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2025/12/16(火) 14:22

営業職の女性活躍を推進する「働きやすさNEXTプロジェクト」 三井不など6社

投稿者:  牧田司

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 ENEOS、電通、日本航空、日本マクドナルド、富士フイルムホールディングス、三井不動産の6社は12月10日、女性営業職の活躍を阻む「5つの壁」を抽出し、その解決方法を5つの「働きやすさNEXT」にまとめたホワイトペーパー「働きやすさNEXTプロジェクトFOR THE NEXT 2025」をまとめ発表した。

 プロジェクトは、「女性をはじめとした営業部門で働くすべての従業員が能力を発揮できる環境づくり及び、次世代リーダーの育成。加えて、女性営業職に対する固定観念やバイアスのアップデート」を目的に、2025年7月~2025年11月まで計4回のリアルワークショップ、及び分科会毎の会議などを実施。参加者は6社の営業職女性/営業職男性/管理職/経営層の約30名。6社の従業員(計178名)のアンケート結果と電通独自の生成AIを活用して女性営業職の100の課題を抽出した。

 その結果、あぶりだされた5つの壁とは次の通り。

①仕事と育児の両立 育児のコアタイムはお迎えから寝かしつけまでの18時-21時だが、会食や打ち合わせと調整が必要になることもしばしば。急病などでどうしても抜けなければいけない事態も度々起こるが、柔軟に補完し合えるチーム体制を築くのは難しい。また、「子育ては母親がメイン」 という固定観念は社会や母親本人の中にも根深く、育児を優先したいけど社内にもそれを言いづらいというジレンマに苛まれている

②過度な配慮 上司としては育児と仕事の両立をサポートしたいとの思いや、「今はこのくらいの業務負荷までにした方がいいだろう」という判断が過度な配慮・過小評価となり現場の意欲や機会を小さくしている。管理職には育児に積極的に関与してこなかった世代も多く、配慮のすれ違いが起こってしまっている

③世代間の価値観や意識のずれ 評価者が過去に経験していないことやアップデートされていない価値観がボトルネック。「営業の仕事は【時間】と【エネルギー】のコミットこそが成果」だという価値観は評価者世代にほど無意識に根付いている。営業職出身の女性の上司は増えてきたが、男性と対等に戦うことを強いられ何かしらを犠牲にしてきた人たちも多く、今の現場世代と同じ悩みを経験してきたロールモデルはまだまだ少ない。

④ライフプランとキャリアの板挟み 取引先にとことん寄り添い、何でもやるという営業文化の中で、営業が“よろず屋” 化。取引先に合わせて対応する中でノウハウは個別属人化し、裁量が個人に委ねられ、社内のルールから治外法権化していくことも。成果は個人で積み上げることになり、産休・育休はキャリアの分断に直結してしまうことが、女性営業職のライフプランとキャリアプランの両立を困難にしている

⑤女性活躍推進手段の目的化 日本企業では営業部門の女性管理職率や管理職意向が低い傾向もあり、「女性活躍推進」は各社命題になりがち。昇格の理由について、上司も本人も明確に説明できず、なぜその人が昇進したのかが具体的な成果や行動レベルで説明されていない

 これに対して、私たち6社が目指したい5つの「働きやすさNEXT」は次の通り。

①営業の時間割。仕方がないから変えられるへ

②想像からの配慮より、対話からの本音を

③価値観のギャップを、多様な評価のチャレンジに

④ライフイベントとキャリアのジレンマを、チーム戦で解決

⑤「女性だから」の理由じゃなく「あなただから」の理由を

 この結果に対する参加企業の経営層/責任者のコメントは次の通り。順不同

■三井不動産執行役員DX本部長部長・宇都宮幹子氏 課題解決までの道筋を、可視化することの大切さを改めて感じました。上司の立場で言えば、「ストレートに相談してほしいのに」とも思うけれど、現場としてはなかなか言えない

■電通執行役員ビジネスプロデュース担当・国政裕子氏 「男性」「女性」とわざわざ言わなくてもよい社会への第一歩として、今回の成果を6社共同の社会的メッセージとして発信したい

■日本マクドナルド執行役員中日本地区本部長・西村美子氏 今回のプロジェクトを通じて抽出された「5つの壁」は、業種を越えた社会共通の課題であることを再認識しましたし、解決のためのキーワードは対話だと感じています

■富士フイルムホールディングス取締役専務執行役員コーポレートコミュニケーション部長兼ESG推進部長・吉澤ちさと氏 全ての課題の根底にコミュニケーション不全あり」と感じられ、顧客と企業、上司と部下、経営と営業現場等の相互理解が進むコミュニケーションを増やすことが有効だと再認識しました

■日本航空執行役員ソリューション営業本部副本部長、東京支社長・西原口香織氏 このプロジェクトを通して構築された絆をこれからも深め、皆さんと一緒に前に進めていければと思っています

■ENEOS広報部長・森田麗氏 人事制度など仕組みとして自慢できるものである以上に、魂のこもった施策を本気で考える必要があると痛感しました

レポートの「おわり」には、「このレポートは、彼女たち参加者一人ひとりの『小さな勇気』の結晶であり、この提言は、未来の働きやすさをひらくために、行動を始めたすべてのチャレンジャーの意志です」とある。

◇        ◆     ◇

 記者は、曲りなりに〝主夫〟を約10年経験した。女性の考え方はよく分からなし子育てには失敗したが、育児・家事労働の大変さはよくわかる。家事労働を可視化し、基礎控除の対象にすべきだと思う。

 〝女性活躍〟〝女性輝く〟〝専業主婦〟などは好きな言葉ではない。電通の国政氏がコメントしているように、「男性」「女性」とわざわざ言わなくてもよい社会にすべきだ。

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