「ポラステクノシティ」
ポラスグループは3月13日、先に竣工した埼玉県吉川市の複合施設「ポラステクノシティ」で、中原恵人・吉川市長と中内晃次郎・ポラスグループ代表が出席して、吉川市と「災害時における帰宅困難者一時滞在施設の提供並びに防災倉庫の使用に関する協定」の締結式と施設見学会を行った。
締結式で中原氏は、「私の父親は日本家屋の設計士であることから、小さいころから建築には興味があった。今回の施設がどのようなものになるかわくわくして見ていた。東口の区画整理事業は文化の拠点にするのが一つのテーマ。木造住宅は日本の文化そのもの。このような木材の文化を継承し、さらには環境問題、子どもたちや市民に様々な学びを提供していただくことは大変ありがたい。この協定が吉川市の街づくり全体、そしてこの地で建てられる住宅が安心・安全につながっていくことを期待している。今後、ここには5,000人近い新しい市民が住まわれることになる。皆さんと様々な形で連携させていただく」とあいさつした。
中内氏は、「今回の協定の締結を機に、地域の活性化と安全・安心な街づくりに通じる活動を行っていく。『ポラステクノシティ』は当社の木造建築の情報発信拠点。構造から全て木造からなっており、3つの建物は当社のポラス暮し科学研究所の開発・研究施設として、また、『体感住まいパーク』は4棟の注文住宅のモデルハウスから構成されており、宿泊体験も可能な施設となっている。当社はこれまで市内で多くの分譲住宅、注文住宅を建設してきたが、吉川市内に常設の販売拠点を設けるのは初めて。また、この施設は当社の木造建築としては最大の延床面積。今後開発が進む吉川美南の東口の区画整理事業エリアにおいて、この施設を最大限活用し、地域活性化の一助になる事業を展開していく」と語った。
協定に基づき、施設は災害時の帰宅困難者の受け入れ、電気、水道などの提供、さらには防災備蓄倉庫も整備されることになっている。
「ポラステクノシティ」は、JR武蔵野線吉川美南駅から徒歩13分、吉川市による施行面積約59.1haの吉川美南駅東口周辺地区土地区画整理事業地内に位置する敷地面積約6,000㎡(1,800坪)の規模。ポラスグループ6か所目となるグループ単独の注文住宅展示場「体感すまいパーク吉川美南」4棟のほか、住まいに関する技術展示スペースと地域との交流の場となるイベントスペースを設けた「オフィス棟」(2,252㎡)、主にポラス暮し科学研究所が入る「研究棟」(1,342㎡)、実物大の住宅を収めた実験が可能な「実験棟」(1,050㎡)から構成されており、建築確認に当たっては、4施設を一つの建築物(事務所)として認定された。4棟全体の延床面積は5,127㎡となり、同社のこれまでの木造建築物としては最大規模。常時70~80人が勤務する。
3棟に共通するのは、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)認証取得。ZEB要件を達成。木造建築でBIM活用(国土交通省補助事業「建築BIM加速化事業」利用で、3棟合計で年間杉10,214本分、森林面積11.3ha分のCO2排出削減効果があるという。
オフィス棟は75分準耐火、研究棟は60分準耐火構造。一般流通材と大断面集成材、住宅用の金物を使用。オフィス棟の3階部分は12m×32m=384㎡の無柱空間となっている。実験棟は高さ15.5m×短辺20m×長辺52.5mの木造平屋建て。CLT材のノンビス高耐力壁を用いることで強度・靭性、施工性の両立を実現。一般的な構造用面材を用いた場合、439人の職人が必要なのに対して、191人で完成させた。実験棟の広さは、先月見学した三井ホームの埼玉工場内の25m×40m(約1,000㎡)の施設とほぼ同じ。
中原氏(左)と中内氏
左から中原氏、市のキャラクター・ナマリン(市はナマズで有名)、中内氏
オフィス棟
研究棟
実験棟
オフィス棟の無柱空間の3階(左)と階下の2階(2階は荷重がかかるため柱が必要とか)
オフィス棟1階ロビー
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取材の帰り。区画整理事業地内の植栽マスではシャリンバイが植えられていた。丈夫な常緑低木で、春には白い可憐な花を咲かせるが、どちらかといえば地味な樹木だ。歩道は自転車専用レーンも設けられており、幅は6mくらいあったが、駅前の街路樹は幼木(樹種は不明)だった。ここに限ったことではないが、区画整理事業地の街路樹はどこも貧弱だ。大きな課題だと思う。
シャリンバイ(左)と駅前の街路樹