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2025/09/22(月) 07:14

夫の育児・家事の満足度高いのは佐賀、沖縄、山梨、三重 積水ハ「男性育休白書」

投稿者:  牧田司

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 積水ハウスは9月19日、「男性育休白書2025」を発表した。「白書」は2019年から公表しているもので、今回が7年目。企業で働く男性の育休取得の実態を探るのが目的。同社は、9月19日を「育休を考える日」として記念日に制定しており、賛同企業・団体は昨年の154から174に増加している。

 調査は、全国47都道府県別に配偶者および小学生以下の子どもと同居する20代〜50代の男女9,262人を対象にウエイトバックにより集計し、さらに従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400人、一般生活者男女2,000人を加え、インターネットにより実施したもの。

 設問に当たっては「男性の家事・育児力」を決める4指標5項目を設定-①「女性の評価」で、女性(妻)から見た男性(夫)が行っている家事・育児の実践数と、男性(夫)が子育てを楽しみ、家事や育児に積極的に関与しているかどうか②男性の「育休取得経験」③女性(妻)から見た男性(夫)の「1週間の家事・育児時間」④男性の「家事・育児参加による幸福感」をそれぞれ数値化して1位に47点〜47位に1点を付与、各項目の点数を足し上げることで、都道府県別の「男性の家事・育児力」ランキングにしている。

 調査結果によると、①未就学児と同居する男性の育休取得率は36.3%となり、取得率は急速に高まっている②自分の夫は「とるだけ育休」と思わない女性が昨年より増加した一方で、男性育休取得者は5割以上が「育休中に何をすればいいのか分からない」と“手探り”状態でスタートしている③よりよい育休にするカギは夫婦間のコミュニケーション④育休によるポジティブな変化が生まれている⑤「男性の家事・育児力全国ランキング2025」の1位は前回に続き沖縄県がトップで、2位は岡山県(前回25位)、3位は福井県(同10位)となり、最下位は2年連続で兵庫県-などとなった。

 同社は、男性社員の育休1か月以上の完全取得を目指し、2018年9月より特別育児休業制度の運用を開始。2025年8月末時点において、取得期限(子が3歳の誕生日の前日まで)を迎えた男性社員2,497人全員が1か月以上の育休を取得しており、2019年2月以降、取得率100%を継続している。今後も、「男性の育休取得が当たり前になる社会の実現」を目指して活動を続け、世の中に先んじたダイバーシティを推進し、ESG経営のリーディングカンパニーを目指すとしている。

男性育休白書2025特設ページ:https://www.sekisuihouse.co.jp/ikukyu/research.html

◇       ◆     ◇

 男性諸氏、貴殿は女性(妻)が提示する28種類の育児・家事労働とは何か、答えられるか。同社の資料によると、それは食事作り、片付け、洗いもの、部屋の掃除、水回りの掃除、布団敷き、ゴミ出し、植物の水遣り、洗濯、アイロン、クリーニング、買い物、家計の管理、入浴、寝かしつけ、起こす、着替え、おむつかえ、トイレ付き添い、ミルク、食事の介助、保育園・幼稚園の送迎、勉強・宿題の手伝い、歯磨き、必要なものの購入、保護者会・PTAへの出席、急病時の対応…だそうだ。(妻自身が夫に求める要求は何種類あるか聞きたいものだ)

 記者は、先妻が幼稚園の先生をしていたことから少しは育児・家事を手伝った。妻の下着を干すのはとても嫌だったが、生乾きのおむつのアイロンがけほど楽しいものはない。妻が死んでから約10年間〝主夫〟も経験した。〝仕事か子育てか〟の選択肢などなかった。先の28項目の中で、嫌いな掃除はほとんどしなかったが、ほかはせざるを得なかった。学校からの連絡簿に〝トイレを持ってこさせて〟〝ナプキンを用意せよ〟と書かれていたのには頭にきた(トレイとナフキンを読み間違えたのだが、育児・家事労働は1分1秒を争う。このようミスは数えきれない)。家政婦を雇ったこともある。小生の下着をきちんとたたまれたのには閉口した。馬鹿なこともたくさんした。おいしいものを食べさせようと、100グラム1000円の牛肉やマスクメロンを買ったり、鶏がらスープを作ったり、鰹節を削ったりした。ラーメンにはふかひれ缶詰を使った-子育てはこういうものではないことを子どもが成長してから知った。すべて後の祭り。

 「白書」については、これまでもその都度記事にしている。参照していただきたい。ずっと疑問に思っていることに触れたい。「男性の家事・育児力都道府県ランキング」の乱高下についてだ。

 今年上位10都道府県は、沖縄県は2年連続でトップだが、2位岡山県は昨年25位から、3位福井県は昨年10位から、4位大分県は昨年46位から、5位山形県は昨年11位から、6位大阪府は昨年27位から、7位長崎県は昨年26位から、8位宮城県は昨年18位から、9位宮崎県は昨年30位から、同点で10位の山梨県は昨年24位から、島根県は昨年18位からそれぞれ上昇した。

 今年ワースト10都道府県は、47位兵庫県は2連連続でワーストで、46位岩手県は昨年29位から、45位岐阜県は昨年31位から、同じ点数で43位の群馬県は昨年6位から、長野県は昨年37位から、42位の愛知県は昨年37位から、40位の北海道は昨年23位から、39位の埼玉県は昨年41位から、38位の山口県は昨年32位からそれぞれ下落した。

 前年ベスト10だった都道府県の今年はどうかというと、2位同点の鹿児島県は24位へ、秋田県は24位へ、4位の佐賀県は30位へ、5位の高知県は12位へ、6位の群馬県は43位へ、7位の徳島県は28位へ、8位の福岡県は27位へ、9位の熊本県は13位へ下落し、10位の福井県のみが3位へ上昇した。

 また、昨年ワースト10の今年はどうかというと、2年連続最下位の兵庫県を除けば、46位大分県は4位へ、45位香川県は37位へ、同点43位静岡県は24位へ、茨城県は17位へ、41位栃木県は23位へ、40位埼玉県は39位へ、39位福島県は28位へ、38位神奈川県は22位へランクを上げた。

 このように毎年乱高下を繰り返しているのは、5項目ごとに順位を付け、1位には47点、最下位には1点を付与する相対評価をしているからだが、それにしても、得点の差大きすぎる。2025年1位の沖縄県の総合点(スコア)は213点なのに対して、最下位の47位兵庫県は44点しかない。一挙に引き上げられるのは嬉しいだろうが、谷底に突き落とされる都道府県行政担当者や都道府県民の男性はたまったものじゃない。

 順位が乱高下する理由の一つとして同社担当者は、サンプル数が少ない(全回答者を単純に47都道府県で割ると1都道府県当たり248人)ことを挙げたが、ならば費用はかさむだろうがもっと人数を増やしたらいかがか。結果は異なるのか。

 とはいえ、白書のランキングはとても面白い。女性(妻)から見た男性(夫)の評価が低いことと、男性(夫)の幸福度は必ずしも一致しないことをデータは示している。

 例えば「夫が行う育児・家事実践数」上位・下位と「男性の育児・家事に対する満足度」上位・下位の乖離が激しい都道府県を⇔で示すと高知県(1位⇔28位)、富山県(2位⇔38位)、新潟県(14位⇔41位)、和歌山県(23位⇔44位)、佐賀県(44位⇔1位)、三重県(37位⇔4位)などとなっている。

 「夫の育児・家事関与度」上位・下位と「満足度」の関係では鳥取県(23位⇔47位)、長野県(44位⇔18位)、鹿児島県(4位⇔30位)など。

 「男性の育休取得日数」と「満足度」は埼玉県(4位⇔35位)、和歌山県(7位⇔44位)、東京都(3位⇔31位)、宮崎県(46位⇔11位)、山梨県(41位⇔3位)、島根県(40位⇔7位)、熊本県(47位⇔19位)、京都府(44位⇔5位)など。

 「夫の家事・育児時間」と「満足度」では三重県(41位⇔4位)、新潟県(15位⇔41位)、鳥取県(26位⇔47位)、長崎県(47位⇔18位)などとなっている。

 これらのギャップは何に由来するのか、考える価値はある。とりわけ、記者は「満足度」が高い佐賀県(1位)、沖縄県(2位)、山梨県(3位)、三重県(4位)、京都府(5位)、島根県(7位)に興味がある。記者の友人・知人の中には佐賀県出身の男性もいた。ご本人は周りの人から総スカンを食らったのに、悪評を笑い飛ばした。満足な一生を終えたはずだ。沖縄県人は添付した新垣進氏の記事を読んでいただきたい。大変失礼だが、これらの府県出身者は三重県出身の記者を含めて総じてオポチュニスト(日和見主義者)だ。

 一方で、他の項目の順位が高いのに「満足度」が低い鳥取県(47位)、岩手県(46位)、和歌山県(44位)、新潟県(41位)など、総合ランクが低い兵庫県、岩手県、岐阜県、群馬県、福島県、愛知県、埼玉県などは男性も女性も考えたほうがいい。すべては〝愛〟の欠如によるのではないか。

 同社にお願いだ。白書は育児・家事だけでなく、それぞれの地域の気候風土や産業構造、社会経済状況、離婚率、住宅環境なども調査対象にしたら、これらのギャップは何が原因か明らかになるはずだ。

 男尊女卑・家父長制の文化は色濃く残っており、群馬県の〝かかあ天下〟高知県の〝いごっそう〟佐賀県の〝葉隠〟熊本県の〝肥後もっこす〟などは生きているのではないか。離婚率が低い北信越地方は住宅面積と関連はあるのかどうか、離婚率が高い沖縄、宮崎、福岡、大阪などは自立した女性が多いのか、身勝手な男性が多いのか、それとも愛に生きる人が多いのか。2年連続最下位の兵庫県は県政の乱れ・混乱の影響はあるのか…興味は尽きない。

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