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2025/08/01(金) 01:10

業界の垣根超えた「断熱・省エネリフォーム推進TF」発足 住友不など7社・団体

投稿者:  牧田司

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「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」発足式(新宿ベルサールグラント)

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キー・ビジュアルスローガン

 住友不動産を代表事業者とする三協立山、JBN・全国工務店協会、一般社団法人住宅開口部グリーン化推進協議会(AGW)、住友不動産ハウジング、LIXIL、YKK APの7社・団体は7月30日、既存住宅の断熱・省エネリフォームの認知・普及拡大を目指す「断熱・省エネリフォーム推進タスクフォース」(TF)を発足させたと発表。発足式には80人を超えるメディアが駆けつけた。

 TFを設立した背景には、2050年のカーボンニュートラル(CN)達成及び2030年度削減目標の実現に向け、家庭部門のCO2排出量削減には既存住宅の断熱・省エネリフォームの普及拡大が喫緊の課題だが、消費者への情報発信や普及が不足しており、認知度が高くない実情がある。

 この課題を解決するためには、既存の枠組みを超えた統合的なアプローチが必要との共通認識のもと設立された。環境省が推進する「デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしをつくる国民運動)」の一環として、7社・団体がが結集し、連携強化と普及促進を目指す。

 今後の活動として、①認知拡大分科会、営業力強化分科会、技術力強化分科会の分科会立ち上げ②断熱・省エネリフォームの認知度の向上を目的に、省庁・地方自治体と連携し、普及啓発に関する発信やイベントを開催(初年度)する。キャッチフレーズは「家族の幸せ まずは断熱」、キャラクターは「あったかいねぇこ」と「すずしいにゃ~こ」。

 代表事業者の住友不動産常務執行役員・岡田時之氏は、「わが国の住宅ストック約5,400万戸のうち8割超は現行の省エネ基準を満たしていない。要因はメソッドが知られていないことにある。この課題を解決するため、業界の垣根を超え、断熱・省エネリフォームの認知度向上と普及を目指し、持続可能な社会の実現にも貢献していく」と述べた、

 来賓として登壇した環境省地球環境局地球温暖化対策課長・杉井威夫氏は、既存住宅の断熱化・省エネ化の必要性などについて説明し、熱の流入・流失の大半は窓などの開口部にあることから、「コストの問題もあるが、そのメリットを消費者に伝えようとする皆さんの取り組みを精いっぱい応援していく」と語った。以下、発足式に臨んだ各氏のコメント。

三協立山執行役員・奥谷和正氏 2100年には猛暑・酷暑は40℃台になり、激暑・極暑に変わってくるだろう。これほどまでに環境が変わってきているのに建物に関しては旧態依然の仕様が残っている。気候変動に生活空間は付いていけていないのが現状

住友不動産ハウジング常務執行役員・徳田修氏 当社は、「新築そっくりさん」事業と、注文住宅事業を統合し新会社として今年4月1日付で発足した。30年の実績があるが、個社で情報を発信するのには限界がある。今後は、業界横断で全国規模で普及拡大に努めていく

LIXIL執行役専務・吉田聡氏 熱中症の発生は室内で起きるケースも多い。窓・ドアなどの開口部のリフォームをされた方はやってよかったという声が多いが、残念ながら窓そのものがリフォームできることをご存じない方が多い。TFを通じて普及拡大していく

YKK AP専務執行役員・中村力氏 私どものパーパスは〝Architectural Products〟-社会を幸せにする会社。断熱性能はお客様にとって見えないもので、この価値をいかにわかりやすく伝えていくのかが大きなテーマ

JBN・全国工務店協会副会長・久原英司氏 当協会は全国約3,000社の工務店から構成される業界団体。施工技術の向上を図っている。リフォームは大多数が地域の工務店が担っている。TFの活動を通じて信頼性を高めていく

住宅開口部グリーン推進協議会事務局長・山岸史成氏 当協議会は全国800社からなる、住宅の開口部、窓に特化した流通店主体の団体。各社が連携し窓のリフォーム、断熱・省エネは当たり前の世界になるよう取り組んでいく

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発足式会場

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岡田氏

◇        ◆     ◇

 7つもの企業・団体が結集したからだとは思うが、発足式に80人超のメディアが駆けつけたのにびっくりした。主導したと思われる住友不動産のイベント動員力が図抜けているのはわかっている。最近の例では、一昨年10月に「新宿住友ビル」で開催したスタートアップ企業と同社テナントや取引先の大企業をマッチングさせるイベント「住友不動産ベンチャーサミット」では約2,100人を集めた。おそらく、どこを掘れば泉が湧き出るか知っているのだろう。

 とはいえ、今回のテーマである「断熱・省エネリフォーム」は、〝喫緊の課題〟〝極めて重要〟であるにも関わらず、リリースにもあるよう「消費者ヘの情報発信や普及が不足しており、認知度が高くないのが実情」だ。発足会に参加するメディアはせいぜい30~40人くらいだろうと記者は踏んでいた。

 ところが、会場に着いたら、用意されていた椅子はほとんど満席で、ざっと見渡したところ100人くらいいた。

 この80人超がどれほどすごい数字か。昨年7月、三井不動産レジデンシャルのシニアサービスレジデンス「パークウェルステイト(PWS)」のCM発表会で、吉永小百合さんがトークイベントで話されたのだが、確か100人くらいのメディアが押しかけていた。今回はそれより若干少ないが、テーマを考えたら信じられない数字だ。

 ただ、一つだけ理解に苦しむことがあった。今回の発足会で主催者は、発足会前・後に断熱・省エネリフォーム効果を体験できるYKK APとLIXILのショールーム見学を用意したのだが、実際に体験したのはYKK APは小生を含めて2人のみ(午前)、LIXILは10数人(午後)に留まった。断熱性能は、いくらUa値や光熱費削減効果の額を示されても、実際に体験してみないとその〝価値〟はまず理解できないと思うが…。

 斯くいう記者はどうかといえば、断熱性=快適性については20年以上前から精力的に取材してきた。外断熱マンションや長期優良住宅、CASBEE(都のマンション環境性能表示制度)、ZEHなどだ。「シェルゼ」や三菱地所ホームの全館空調「エアロテック」は一泊もさせてもらった。零下30度のモンゴルのホテルの館内はシャツ1枚で過ごせる。壁厚は50cmくらいあったのではないか。

◇        ◆     ◇

 これまで単板ガラスと樹脂サッシとの差が分かる簡便な装置はたくさん体験してきたが、YKK APとLIXILのショールームは初めてだった。ここでは詳細を紹介する余裕はないが、双方とも素晴らしい。とても参考になった。

 品川インターシティ内にあるYKK APのショールームはプロユーザー向けで、一般には公開されていないが、この日は特別に見学させてもらった。単板ガラスと樹脂サッシ、断熱等級の違いによって室内温度がどれほど変わるか詳細な数値も表示される。リフォーム用の新商品も展示されている。

 新宿ベルサールグラント内にあるLIXILのショールームは予約制だが、一般にも公開されており、〝昔の家〟〝今の家〟〝これからの家〟の断熱性能の違いが分かる。家族連れにお勧めだ。子どもも大喜びするはずだ。伊香賀俊治・慶大教授の調査研究の一部も紹介されている。

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YKK APのショールーム(断熱等級の違いがとてもよくわかる)

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YKK APのショールーム(サッシの違いによる室内温度の差異が一目瞭然)

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YKK APのショールーム(リフォーム用新商品)

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LIXILのショールーム(外気温0℃に設定した施設をコートを羽織って見学する記者団)

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