「イニシア御所南寺町サイド」
京都市中心部の田の字地区のマンション、コスモスイニシア「イニシア御所南寺町サイド」、大和ハウス工業「プレミスト京都 三条堀川」、タカラレーベン他「レーベン京都河原町五条ONESUITE」を見学取材し、三菱地所レジデンス「ザ・パークハウス 京都聖護院」のモデルルームを見学した。大和ハウス工業ハウジング・ソリューション本部事業統括部(分譲マンション担当) 副統括部長の角田卓也氏が「デベロッパーの買い意欲が集中し、買収環境が激烈になっている」と語ったように、狭いエリアで常時10物件くらいが分譲されているだけに、それぞれ創意工夫を凝らいしてることがよくわかった。まずは「イニシア御所南寺町」から。
物件は、京都東西線京都市役所前駅から徒歩5分、烏丸線烏丸御池駅から徒歩12分、京都市中京区御幸町通二条上る達磨町の商業地域(建ぺい率90%、容積率390.60%)に位置する5階建て全29戸(うち一般販売対象外住戸6戸)。現在販売中の住戸(4戸)の専有面積は75.55~115.24㎡、価格は14,990万~24,990万円。平均坪単価は578万円。建物は2025年8月に竣工済。施工は藤井組。
同社の創業50周年記念物件として今年2月から一般分譲を開始したもので、従前は賃貸マンション。インナー販売を含め25戸が成約済み。成約者の約3割が京都市内居住者。
主な基本性能・設備仕様は、ZEH-M Oriented&低炭素建築物認定、直床、リビング天井高2400(最上階は2500ミリ)、シーザーストーン・フィオレストーンキッチン天板、ナグリ仕上げキッチン対面・サイド板、食洗機、突板フローリング仕上げ、ハンズグローエ水栓、ミストサウナ、南部鉄、真鍮金物、ローシルエットトイレ、ミストサウナ、浴室タオル掛け2か所など。
販売担当者は、創業50周年記念にふさわしく、100年後も安心して住める、経年による価値が継承され、日常の京都の侘び寂びを楽しんでいただけるものにしたなどと語った。
エントランスホール
リビング小上がり・障子
◇ ◆ ◇
完成したばかりの物件の共用部分と専有部分を見て、いかにも京都らしい自然素材をふんだんに採用し、職人技を惜しげもなく注ぎ込んでいるのに同社の意気込みがストレートに伝わってきた。
まず、1階の共用部分。外からもよく見えるエントランス・ホールには約1尺(30cm)角の長さ数mの5本の古材がベンチとして、また、長さ約2m、重さ数トンありそうな自然石がオブジェとして据えられており、壁や天井には金網、土壁、自然石、和紙が採用されていた。同社のアパートメントホテル「MIMARU」かと思ったほどだ。
モデルルーム(104㎡)がまたすごい。玄関床は淡路瓦タイル、框はナグリ仕上げ、廊下はクリ材の突板、リビング小上がり窓は本物の障子、縁側(インナーバルコニー)、和紙仕上げリビング扉、家具風システムキッチン、多目的ルームには京都由来の工芸品…。
外観
エントランス通路の金網
土壁
エントランス
エントランスホール
手前から玄関淡路瓦タイル、ナグリ仕上げ框、クリ材フローリング
モデルルーム(左が縁側、その奥が小上がり窓・障子)
キッチン
モデルルーム
◇ ◆ ◇
坪単価は都心3区のマンションの半値だ。京都で食事するため東京からヘリコプターをチャーターするお金持ちもいるそうだから、京都好きには堪らないマンションなのだろう。これほど自然素材にこだわったマンションは首都圏にはまずない。リビング窓に障子を採用しているのは初めて見た。コーディネートをどうするかだが、これは京都だけでなく全国の、外からの視線が気になる商業地域立地のマンションに採用できる。カーテンやブラインドより風情があっていいと記者は思う。
エントランスホールは、居住者が独占的に利用するのはもったいないような気もした。購入者は絶対同意しないだろうが、管理規約を変更し「MIMARU」別邸にしたら、大人気になるのでは。規約改正の必要がない、一時利用として地域に開放し、宴会利用も可能にしたら申し込みが殺到するはずだ。
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