RBA OFFICIAL
 
2025/03/31(月) 11:04

Park-PFI活用した多摩中央公園4月5日オープン カフェなど整備し回遊性高める

投稿者:  牧田司

IMG_5652.jpg
「ケヤキハウス」 

 多摩市は3月30日(日)、Park-PFI制度を活用した「多摩中央公園」のリニューアル工事完了に伴い、メディア向け内覧会を実施した。カフェや遊具を新設することで既存の公園内施設との連携を図り、「誰もが楽しめる賑わいある公園」として生まれ変わる。グランドオープンは4月5日(土)。当日は午前10時から午後8時までマルシェ、飲食キッチンカ―、物販、LIVEなど様々なセレモニー、イベントが行われる。

 多摩中央公園は、京王・小田急多摩センター駅から徒歩5分、多摩市落合2丁目に位置する面積約112,900㎡。開設年は昭和62年10月。開設から30年以上が経過し、一部施設の老朽化が進んでおり、最近の公園ニーズに対応するためPark-PFI制度を活用。令和3年10月に公募し、応募があった2グループのうち、市の事業費総額約30億円に対して約27億円の提案を行った物林株式会社を代表企業とするTAMAセントラルパークJV9社が事業者として選ばれた(落選グループは約30億円)。国の補助事業として15.7億円の社会資本整備総合交付金を活用する。事業期間は令和25年3月末までの20年間。

 新たな施設として「ケヤキハウス」「エディブル&フラワーガーデン」などを整備。老朽化したカスケード、大池のろ過・浄水設備の更新を行った。

 また、公園内のパルテノン多摩、中央図書館(2023年開館)、グリーンライブセンター(G.L.C)、旧富澤家住宅の4つの特定施設との連携を強化し、回遊性を高めるため舗道を整備している。

 この他、幼児~小学生向け遊具広場、車いす利用者も楽しめるウェルビーイング遊具広場、運動用具が収納できる自由広場、BOOKパーク、きらめきの広場、大池前テラスなどが新設されている。

 公園内の植栽計画では、ナラ枯れ、東側法面の土砂崩壊対策、整備事業による伐採樹木は全体の2割以上の1,125本となったが、広島市から寄贈された原爆二世アオギリが植樹され、サクラもたくさん新植されている。

 内覧会のナビゲーターで公園の改修整備・運営事業者JVグループ統括責任者・室橋智氏(物林営業本部長)は「既存の施設を設計、施工した会社からもヒアリングを行った。難しい事業ではあったが、コストを抑える工夫もし、国産材の木を使い、周辺環境との親和性を重視した」と説明した。

001-2_220510_143345_1.jpg
多摩中央公園(市のホームページから)

IMG_5611.jpg
パルテノン多摩「きらめきの広場」

IMG_5614.jpg
「足るを知る」がコンセプトの水盤

IMG_5620.jpg
大池

IMG_5622.jpg
「エディブル&フラワーガーデン」

IMG_5632.jpg
遊具広場

IMG_5637.jpg
ウェルビーイング遊具広場

IMG_5658.jpg
原爆二世のアオギリ

IMG_5687.jpg
手前は新植されたと思われるサクラ

IMG_5617.jpg
室橋氏

IMG_5640.jpg
自由広場(室橋氏の背後は運動用具などを収納できる小屋。右側は隣接する桜美林大学の敷地だが、公園との垣根は設けられていない)

◇      ◆     ◇

 小生は公園の緑や街路樹をかなり見てきたが、Park-PFIによる公園整備事業は三井不動産「MIYASITA PARK」、積水ハウス・三菱地所他「海の中道海浜公園官民連携推進事業」、東京建物「都立明治公園」、大和リース「鳥居崎海浜公園」、東急不動産グループ「代々木公園Park PFI」しか知らない。

 なので、今回の以下の記事が正鵠を射ているかどうかの自信はない。さらにまた、多摩市民として利用してきたこともあり、市民だから贔屓目に見ようとする自分と、市民だからこそ厳しい目で見ようと考えるもう一人の自分がいた。取材中の2時間、双方がせめぎ合いをしたが、贔屓目に見る必要はそれほどなく、厳しい目で見ても「合格点」が付けられると結論付けた。第三者が厳しい目で評価しても同じ結論に達するのではないか。

 とくに評価したのは3点。第一は公園運営事業者の管理センターとトイレが併設されている「ケヤキハウス」だ。木造平屋建てのカフェは外壁のスギ材のほか、内装にも本物の木がたくさん採用されており、ペット同伴利用も可能(一部除く)。

 第二は、リニューアルオーブンされるグリーンライブセンターだ。これまでは植物鑑賞が中心だったが、市民参加するセンターへと生まれ変わる。コナラとサクラの巨木の萌芽更新は興味深いし、水琴窟は移設して残されている。シンボルツリーのカツラは見事な自然樹形を描いており、高さは20mくらいある。また、センターの維持管理にかかわってきた恵泉女学園大学が最後の活動として植えた草花もオープンに彩を添えている。同大学はアダプト制度による多摩センター駅周辺の美化に大きな役割を果たした。

 第三は、豊かな緑と4つの特定施設の回遊性を高めた遊歩道の新設だ。公園内の回遊性が飛躍的に向上した。

 市はこれまで公園利用者数をカウントしてこなかったが、これを機にカウントするという。Before Afterはわからないが、利用者が大幅に増加するのは間違いない。

IMG_5655.jpg
ペット同伴可能の「ケヤキハウス」テラス席(天井高が2400ミリくらいで低いとは思ったが、座って利用するので問題ないか。右側は広場が展開する)

IMG_5657.jpg
よく見えないかもしれないが、手前の建物は事業者が整備した管理センター、その奥は市が費用負担したトイレ(軒裏は手前はケミカル製品、億は本物の木。このあたりにも事業者がコストを抑制した努力がうかがわれる)

IMG_5660.jpg
新設された旧富澤家への遊歩道

IMG_5665.jpg
旧富澤家

IMG_5706.jpg
土砂崩壊対策として樹木は伐採され、全面芝生が植えられた東側法面。背後はグリーンライブセンター(芝生の管理は大変だが、費用は事業者の収益から充当するので市の負担増はないという)

IMG_5711.jpg
萌芽更新のトライ(手前はサクラ、奥はコナラ)

IMG_5719.jpg
水琴窟

IMG_5720.jpg
シンボルツリーのカツラ

IMG_5716.jpg
伐採木は総理大臣賞を受賞したNPO多摩グリーンボランティア森木会などが再利用する)

木調ルーバー多用した施設デザイン抜群東急不など「代々木公園 Park PFI」(2025/2/25)

Park-PFI活用「都立明治公園」来園者240万人突破東京建物/公園を考える(2025/2/7)

「うめきた公園」事業者は自画自賛でも大阪市の指定管理者評価の評点は77点(2024/9/4)

「多摩中央公園改修」の疑問氷解樹木5000本うち伐採予定1125本の8割は実生木(2023/10/21)

三菱地所・積水ハウスなど国営公園初のPark-PFI「海の中道海浜公園官民連携事業」(2021/5/17)


 

 

 

rbay_ayumi.gif

 

ログイン

アカウントでログイン

ユーザ名 *
パスワード *
自動ログイン