積水ハウの入社式(手前が「うめきた公園」、背後は同社本社が入居する「新梅田ビル」)
住宅・不動産各社は4月1日、それぞれ趣向を凝らした入社式を行った。各社から送付された社長の祝辞を紹介する。(順不同)
将来ある「鵬雛(ひな)」が最初に辿り着いた当社
パナソニック ホームズ代表取締役社長 藤井孝氏
入社おめでとうございます。本日皆さんを当社の一員として迎えられることを、私をはじめ、ここに列席の取締役一同とても嬉しく思っています。
皆さんは、本日まさに自分の力で社会に降り立ちました。私の母校では、卒業生が「鵬雛は図南に旅立つ」という言葉と共に巣立ちます。「鵬」は、中国の文献「荘子」に登場する伝説の大きな鳥で、時が来ると翼をはばたかせ、九万里先の南の海を目指して飛び立つと言われています。将来ある「鵬雛(ひな)」である皆さんが旅立って、最初に辿り着いた場所が当社だと思います。
当社は、創業者 松下幸之助の“良家づくり”の想いで設立され、今年創業 62 年目を迎えます。創業当初からハードとしての「家」ではなく、そこに住む「人」起点で「くらし」を文化として捉え、「新・くらし文化の創造」を理念として掲げています。この理念は私たちが大切にしている価値観ですので、皆さんも是非心に留めておいてください。また、当社は何のためにあるのか、私たちは何のために働いているのかについても、創業者は綱領として定めていますので、しっかりと覚えておいてください。
新入社員の皆さんへ期待することを3点お話しします。先ずは、①失敗を恐れずチャレンジすること。会社の先輩の武器は、過去の成功体験から得た知見ですが、皆さんの最大の武器は「何も知らないこと」にあります。何事も変化が加速している現代では、過去の経験に囚われることなく失敗を恐れず、柔軟な思考や新しい視点を業務に活かして変化に対応することが重要です。次に、②チームワークの重要性です。
皆さんは、これから必ず困難な状況や課題と向き合うことになりますが、その局面こそ組織の力(チームワーク)が試されます。個の能力を最大限発揮するためにはお互いが協力し合い支え合うことが不可欠です。
最後に、③自己成長とキャリアです。皆さんのキャリアは本日から始まります。自己成長を目指し、常に新しい知識やスキルを身につける努力をお願いします。物を見る・人と話す・読書するなども、自己成長を図る上で大切なことだと思います。
また、創業者の言葉「一商人ナリトノ観念を忘れず」についても、新入社員として心得てください。創業者は「一商人」の要件として、商売の意義がわかること・お客様の心が読めること・人よりも頭が下がること、の3つを挙げています。自分たちの商売の存在意義を認識し、お客様の思いに人一倍敏感になり、常に謙虚で感謝の言葉を忘れないことへの心構えを忘れずにいてください。
当社の親会社であるプライム ライフ テクノロジーズグループの合同入社式が、明後日開催されます。皆さんは、当社の考えや思いを体得した上で、グループ各社が持つ伝統・風土も理解しながら、コミュニケーションを図っていただきたいと思います。
「人を、想う力。街を、想う力。」一緒に次に行こう
三菱地所執行役社長 中島 篤氏
中島氏
・ 入社おめでとう。三菱地所の仲間として迎えられたことを大変嬉しく思う。ぜひ、今の初心を大切にし、これからの成長につなげてほしい。
・ 三菱地所グループは「まちづくりを通じて社会に貢献する」という基本使命を掲げている。その根幹には、「三菱三綱領(所期奉公・処事公明・立業貿易)」の理念があり、この価値観を受け継ぎ、誠実に仕事に取り組んでほしい。
・ 企業の力の源泉は人財である。世界情勢が大きく動き、テクノロジーも進化する今、過去の経験が通用しない局面が多くある。そうした環境の中で、長期経営計画 2030 を達成するためには新しい感性を持つ皆の力が欠かせない。更に「2040 年」「2050 年」には皆が中心となって未来を切り拓いていくことを期待している。
・ 今後仕事をする上で、大切にしてほしいことは二つある。「①向上心を持ち、自身
を成長させること」そして「②周りの人への尊重を忘れないこと」だ。
・ ①について、当社の事業は単独で完結するものではなく、社内外の多くの関係者
と協力しながら価値提供をしていくものだ。「この人ともう一度仕事がしたい」と思ってもらえる様、基本的な業務遂行力はもちろん、語学力やグローバルな対応力も磨き、世界に通用するデベロッパー人財へと成長して頂きたい。
・ また、「②周りの人への尊重を忘れないこと」も大切にしてほしい。意見や立場が
異なるときは、意見を戦わせながらもお互いに敬意をもって接することで、仕事が円滑に進み、自己成長にもつながるはずである。
・ 当社のブランドスローガンは「人を、想う力。街を、想う力。私たち三菱地所グループは、チャレンジを続けます。」だ。世界中からナンバーワンと言われる不動産事業グループを目指し、一人ひとりがチャレンジを続け、一緒に次に行こう。
「Try forhappiness」 選ばれ続ける住まいを
三菱地所レジデンス代表取締役社長執行役員 宮島 正治氏
宮島氏
当社は三菱地所グループの基本使命である「まちづくりを通じて社会に貢献する」ことを実現するため、お客様から選ばれ続ける質の高い住まいづくりに取り組んでいる。さらに多様化するライフスタイルに応えるため、これまでに培ったノウハウを生かし、様々なアセットを通して、お客様に快適な暮らしを提供している。
社会や当社の事業環境は絶えず変化しているが、その中で求められているのは資産価値の高いマンションだと感じている。「手放したくない」、そうお客様に思っていただける住まいづくりを行いたい。
近年は立地や仕様だけでなく、環境配慮や防災など、建物における社会的意義が住まいに求められている。当社としては ZEH の標準化や太陽光発電システム「soleco」の導入等を継続し、CO2排出量削減に努めるとともに、コンクリート型枠合板のトレーサビリティ確保など業界に先駆けた取り組みを進めている。また、防災については居住者の皆様との防災訓練やオリジナル防災ツールの一般公開などを通じて、災害時に地域の方々が迅速に対応できるよう、防災力強化のための活動を行っている。
今後もあらゆるステークホルダーから選ばれ続ける企業であるために、当社では「Try forhappiness」というスローガンを掲げ、積極的な「Try」を推進している。皆さんにも、お客様や社会の幸せについてとことん向き合い、挑戦をしていってもらいたい。
本日から同じ職場の仲間として働いていけることを嬉しく思っている。これからの三菱地所レジデンスを一緒に盛り上げていこう。
「まだ見ぬ、Life&Time Developer」へ
野村不動産ホールディングス代表取締役社長グループCEO 新井聡氏
野村不動産グループに入社された387名の皆さん、誠におめでとうございます。
最初に、皆さんが人生における新しいステージに入られたことに対してお祝い申し上げます。そして、皆さんのここまでの成長を支えて下さったご家族をはじめとする方々に、皆さんと一緒に深く感謝したいと思います。
2025年は、当社グループにとって大きな節目の年になります。当社グループは、この夏に、47年前に本社を構えた新宿から港区のブルーフロント芝浦に本社を移転します。単に本社の場所を変えるということではなく、当社で働く皆さんの意識を変えることにより、当社グループが新たなステージに進化していくきっかけにしたいと考えています。当社の強みである「お客様のニーズを起点にして、優れた商品・サービスを産み出し、提供し続ける」ことに変わりはありません。
この強みを活かしながら、価値創造の手法を変革し、提供する商品・サービスの価値をさらに高めていくことにより、新たなステージである「まだ見ぬ、Life&Time Developer」への進化を加速させていきます。人々を幸せにして、社会を豊かにする、そのようなグループになることを目指していきます。
グループの仲間になった皆さんに、私からお願いしたいことが二点あります。
一つ目は、今日から自分自身を磨くことに今まで以上に力を入れていただきたいということです。仕事を離れた場においても、様々なことに好奇心をもって、自らの知見を拡げる努力を続けて下さい。たゆまない努力によって得られる幅広い知見は、必ず将来の皆さんの糧になるはずです。
二つ目は、皆さんが働く職場に新たな風を吹き込んでいただきたいということです。新人だからこそ、経験が少ないからこそ新たに気づくことや考えることもあるはずですので、遠慮せずにそれらを周りの人に伝えて下さい。皆さんのそのような行動が職場に新たな風を吹き込むことに繋がりますので、是非とも前向きに取り組んで下さい。
最後になりますが、人々を幸せにして、社会を豊かにしていくことを目指す野村不動産グループに加わった皆さんを、あらためて心から歓迎致します。
今日から、皆さんは私たちのグループの一員です。これから全員で明るい未来を創っていきましょう。何卒よろしくお願いします。
選ばれ続けるナンバーワンブランドへ
野村不動産ソリューションズ代表取締役社長 日比野勇志氏
皆さん、入社おめでとうございます。
春の穏やかな天気と満開の桜の中、人生の新しい大きな一歩を踏みだされる皆様を心から祝福します。また、ここにいる野村不動産ソリューションズの経営陣、そして全社員で皆さんを心より歓迎いたします。
不動産を必要としている人に届ける、単に壊してしまうのではなく新しい活用アイデアを提供していく、これらのアクションは社会のインフラやシステムを維持していくためにも極めて社会的な意義が高いビジネスであると言えます。
「私たち野村不動産ソリューションズは、不動産サービスの提供を通じて、広く信頼され、高い評価を頂くことで、選ばれ続けるナンバーワンブランドを目指します」。この理念の根底にあるのは、徹底したお客様目線を貫くことでお客様を幸せにし、私たちも幸せになりましょうということです。お客様のありがとうを一つひとつ積み重ねることで、私たち自身を幸せにしていきましょう。
皆様に二つだけアドバイスをしたいと思います。一つ目は、人生においても圧倒的に環境変化が起きた今、つまりストレスがかかった状態は、自分を色々な意味でジャンプアップさせるチャンスであります。ぜひこの環境の激変を乗り越えて成長していく過程を楽しんでいただきたいな、と思います。
もう一つは、自分にベクトルを向ける、ということを忘れないでほしいということです。周りにベクトルを向けて自分を守ることばかりしていると、前に進むことはできませんし、ましてや成長することはできません。目をそらさず自分にベクトルを向けた上で、周りの先輩方に相談してください。聞くことや相談することは決して恥ずかしいことではありません。私たちは全員ずっと皆さんの味方であります。
野村不動産ソリューションズは、皆さんの力を必要としています。そして、本日、皆さんは私たちの家族となりました。ここにいる経営陣は経営理念を実践することで、皆さんをはじめとするすべてのステークホルダーを幸せにすることができる会社を作るために、全力を尽くすことをここにお約束します。
一緒に明るく頑張っていきましょう。これからよろしくお願いいたします。本日は本当におめでとうございます。
自己成長と社会貢献が実感できる企業へ
ポラスグループ代表 中内 晃次郎氏
中内氏
現代は先行きが不確実、不透明であると言われています。今に始まった話ではありませんが、人々の生活観や働くことへの価値観は大きく変化し、またデジタルなどテクノロジーも進化しています。過去の成功体験が必ずしも通用しない現代だからこそ、皆さんにとっては大きなチャンスでもあります。
研究開発や教育研修を行う中・大規模木造建築「ポラステクノシティ」を吉川美南に新設しました。また、ポラス建築技術訓練校では、一流の大工技能者を養成する取り組みを約40年間続けています。さらには、当社では10年連続でベースアップも実施していますが、これからも人材への投資は維持、加速させていきたいと思っています。
これらの人材投資を行うのは、性別、年齢、キャリアなどに関係なく、全てのグループ社員が輝き、そして自己成長と社会貢献が実感できる企業でありたいとの思いからであります。
ここにいる皆さんの大いなる可能性と成長に期待をしていますので、ぜひ一緒に頑張っていきましょう。
「一隅を照らす」 その光は社会を照らす
大和ハウス工業代表取締役社長 大友浩嗣氏
新入社員の皆さん、入社おめでとうございます。本日から社長を務める大友です。当社は4月5日に創業70周年を迎えます。この節目の年に新しい仲間として皆さんを迎え入れることができ、うれしく思います。
1.創業者の著書などを通じて当社の企業理念や価値観を知ること 企業理念は皆さんが業務を進めるうえで目指すべき方向性を示す指針となります。諸先輩方は企業理念をヒントに、様々な困難を乗り越えたことで当社は今日まで成長してきました。企業理念を理解し、自らの行動に反映させてください。
2.プロフェッショナルとしての意識を持つこと 皆さんがこれから取り扱う商品は数千万・数億円単位の非常に高額なものであり、お客さまの「夢」を具現化する仕事です。業界のプロとして、金額に見合うだけの価値を提供することが求められます。常に仕事に誇りを持ち、高い品質を追求してください。
3.学び これから皆さんは社内、取引先、企業、行政など、仕事を通じて多くの諸先輩と出会います。様々な人から積極的に知識を吸収し、成長してください。また、新聞を毎日読む習慣をつけてください。新聞はビジネスの最前線を知るための重要な情報源です。経済や業界の動向を把握し、仕事に活かすことができます。インターネットだけの情報で全てを理解した気にならず、人に会い、新聞を読み、様々な情報を入手して多くの学びを積み重ねてください。
4.挨拶の徹底 挨拶をすることは、社会人としての基本です。挨拶はコミュニケーションの第一歩であり、信頼関係を築くための重要な手段です。元気な挨拶を心掛け、周囲の人々との良好な関係を築いてください。
5.感謝と初任給 今月末、皆さんは社会人としての初任給を得ることになりますが、その一部を使ってこれまでお世話になった家族など、大切な人に恩返しをしてください。皆さん自身も社会人として新たな一歩を踏み出す準備が整います。
6.天台宗の宗祖である最澄の言葉「一隅を照らす」 自分の持ち場で、全力を尽くして輝いてください。その光が周囲を照らし、やがて大きな光となって社会を照らすのです。皆さん一人ひとりが大和ハウスの未来を照らす光となることを期待しています。
2055年、当社は創業100周年を迎えます。その時の主役は皆さんです。皆さんの努力と情熱が、会社の未来を作り上げます。今年、当社は創業70周年を迎えますが、70年前の創業時はまさにベンチャー企業のひとつでした。これからも常に挑戦を続け、新しい価値を創造し続けてください。これからの活躍を心から楽しみにしています。
“「わが家」を世界一幸せな場所にする”
積水ハウス代表取締役社長執行役員兼CEO 仲井嘉浩氏
「うめきた公園」三角屋根
仲井氏
皆さん、ようこそ積水ハウスグループへ。皆さんと共にこれから仕事ができることを本当に嬉しく思います。当社はあえて入社式と言わず、「新入社員歓迎会」と言っています。皆さんは社会人になられました。社会人の定義とは、何らかの価値を世の中に与えるポジションになったことだと私は思います。いろいろな選択肢がある中で、積水ハウスグループを選んでくれたことを本当に感謝しています。積水ハウスグループを選んでいただいたということは、当社の資産をうまく利用して、世の中に価値を与えるという選択をしたということです。
では積水ハウスグループの資産とは何なのかと言うと、先人たちに培っていただいたブランド力や技術力、施工力などです。当社は260万戸以上の住宅を供給してきました。おそらく世界一だと思いますが、そのお客様も立派な資産です。そういった資産を利用して、価値を提供していくことが私たちの仕事です。資産については、皆さんもこれから勉強していくと思います。
今日は皆さんへのプレゼントがあります。お渡ししている紙袋に1冊の本が入っています。ぜひ読んでいただきたいと思い、今日、配布させていただきました。実は、新入社員の方々にこの本を配るのは、今年が初めてです。この冊子は、当社が創業した 1960年から1990年までの30年間を綴った物語です。創業の精神と言いますか、当社は1960年に、戦後の住宅難を解消する、そして住まい手の命と財産を守るためにできた会社です。読んでいただくと、先人たちが創業からの30年でいかに困難を乗り越えて、苦労されて、この世界的にも類のない、工業化住宅というビジネスモデルをつくったのか、または技術力、施工力、アフターサービスなど、どのようにしてお客様と一緒に住宅をつくってきたのかがわかります。
また、当社は注文住宅がメインですので、お客様との距離が非常に近い会社です。お客様と共にこのような会社、ビジネスモデルをつくりあげてきたということもわかります。そして、このようなビジネスモデルだけではなく、「人間愛」という企業理念がどうやってできたのか、お客様第一主義のポリシー、DNAがどうやって培われてきたのかということも、この本を読んでいただければわかります。
会社、経営というものには守るべきものと変えていくべきものが両方あると、私は思っています。本にある企業理念やDNAは変えてはいけないものです。そして、変えなければいけないものとは、やはりイノベーションです。
“「わが家」を世界一幸せな場所にする”というビジョンがありますが、そのためには時代に応じたイノベーションが必要です。イノベーションで新しい価値をお客様にどう提供するか。その主役はまさしく皆さんです。守るものと変えていくもの。変えていくのは皆さんのイノベーションの力です。
今、社内の合い言葉は「イノベーション&コミュニケーション」です。イノベーションとコミュニケーションは両方大事です。まずはイノベーション。いいアイデアが生まれたら、同期や先輩とぜひともコミュニケーションしてください。そうすることによってイノベーションのアイデアが洗練、ブラッシュアップされ、もっと大きく充実したイノベーションに発展する可能性があります。もしくは「イノベーションなんてなかなか思いつかない」ということもあります。そのときも、コミュニケーションが大事です。今日は900名近い人が集まっています。ぜひ同期の方とコミュニケーションを取っていただいて、話しているうちに、イノベーション、アイデアが浮かぶこともあります。先輩と話すうちに、お客様と話すうちに、もっとこうすれば喜んでいただけると、イノベーションが生まれます。もしくは来年入ってくる後輩ともコミュニケーションを取ることでイノベーションが生まれます。
イノベーション&コミュニケーションには、そのような想いが込められています。皆さんもぜひ、このことを頭の片隅において仕事をしてほしいと思います。
さて、まだ開業間もない、このグラングリーン大阪は世界的に注目を集めています。中でもこの広大な緑地、大屋根のイベントスペースは中心的存在です。そのような場所で入社イベントを行うのは、日本中で皆さんが初めてです。
皆さんとともに歴史を刻めることも喜ばしく思っています。そして、梅田スカイビルができたのは1993年、32年前です。このビルは従業員がいきいき、わくわくして会社に来れるようなビルにしたいという思いで開発されました。
32年前からこのようなコンセプトでした。その梅田スカイビルを背景に行う入社イベントは非常に感慨深いですし、このうめきたエリアの開発に携わり続けて30年が経った今、この梅田スカイビルとグラングリーン大阪が一体になったことは、私としては万感の想いです。
“「わが家」を世界一幸せな場所にする”、そして「イノベーション&コミュニケーション」。お客様を幸せにするために、まずは皆さんに幸せになっていただきたい。その秘訣は、社会人の先輩として言えることは、家族、友人、同期の仲間たちを大切にすることです。それが幸せの基盤づくりの一丁目一番地だと思います。
皆さんがイノベーションを起こして、次世代の積水ハウスグループの開拓者になることをお祈りいたしまして、私の歓迎の挨拶とさせていただきます。今日は本当におめでとうございます。
フレッシュな「妄想」⇒「構想」⇒「実現」へ
三井不動産代表取締役社長 植田俊氏
入社おめでとうございます。
本年2月に新しくオープンした、この「&MIND-学びの杜-」という研修施設で皆さんをお迎えできることを大変嬉しく思います。本日、皆さんが社会人として第一歩を踏み出されるにあたり、私からお話をさせていただきます。
三井不動産グループは1941年の創立以来、時代の変化をチャンスと捉え、進取の気性の精神で多くの挑戦を続けてきました。これまでに、埋め立て事業、日本初の超高層ビル「霞が関ビル」をはじめとするオフィスビル事業、住宅事業、商業施設事業、東京ドームをはじめとするスポーツ・エンターテインメント事業、物流施設事業、ホテル・リゾート事業等を推進してきました。そして、ミッドタウンや日本橋に代表されるように、それらを統合したミクストユースの街づくりを進め、今やこれらの街づくりは東京、そして日本を代表するウェルビーイングな街として結実しています。ビジネスの舞台はグローバルに広がり、欧米やアジアの各都市等世界中で街づくり型事業を進めています。
さらに、近年では、ハードな建物だけではなく、「場」と「コミュニティ」の提供を行うことで、そこに集う人々や企業が「イノベーション」を起こし、社会に新しい価値や産業を生み出すお手伝いをしています。「不動産デベロッパー」の枠を超えた「産業デベロッパー」というプラットフォーマーとして、社会の付加価値創造と新たなイノベーション創出にチャレンジしています。先代たちから続く、この未来を開拓していくチャレンジ精神、それがまさに当社のDNAです。
ところで、話は変わりますが、今から約46億年前に地球が誕生しましたが、その長い地球の歴史の中で、約5億年前にカンブリア紀という時代がありました。カンブリア紀には、遺伝子の爆発的変容というパラダイム転換が起き、多数の生物が誕生しましたが、この時代の勝者は最強の捕食者ではなく、弱々しいナメクジウオの祖先であるピカイアという生き物でした。ピカイアは脊索動物である私たち人類の祖先と言われていますが、環境の変化に対応できたもの、つまり、「適者生存」したものだけが生き延びたことが分かっています。
現在、世界は歴史的な転換点を迎えています。本年1月に就任したトランプ政権の保守的な政策等によるインパクトが各国経済に与える影響が懸念されています。国内に目を向けますと、賃上げが継続し、物価上昇の好循環の兆しが見え始め、金利ある世界が戻ってくる等、まさに「失われた30年」からの転換点に来ています。
「失われた30年」はデフレの時代でした。デフレの時代というのは、極論すれば安いものが勝つ。付加価値が正当に評価されず、心も萎縮し、イノベーションも起きづらい時代でした。デフレからの脱却により、これまで美徳とさえされてきた「良いものを安く」から、「良いものは価格で評価する」という考えに、供給者サイドも消費者サイドもマインドセットをしていく必要があります。特に供給者サイドは、戦略的に付加価値を作り出し、差別化できなければ生き残れない、マーケットにおける優勝劣敗・二極化の構造は、さらに進んでいくと考えます。
また、今後もデジタルシフトによる行動変容や生成AIの発展等が加速し、事業環境の激しい変化が予想されます。まさに、ビジネスのカンブリア紀に突入しています。そのような不確実性が増す時代に、最も大切なことは「顧客志向」であると私は考えています。前例踏襲やマニュアルに従うだけでは環境変化や多様化する顧客ニーズには対応できず、突き抜けた発想で付加価値を創出しなければ、激しい競争に打ち勝つことはできません。
昨年4月に公表したグループ長期経営方針「&INNOVATION2030」は、ありたい姿を「妄想」し、戦略を「構想」することで、「実現」につなげていくという強い決意をもって策定しました。徹底した顧客志向をもとに、社会に付加価値をいかに創出できるか、高められるかが求められています。顧客志向の中に「妄想」するヒントが必ずあります。
皆さんの若くてフレッシュな「妄想」が、新しいビジネスの芽を育てて「構想」となり、「実現」につながっていくと期待しています。もし、失敗したとしても、ベストを尽くした結果が失敗であるならば、それは皆さんの将来にとって必ず大きな財産となるでしょう。私たちを取り巻く環境がダイナミックに変化するなか、当社はイノベーションを通じて新たな価値を創造し、社会・経済におけるリーダーシップを高めながら持続的に成長していくことを目指します。この挑戦に果敢に立ち向かい、次なる一歩を共に踏み出しましょう。
最後に、改めて当社グループの事業は地球規模で社会的意義が大きく、人々に夢と感動を与えられる産業だと私は心から信じています。そして、当社は、仕事を通じた自己実現によって、日本全体ひいては世界全体のイノベーションに大きな影響を与えることのできる会社だと信じています。
高い志を持って自己実現を目指す者にとっては、最高のステージとなるでしょう。
当社グループがさらに魅力あふれる企業グループであり続け、また今後もたくましく成長していけるよう、当社グループのコーポレートメッセージ『さあ、街から未来をかえよう』を胸に刻みながら、共に頑張りましょう。
「お客様第一」と進取の精神が当社の原点
東京建物代表取締役社長執行役員 小澤 克人氏
皆さん、本日は入社おめでとうございます。新しい仲間を迎えることができ、大変嬉しく思います。
当社は、1896(明治29)年に安田財閥の創始者である安田善次郎翁が「不動産取引の近代化」と「市街地開発の推進」を使命として創業した会社であり、今年で 129 年目を迎える、日本で最も歴史ある総合不動産会社です。「東京建物」という名称は、安田善次郎翁の「建物があってこそ、不動産は価値を生むもの」という信念に基づき名づけられたと言われています。
創業以来、安田善次郎翁が旨とした「お客様第一」の精神と、時代の流れを先んじて捉える進取の精神を企業活動の原点として、時代のニーズを捉えた新しいアセットの開発をはじめ、多様な不動産開発事業を東京建物グループ全体として展開してまいりました。こうした、創業の目的や、創業者の精神は、今も当社グループの中に深く根付いており、企業理念である「信頼を未来へ」とともに、当社グループの企業文化や風土、DNAを形成しています。
そして現在、当社は、グループの長期ビジョン「次世代デベロッパーへ」を掲げ、事業を通じて「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立することで、すべてのステークホルダーにとっての「いい会社」となることを目指し取り組んでいます。これまでも先人たちは、さまざまな社会課題に直面する中でその解決に尽力してきましたが、変化の著しい時代の中で当社が発展していくためには、「社会課題の解決」と「企業としての成長」をこれまでとは違ったレベルで両立する必要があるのではないかという問題意識のもと、「次世代デベロッパーへ」を掲げたものです。「デベロッパー」には、単にビルや住宅というハードを造って収益を積み上げるだけでなく、人が「住む」「働く」「憩う」場をサービスも含めて創造し、長期的な視点からまちの文化や機能を発展させていく、不動産開発にかかわる社員だけでなく、販売や管理などにかかわる社員も含めたすべてのグループ役職員が、まちや社会を“Develop”する意識を持って携わっていくという意味を込めています。
さらに当社では、長期ビジョン達成のため、事業を通じて実現する社会との共有価値を意識し、「社会価値創出」と「価値創造基盤」の2つの観点から14のマテリアリティ(重要課題)を特定しています。
「社会価値創出」における社会との共有価値としては「「場の価値」と「体験価値」の創出」、「地球環境との共生」を掲げており、具体的には、当社が創業以来拠点を構える YNK(八重洲、日本橋、京橋)エリアを中心に、事業を通じた国際都市東京の競争力強化や「ウェルビーイング」の向上に貢献するほか、脱炭素社会・循環型社会の推進にも取り組んでいく方針です。一方、「価値創造基盤」における社会との共有価値としては、「価値を創造する人材」「サステナビリティ経営の実現」を掲げており、本年公表した新たな中期経営計画にもある「成長を支える経営インフラの高度化」を通して、企業としての成長とともに、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。
組織、人材の面では、フラットな組織で、役職員の自立や主体性とともにチームでの成果を重視され、質の高いチームプレーや円滑なコミュニケーションを可能とする組織風土が当社の強みと考えています。
また、経営と現場の距離が近いことで上下双方のコミュニケーションも活性化しており、現場のアイデアが反映されやすく、変化を受容する柔軟性も備えていると考えています。こうした組織が力を発揮するためには、役職員一人ひとりの人間力が大切になります。当社において重視されてきた「凡事徹底」や「内発的行動」の価値をこれまで以上に重視し、世代を超えて「次世代デベロッパー」を目指していきたいと思います。
最後に、私は「企業は人なり」「人材こそ最大の財産である」と捉えており、役職員一人ひとりが自らの仕事に誇りを持ち、持てる力を最大限に発揮できる企業文化、風土を育み、ともに「社会課題の解決」と「企業としての成長」をより高い次元で両立するために邁進していきたいと思います。
皆さんの挑戦と成長が当社グループの発展の原動力となることを大いに期待しています。以上、私からの祝辞といたします。
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