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2026/03/26(木) 17:51

〝聖地〟にかける思い随所に JR東日本「TAKANAWA GATEWAY CITY」開業

投稿者:  牧田司

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「TAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR2」

 東日本旅客鉄道(JR東日本)は3月28日、JR高輪ゲートウェイ駅直結の大規模複合施設「TAKANAWA GATEWAY CITY」をグランドオープンする。開業に先立つ25日、「THE LINKPILLAR2」の店舗部分と「MoN Takanawa」をメディアに公開した。「TAKANAWA GATEWAY CITY」は同社初の単独大規模開発で、「TAKANAWA」から「未来を創り出す『実験場』として『地球益(Global Co-Benefits)』を目指す」という強い思いが建物の内外観に込められている。内覧会には400~500名の報道陣が駆けつけた模様だ。

 「TAKANAWA GATEWAY CITY」は、高輪ゲートシティ駅に直結する敷地面積約74,000㎡、延床面積約845,000㎡の複合開発。昨年竣工した敷地面積約38,000㎡、延床面積約460,000㎡の29階建て・30階建て2棟の大林組施工の「THE LINKPILLAR1」と、敷地面積約15,000㎡、延床面積約208,00の31階建て大林組施工の「THE LINKPILLAR2」、敷地面積約8,000㎡、延床面積約29,000㎡の隈研吾都市設計事務所が外装デザインを手掛けている鹿島建設施工の「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」、敷地面瀬は約13,000㎡、延床面積約148,000㎡の44階建てフジタ施工の「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」の全5棟構成。この日、公開されたのは「THE LINKPILLAR2」の店舗部分と「MoN Takanawa」。

 冒頭の施設説明では、東日本旅客鉄道マーケティング本部 まちづくり部門 品川ユニット TAKANAWA GATEWAY CITY(ブランディング・プロモーション)マネージャー・出川智之氏、ルミネ ニュウマン高輪店MIMUREエリア担当・加藤真子氏、一般財団法人JR東日本文化創造財団 コミュニケーション推進部部長・清水理三郎の3氏が約1時間にわたり熱弁をふるった。

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「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」(写真撮影:Yasuyuki TAKAKI氏)

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「TAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR2」

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「TAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR2」

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「TAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR2」外観

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「TAKANAWA GATEWAY CITY THE LINKPILLAR2」4階ラウンジ

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

◇        ◆     ◇

 取材の目的は、他社の施設とどこが異なるのか、何に力を入れているのかを探ることにあった。見学時間は午前10時から午後3時までたっふりあった。

 同社はこれまで、自社所有地にビルやマンションなどを開発する際はほとんど大手デベロッパーと組んできた。最近の例では、野村不動産と組んだ「目黒」、東急不動産をパートナーにした「船橋」がある。メジャーを張ることはなかった。なので、同社が2018年に新駅名を「高輪」ではなく「高輪ケートウェイ」にしたときも、浜松町と品川に挟撃され「Get away」になるのではと皮肉りもした。6,000億円超(土地代はただ同然だか)の事業規模で、実績豊富な大手デベロッパーと組まないのは常識的に考えられなかった。

 今回、完成した施設を見学して、同社がこのビッグプロシェクトにどうして他社を入れなかったのかの理由が分かった。出川氏も強調したように、当地は江戸の玄関口で、同社にとって〝聖地〟だ。誰からも侵されたくないという気持ちが間違いなく働いている。その一方で、〝誰にも負けない〟という思いを形に現したかったのだろう。

 真っ先に記者の目を射たのは、4階オフィス・ロヒーラウンジの壁面緑化だった。同社に聞いたらH8,200×W10,507.5=約86㎡だった(多分、トヨタサントリーミドリエ製品)。これほど大きいのを見たのは、三菱地所「大手町パークビル」か、三井不動産「三井ガーデンホテル柏の葉」くらいだ。ロビー受付カウンターの壁面も天然の大谷石に見えた(フェイクかどうかは未確認)。

 あとは推して知るべし。堅忍不抜-これまでずっと大手の後塵を拝してきたのは深謀遠慮の計算があったからだと勝手に理解した。壁面緑化は外観にも多用されており、全体では4面も5面もあった。アール形状を多用した外観デザインはこのところの流行だ。

 次に見学したルミネ史上最大規模の「ニュウマン高輪MIMURE」。約8,000㎡の空間に10のパートナーを迎え、8つの新業態を含む22店舗が結集している。2階の約4,000㎡もある「OGAWA COFFEE LABORATORY」の黒のカウンターは人造大理石だろうと思ったら、本物だった。照明も落としており、ゆったりくつろげる空間を演出している。真鶴半島で採掘した直径5mの岩の上に植物を配し、高さ約6mの天井から時々〝雨〟を降らす演出は初めて見た。このほか、随所に自然石を配しているのも目に入った。

 3階の店舗では、手摘茶葉のみを使用して瓶詰した750ml入りボトル1本100万円が完売したという「ロイヤルブルーティ」、ナラ、クルミなどの無垢のカウンターばかりを採用している「鎌倉 松原庵 高輪」、全国90蔵の酒が並ぶ「sakejump takanawa」、牛丼が4,000~5,000円の「牛丼㐂㐂屋」など個性的な店が多い。全体として富裕層だけでなく、普通の人も普段使いできる店舗構成になっていると感じた。

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

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「ニュウマン高輪MIMURE」(画像提供:ニュウマン高輪)

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750ml入りボトル1本100万円の「ロイヤルブルーティ」

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牛丼が4,000~5,000円の「牛丼㐂㐂屋」(有償で食べていた記者がかなりいた。小生の日高屋の4~5日分)

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無垢のカウンターの「鎌倉 松原庵 高輪」

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リーズナブルな値段の酒が多い「sakejump takanawa」(小生の名前苑美濃の愛知県の「孝の司」もあった)

 

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カウンターは全て黒の大理石の「OGAWA COFFEE LABORATORY」

◇        ◆     ◇

 「MoN(モン)」がまた素晴らしい。「MoN Takanawa: The Museum of Narratives」という名称の「MoN」には「門」と「問」という二つの意味が重ねられており、この場所で生み出される“物語(Narratives)”を世界と共有し、未知の世界や自身の新しい可能性へと続く、新しい「門」をひらこうという願いが込められている。

 MoN Takanawa 総合プロデューサーの小山薫堂氏は「このミュージアムが、『この指とまれ!』の究極の指のように、文化と人をつなぎながら、日本から世界へ、世界から日本へと、物語の輪が紡ぎ、100年先の未来へと受け継がれていくように取り組んでまいります」と、また、一般財団法人JR東日本文化創造財団アーティスティック・ディレクターの内田まほろ氏は「高輪が月見の名所だった江戸の頃、月は遠くに憧れを抱いて眺める存在でした…わたしたちは、文化の違いを超えて何かを生み出すことで、未来を手にしてきました」と、それぞれコメントしている。

 外観は隈研吾氏の〝十八番〟の木調デザイン。アール形状の外壁には植栽ますが設置されている。内観はエレベーターやエスカレーターもあるが、階段は上り下りが楽なようにステップ高に配慮がされており、上り下りできるスロープ利用できるので、ゆっくり回遊できる工夫が凝らされている。同じような気分を味わうことができた隈源吾氏の作品「大田区 田園調布せせらぎ館」を思い出した。

 100畳のたたみ空間は子どもの柔道や剣道大会には利用できそうもなかったのは残念だが、屋上の天然芝を張り詰めた月見テラス、足湯テラス、神社、菜園は圧巻。地階にはMoNライブラリーもあるので、ここで1日過ごせる。様々なイベント・催しはもちろん有料だろうが、入館料はただのはずだ。

 「TAKANAWA GATEWAY CITY RESIDENCE」は見学対象外だったが、エクスパッツ(外国人ビジネスワーカー)にも対応した国際水準の賃貸住宅847戸で、低層階には東京インターナショナルスクールが開港予定。SOHOやサービスアパートメント機能はあるのか。取材を申し込むことにした。

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「MoN(モン)」エントランス

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足湯テラス(写真撮影:Yasuyuki TAKAKI氏)

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全館の天井はメッシュのスチール

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100畳のたたみ空間

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内観

◇        ◆     ◇

 「MoN(モン)」の2階のエントランスホールでは面白い企画が用意されていた。「100年先につなげたい文化」として32人の著名人の言葉が紹介されていた。いくつか紹介する。「隈研吾氏は「ひるね」、小山薫堂氏は「湯道」、山中伸弥氏は「AIのない時間」、辛酸なめこ氏は「手書きメモ」、甲斐みのり氏は「お菓子の包み紙」、又吉直樹氏は「詩と散文」、趣里氏は「刺繍」、コカドケンタロウ氏は「ミシン」…このほか「道草」「最適な暮らし」もあった。

 これを読んで記者ははたと迷路に迷い込んでしまった。今年(2026年)は明治元年(1868年)から159年目あたる。この間、世界は劇的に変わった。この先100年、何を残し、未来につなげなければならないのか。山中氏の「AIのない時間」は本質を突いていると思うし、辛酸氏の「手書きメモ」は我々記者にとってとても大事なことだと思うが、他の方はいかにもありふれた小市民的な文化ではないか。逆読みすれば、又吉氏は「詩と散文」は死に瀕していると指摘しているとも受け取れるが…。

 小生などは、100年先まで考えるゆとりなど全くないが、あと数年もすれば、東京都心は北から日本橋、TOKYO TORCH、八重洲・京橋、築地、大丸有、TOKYO CROSS PARK、新橋、浜松町、BLUE FRONT SHIBAURA、品川、大崎など桁違いの再開発プロジェクトが目白押しだ。本当に「地球益(Global Co-Benefits)」になるのか。足の引っ張り合いにならないことを祈ろう。

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「100年先につなげたい文化」

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甲斐みのり氏の「お菓子の包み紙」(左)と「隈研吾氏の「ひるね」

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辛酸なめこ氏の「手書きメモ」(左)と又吉直樹氏の「詩と散文」

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