
「ダイアナ神宮前ビル」
青木茂建築工房は4月23日、築古の建築物の構造躯体を残しながら、建築コスト、CO2を大幅に削減し、新築と同等の機能を有する建築物に再生するリファイニング建築手法を採用した「ダイアナ神宮前ビルリファイニング工事」解体工事現場見学会を行った。敷地が狭いため、見学者を4サイクル各30人(合計120人)に制限したが、申し込みが多く、約140人が参加した。
冒頭、同社会長・青木茂氏は、「このプロジェクトは三井不動産さんの紹介。従前建物は、階段室などにスペースが取られているスキップフロアが多く、テナントビルにするのは課題があったので、フラットにする提案をしたところOKとなった。大工事になったが、この種の工事は経験があるので大丈夫。珍しい工法なのでしっかり見学していただきたい」と挨拶した。
続いて同社設計チーフで一級建築士の川村航大氏が工事概要などについて以下の通り説明した。
ビルオーナーは、8階建てのビルに建て替えることを考えたそうだが、敷地の一部が住居系用途地域に指定されており、日影規制を受けるため現在と同等のボリュームの建築は不可能で、ペンシルビルにしかならないことが判明したため、同社のリファイニング建築が採用された。
既存建物は、地下1階から2階までは階段室などに多くのスペースが割かれているスキップフロアになっており、各フロアの室内形状も凹凸が多く、貸しビルとして汎用性に欠ける課題を抱えていた。
そのため、縦動線を根本的に見直し、集約化と効率化を図ることでバリアフリーを実現し、共用部の充実、テナント区画を整形な平面に再構成。既存スラブ/梁を解体するとともに新たなスラブを新設している。
また、既存建物は平成19年に耐震改修済みだったが、再検査の結果、耐震補強を施す必要性があったことから、塔屋や雑柱を撤去して軽量化を図った。補強計画は第三者機関から耐震評定書を取得し、耐用年数については日本建築センターから今後100年超の評価を得ている。確認済証を再取得する予定。
既存建物「ダイアナ神宮前ビル」は原宿交差点に近い一等地。東京メトロ原宿駅から徒歩7分、渋谷区神宮前1丁目に位置する敷地面積約572㎡、地下1階地上4階建て延床面積約2,260㎡。建ぺい率90.40%、容積率395.07%。昭和53年(1978年)竣工。用途は事務所/店舗(自社ビル)。施工は日本建設。総合企画は三井不動産。

解体工事現場

天井


青木氏(左)と同い年の東京都立大学名誉教授・深尾精一氏

川村氏
◇ ◆ ◇
川村氏が最初に「築48年」と話したとき、日影規制はすでに施行されていたのではないかと考え、川村氏に質問した。川村氏は「日影規制の施行は昭和52年(1977年)11月で、当該建物はその数か月前に建築確認が下りており、既存不適格建築物となった」と説明した。
建て替えた場合は日影規制を受け、敷地条件などからして希望通りのビルは建てられないことはよくわかった。リファイニング後の延べ床面積は従前とほとんど同じだが、スキップフロアをなくし、フラット化を実現したことで賃貸面積を確保できているということもよく理解できる。
ただ、どこが大工事なのかは、専門的知識がないので全然わからないし、他の取材も入っていたので途中で退席した。多くの関係者(建築業界だけでなく、金融機関も多いはず)が駆けつけたように、リファイニング建築はいまもっとも注目されているテーマのはずだ。これまでの記事も再録する。青木氏は『建築の魔術師』だ。

