神宮外苑の再開発に反対しているロッシェル・カップさんは8月24日、「都内樹林地のヒートアイランド緩和効果-神宮外苑の気温計測から見えたこと」と題するオンラインセミナーを開催した。ヒートアイランド現象など都市気候の専門家である三上岳彦・都立大学名誉教授の研究チームが8月3日に実施した、神宮絵画館前の樹齢100年超の巨木が植わっている樹林地と再開発により巨木が伐採(一部移植)された地点の気温計測結果を報告した。300人超が視聴した模様。
三上氏は、これまで調査研究から、この100年間で地球全体の気温は1℃上昇しているが、ニューヨークは2℃であるのに対し東京都は3℃上昇しており、東京都は世界一ヒートアイランドが顕著に現れていると指摘した。都市化・人間活動の影響が大きいとその理由を説明した。
計測したのは8月3日の午後1時から3時で、当日は台風の影響で北風、南風が吹き、気象庁の観測では34~36℃(銚子は28℃)だったのに対し、絵画館前の樹林地では33~35℃(平均33.7℃)、市街地は33~37℃(平均35.3℃)だったことを報告。その差は1.6℃あり、小さな樹林地でも緑は気温を下げる効果があることが確認できたとした。ローカルヒートアイランドを緩和するには緑と水と風の有効利用が重要とも話した。
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気象庁の気温観測は、小学校にもあった日影で風通しがいいところに設置した百葉箱の地上から約1.5mの地点の気温だと思っていたが、三上氏によると1970年ころには百葉箱は廃止され、全て筒状の観測器で観測されていると聞いてびっくりした。戦争は平和なり、隷従は自由なり、無知は力なり。
ロッシェル・カップさんの精力的な活動には頭が下がる。300人超の視聴者の方がどのような人か知らないが、あちらこちらの街路樹が電信柱のよう強剪定され、都市の緑被率がどんどん低下している現状を変えるための活動をしていただきたい。
小生は、外に出るといつも街路樹や草花と会話を交わしているし、その都度、記事にもしている。少しは役立っていると思う。RBAホームページから「街路樹」で検索すると2013年以降で240件以上がヒットする。最近の記事では8月21日の長野駅近くのマンションの記事で、市の市街化区域内の緑被率は東京23区平均の18.5%とほとんど変わらない19%に過ぎないことを書いた。
都市も地方も緑環境が過小評価され、〝便利地、好立地〟が過大評価されていると思う。なにもかもモノサシが狂っている。
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