会には、同業の見学会にはないものが一つある。配布される資料は微に入り細を穿つ-完璧だ。〝価格は未定〟などと消費者や記者を馬鹿にするようなことはしないし、どんな質問にも丁寧に答える。
今回、小生が見学する前にメディア向け見学会が行われている。その際の記者と同社のQ%Aの資料がある。記者の質問は「竣工はいつか」「入居はいつか」「共用部には何があるか」「新型コンセプトは従来の60㎡台の3LDKと何が違うか」など、物件ホームページや概要を読めばすぐわかる、馬鹿馬鹿しい質問(要するに質問する記者は何もわかっていないことを露呈している)にもきちんと答えている。
的を射た質問では「近郊エリアでのマンション市場は? 価格相場、本物件の値付けの理由など」があり、同社は「同駅で住友不動産、三井不動産レジデンシャルが分譲中。沿線手前の松戸駅や流山市内の物件価格が大きく上がっており、本駅でも5,000万円前後の価格帯も相場内」と答えている。
この答えの成否は記者も分からない。質問自体、周辺物件を見ていなければあまり意味がない。小生が師と仰ぐ故・佐藤美紀雄氏はこのような場合、駅の反対側の徒歩15分のマンションが分譲されていれば、アポなしでモデルルームを見学した。担当者がまごつくと「私が何者かわからないのか」とすごんだ。歩くスピードは小生の2倍あった。タクシーを利用することはなかった。
柏駅や流山おおたか駅で駅近マンションが供給されれば坪単価は400万円を超えるかもしれないが、一方で坪250万円前後のマンションはかなり供給されている。戸建てや中古マンションとの競合も避けられない。
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