和田氏
大和ハウス工業は7月2日、戸建住宅事業計画説明会を開催し、同社上席執行役員 住宅事業本部長・和田哲郎氏が、経営数値と事業環境、重点取り組みテーマについて説明。国内販売戦略では請負事業は付加価値のある商品提案を行い、売り上げ単価の上昇を目指し、AI活用とGX対応の推進により規格住宅・セミオーダー住宅の拡大を図り、分譲住宅は木造住宅へのシフトを強化し、既存住宅の買取再販事業を強化すると話した。
経営数値について和田氏は、2025年3月期の売上高は11,445億円(うち海外6,363億円)、営業利益698億円(うち海外592億円)、営業利益率6.1%となり、売上高は米国戸建住宅が堅調に推移し、国内も販売状況の改善、生産性向上が進んだことから増収増益となり、2025年度計画は売上高12,300億円(うち海外6,845億円、営業利益760億円(うち海外600億円)、営業利益率6.2%%と説明。
戸建住宅を取り巻く環境としては、建築費の高止まり、実質賃金のマイナス、着工戸数は持ち家も分譲も減少傾向が継続しており、金利も上昇傾向にあることなどから厳しい市場が続いていると話した。明るい材料として、既存住宅市場が拡大していることを指摘した。
こうした事業環境の中、同社は2025年度の販売棟数を5,500戸(2024年度5,067戸)とし、2025年7月からは全注文住宅商品でZEH水準を上回る「断熱等級6」を標準化すると語った。
国内の販売戦略として請負事業は、断熱等級6を標準化し、Housing Meisterの活用などで付加価値のある提案を行い、売り上げ単価を増加させる。規格住宅・セミオーダー住宅では、AI活用とGX対応の推進により多様な顧客ニーズに適切に対応する。
分譲住宅は、注文住宅と同等のライフスタイル提案や高い断熱性能などで価格以上の価値を持つ住宅を供給し、木造比率を高める。
米国戸建事業は、バージニア州、カルフォルニア州、テキサス州の3拠点の子会社事業が好調で、2017年以降、供給戸数は10.3倍の8,502戸(2025年度計画)まで伸長していることから、2026年度には10,000戸超を目指す。
カーボンニュートラルの取り組みでは、従来の鉄骨造から木造へのシフトを強化し、木造比率は2024年度の11.0%(分譲住宅16.3%、請負7.6%)から2025年度は15.3%(分譲住宅24.3%、請負9.6%)に引き上げる。
既存住宅の買取再販事業(Livness)は、請負・規格住宅・分譲住宅事業と連携しワンストプで対応できる販売体制を整備し、売上高は2024年度の19,403百万円から2025年度は19,860百万円に伸ばす。
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記者は分譲住宅について新しい方針が打ち出されるのではないかと注目していたが、和田氏は第7次中期計画が25年度に終了し、第8次中期計画を策定中で、発表時には数値目標などを公表すると話し、具体的な数値は示さなかった。これまで公表していた2027年度目標の請負3,000棟、分譲住宅7,000棟、合計10,000棟は軌道修正されるのか。