錦糸町12分で坪単価264万円は〝旧価格〟か 三井レジ「パークホームズ錦糸町」
「パークホームズ錦糸町ザ・レジデンス」完成予想図
三井不動産レジデンシャルと大栄不動産が共同で分譲中の「パークホームズ錦糸町ザ・レジデンス」のコンセプトルームを見学した。昨年末から分譲開始しており、残りは未分譲を含め12戸で坪単価は264万円。隅田川を超えた隣接の中央区では軒並み400万円を突破してきており、割安感もある。
物件は、JR総武線快速・JR総武線・東京メトロ半蔵門線錦糸町駅から徒歩12分、都営大江戸線両国駅から徒歩11分、墨田区緑4丁目に位置する12階建て全55戸。現在分譲中の住戸(12戸)の専有面積は67.25~71.66㎡、5,228万~6,168万円、平均坪単価は264万円。竣工予定は平成29年2月下旬。施工は川口土木建築工業。売主は同社のほか大栄不動産。
現地は三つ目通りに面しており、4方向道路。敷地南側は東方向にペンシルマンションが建っているほかは、眺望が開けた立地。外構に西武造園を起用し、植栽に力を入れているのが特徴。食洗機、ユーティリティシンクが標準装備。
販売を担当する同社都市開発三部パークホームズ錦糸町ザ・レジデンス所長・山際寛生氏は、「昨年末から販売しており、西向きのタイプは完売。残りの住戸とこれから分譲する住戸は南向き。東側方向にペンシルマンションが1棟あるのみで、眺望が開けている。12月の第2週には建物内にモデルルームを設ける予定で、坪単価が400万円を突破してきている人形町あたりまで自転車で30分もかからないことをアピールしていく」とし、最近の市場についても「私が担当した坪単価281万円の『パークホームズ押上ザ レジデンス』(60戸)はほぼ即日完売。坪単価450万円の『パークホームズ日本橋人形町ザ レジデンス』(80戸)も残りわずか。予定通り進捗している」と話している。
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価格が高いか安いか、これはユーザーが決めることで、もともと記者は錦糸町駅圏の相場は250~260万円くらいだと思っていた。ところが、スカイツリーが完成したあたりから、相場が一挙に上昇、スカイツリーが見える駅近物件は軒並み坪300万円を突破した。
それどころか〝問屋街〟だった馬喰町、横山町あたりも坪400万円を突破してきている。いくら何でもこれは上がりすぎだと思う。総じて売れ行きはいま一つと聞いているが、機会があったら取材してみたい。
そんなことを考えると、錦糸町駅から12分で坪単価264万円というのは〝旧価格〟なのかもしれない。
外構
物件特性をどうアピールするか NTT都市開発他「ウエリス浦和美園」
「ウエリス浦和美園」完成予想図
記者は50年以上の西武ライオンズ(前西鉄ライオンズ)ファンで、球団が所沢に移転してきたとき球場の近くの戸建てかマンションの購入を考えたほど熱を入れたことがあるが、サッカーにはまるで興味がない。国際試合は必ず観て日本を応援するが、国内の試合は浦和が勝とうが大阪が勝とうがどうでもよく、それよりも頭突きをしたり、得点するとユニフォームを脱いで裸になり卑猥な踊りもしたりする、退屈で野蛮なサッカーのどこがいいのかと思っている。
また、街のポテンシャルはホテル、デパート、食など文化の集積が重要で、その点からしてわが多摩ニュータウンに勝るところはないと思っている。坂の多さを批判する人がいるが、起伏の多い街は景観を美しくする利点もある。千葉や埼玉の大規模住宅地の人気がいま一つなのは、起伏に乏しい地形にも一因があると思っている。
そんな記者の独断と偏見の物差しで、NTT都市開発他「ウエリス浦和美園」を紹介することを了解していただきたい。
まず、「浦和美園」について。300ha超に及ぶ土地区画整理事業「みそのウイングシティ」の都市計画決定がなされたのは1999年。バブル崩壊により事態が深刻になっていたころで、前途多難を思わせた。埼玉県やさいたま市も事業に関与していた。
そして、2001年に埼玉高速鉄道浦和美園駅が開業し、浦和レッズが本拠とする埼玉スタジアムも完成した。2006年には「イオンモール浦和」が開業。その前後にポラスの大規模戸建て分譲が行われ人気になったが、東急不動産他のマンション「センターフィールド浦和美園」(197戸)は完売まで相当時間がかかった。
記者はこの10年間、4~5回取材に浦和美園を訪れている。街の開発スピードは遅々として進んでいないと思う。もっと早い段階から民間〝活力〟を導入し、街の未来像を描くべきだった。駅前は貧しいのに、どうして駅から15分もかかるところにスタジアムを建設したのか。サッカーファンはやさしいのか、野球ファンなら怒る。街路樹も貧弱だ。官主導の土地区画整理事業は時代遅れの開発スキームだ。
ところが、2020年東京オリンピックの会場に埼玉スタジアムが選ばれたこともあるのだろうか、ここにきて動きが出てきた。駅前に公共複合施設が開設され、順天堂大学附属病院、商業施設「ウニクス」の進出も決まった。約14,000㎡の公園も整備される。最近は三井不動産レジデンシャルやポラスの戸建て分譲が人気を呼んだ。近く、さいたま市の先進的モデルタウンの戸建て分譲も始まる。
「浦和美園」はそんな街だ。駅舎、駅前広場は浦和レッズ一色で、チームカラーのレッドは広島カープ同様なかなかいい色だと思う。
リビングルーム
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さて、これからが本番。ここまで辛抱強く読んでくださった浦和レッズファンはもちろん、もはやマンションの取得は絶望的と思っている圧倒的多数派のサラリーマンの方にもう少し辛抱して以下を読んでいただきたい。
「ウエリス浦和美園」は、埼玉高速鉄道線浦和美園駅から徒歩7分、埼玉県さいたま市緑区大字下野田字新道下に位置する15階建て「サウステラス」380戸と「ノーステラス」317戸の合計697戸の規模。現在分譲中の「サウステラス」の専有面積は70.11~92.84㎡、価格は3,478万~5,548万円(最多価格帯3,900万円台)、坪単価は175万円。竣工は「サウステラス」が2016年12月中旬、「ノーステラス」が2018年4月上旬。施工は川口土木建築工業。売主は同社(事業比率80%)のほか川口土木建築工業(同20%)。販売代理は住友不動産販売、東急リバブル。
物件の特徴は、敷地の南側に約14,000haの公園予定地が広がり、敷地の東側には魚も泳ぐ綾瀬川に隣接している環境のよさだ。販売を担当する住友不動産販売の担当者によると、「始発駅であるので朝の通勤時には座れるし、地下を走るので遅延がほとんどない」とのことだ。
住戸プランでは、埼玉県初のマンション向けエネファームを全戸に搭載しており、二重床・二重天井、ディスポーザ、「良水工房」が標準装備。コミュニティプログラムは当初1年間、事業主が費用を負担して支援する。
分譲開始から約1年半、これまで「サウステラス」の約160戸が契約済みだ。「サウステラス」の竣工を前後して全317戸の「ノーステラス」の分譲が始まる。
「ノーステラス」の特徴は、専有面積63~130㎡のプランバリエーションが全87タイプと豊富で、とくに75㎡の4LDKを設けているのに注目したい。このタイプは、ナイスが採用して成功したように、部屋数を確保したいファミリーをターゲットにしたものだ。
さらに、70㎡の3LDKのプランは、間口を6,400ミリ(サウステラスは6,000ミリ)とするなど広くし、横長リビングにしたり収納に工夫を凝らしたりしている。
また、これは「サウステラス」もそうだが、70㎡台の後半のプランの廊下幅を広いものは約1,400ミリとするなどすべてメーターモジュールにしているのも大きな特徴だ。
価格についてはユーザーが判断することだが、レッズファンにはたまらないマンションではないか。設備仕様などは他のこれくらいの単価のマンションよりは優れているといえる。多摩ニュータウンなら坪200万円を突破するはずだ。勝敗のカギは物件の特性をどうアピールするかだ。
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同社のマンションブランド「ウエリス」について。昨年の5月、「ウエリス銀座」を取材したとき、どうして物件名が「ウェリス」でないのか悩んでしまった。NTT都市開発ともあろうものが物件名を間違えるはずがない、記者の目が悪いので「ェ」が「エ」に見えるのだろうかと何度も確認し、結局、「ウエリス」にしたのだが、それまでの記事は全て間違っていたのだろうかと冷や汗が出た。
何のことはない。同社が昨年1月、ブランド名「WELLITH(ウェリス)」を「Wellith(ウエリス)」に変更したのを記者は知らなかっただけのことだった。どうして「Wellith」を「ウエリス」と読ませるのか不思議だが、旧仮名遣いでは拗音・促音はほとんど大文字だったから、まあいいか。
同社によると、今も「ウェリス」と「ウエリス」が混在しているのだという。
Wリビングの提案がいい コスモスイニシア「イニシアクラウド渋谷笹塚」
「イニシアクラウド渋谷笹塚」完成予想図
コスモスイニシアが11月上旬に分譲する「イニシアクラウド渋谷笹塚」を見学した。全体のデザイン監修に建築士の横堀健一氏を起用し端正な外観デザインにするとともに、デザインオフィスnendo代表・佐藤オオキ氏とコラボし、多様なライフスタイルに対応するため自在な住空間を提案した商品企画が優れている。
物件は、京王線幡ヶ谷駅から徒歩10分、渋谷区幡ヶ谷三丁目の第1種中高層住居専用地域に位置する5階建て全42戸。専有面積は専有面積44.87~85.26㎡、価格は未定だが坪単価は360万円くらいになる模様。竣工予定は平成29年5月下旬。施工は大豊建設。
現地は中野通りから一歩中に入った低中層の戸建て・マンションなどが建ち並ぶ住宅街で、敷地は東西軸が細長い長方形で、住戸は南向き。全住戸の床が挽き板のフローリングで、渋谷、代々木公園、千駄ヶ谷、代々木上原、代官山、青山が約5㎞圏にあることから、ライフステージ、ライフスタイルに応じて玄関を入ってすぐのスペースを〝Wリビング〟として暮らせる提案をしているのが大きな特徴。
空間設計を担当しているnendoが「ワークルーム(渋谷)」「ガレージ(代々木公園)」「クロークルーム(千駄ヶ谷)」「パーティダイニング(代々木上原)」「プレイルーム(代官山)」「シアタールーム(青山)」の6つの提案を行っている。一部はモデルルームに採用されている。
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周囲の道路が狭いのは難点だが、それを補って余りある商品企画だと思う。
モデルルームを見学して驚いたのは間取りプランだ。玄関は住戸のほぼ中央に設置されており普通のマンションと変わらないのだが、廊下を挟んだ左右の居室のドアがスライドウォールになっており、開け広げると廊下スペースを含め15~16畳大の居住空間になるよう工夫されていた。廊下の天井高も居室と同じ2400ミリだから、一体利用できる配慮もなされていた。
これを見たとたん、先日見学した三井不動産レジデンシャルの「パークコート青山ザ タワー」を思い出した。玄関を入るとすぐにリビング空間が広がっていたのにびっくりしたのだが、コスモスイニシアのモデルルームもほとんど同じだ。同社分譲事業部プロジェクトマネージャー・中路健太郎氏が「Wリビングの提案」と呼んだように、「ライフスタイルに応じてSOHOにもシアタールームにもなる」プランだった。
このような思い切ったプラン提案は「笹塚」のアドレスだからこそ、ターゲットを絞り込んでいるからこそできる技だが、最近の同社の企画力は突出している。横堀健一氏についても触れておくが、先日見学したモリモトの「浜町」も横堀氏だった。これもいいデザインだった。
価格について。笹塚駅圏では6年前にモリモトが分譲したマンションの坪単価は280万円だった。駅から少しあったのでこの単価に驚いたのだが、瞬く間に売れた。現在、同じエリアには中野通りに面した住友不動産「シティハウス笹塚レジデンス」が分譲中で、三菱地所もマンションを建設中だ。住友不動産の物件は所在が「中野区」であるため坪単価は350万円くらいで、三菱地所は笹塚駅により近いため、もっと高い値になるようだ。
物件シアターを見て驚いたのだが、「suumo 新築マンション首都圏版」(2016.9.6号)で、「笹塚」が京王線の「住みたい街ランキング」トップに躍り出たのだという。記者は「仙川」がいいと思うが、果たして仙川は何位か。
ここが試金石・分水嶺 伊藤忠都市・三菱地所レジ 「国領」3分で坪280万円
「クレヴィア調布国領RESIDENCE」
伊藤忠都市開発(事業比率50%)・三菱地所レジデンス(同)が11月中旬に分譲する「クレヴィア調布国領RESIDENCE」を見学した。京王線国領駅から徒歩3分の全163戸で、坪単価は280万円。75㎡と70㎡前後の3LDKが中心。ドンピシャリの企画と見たがどうだろう。
物件は、京王線国領駅から徒歩3分、調布市国領町4丁目に位置する10階建て全163戸。専有面積は55.04~79.06㎡、第1期(戸数未定)の予定価格は4,600万円台~7,700万円台(最多価格帯6,400万円台)、坪単価280万円。竣工予定は2018年2月上旬。施工は大末建設。販売代理は三菱地所レジデンス。
現地は、商業ビルやマンションが建ち並ぶ表通りに位置しており、3方が道路。敷地南側は第一種低層住居専用地域。
建物は3棟構成で、駅に近い部分にグランドエントランスが設置され、他の住棟とは長さ約100mのゲートブリッジで結ばれている。
住戸プランは第一種低層住居専用地域に面する南側住棟は75㎡が中心で、他の棟は70㎡前後の3LDKが中心。二重床・二重天井、ディスポーザー、食洗機が標準装備。
中庭
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この前、NTT都市開発他「ウエリス世田谷砧」の記事でも書いたが、世田谷区内のマンションは軒並み坪単価が300万円を突破し、駅に近い物件などは400万円もする。
今回の「国領」は、世田谷区に隣接する調布市で、各駅停車駅であることなどから坪280万円という単価設定になったと思われるが、20坪で400万円の差は大きい。
コスト削減からプランバリエーションを少なくしたのは気になるが、70㎡のプランは7500ミリのワイドスパンで、廊下スペースを少なくし、主寝室を7畳大確保するなど工夫もされている。ここが試金石・分水嶺となる。売れなければ準都心の物件は相当苦労しそうだ。
商品企画は伊藤忠都市開発で、販売には伊藤忠ハウジングは入っておらず、三菱地所レジデンスが担当するという面白い組み合わせのマンションでもある。
東急不動産 東京ガス・資生堂と「自分を整えるBRANZのバスタイム」提案
「癒し」の効果を促すカラーコディネト イメージ
東急不動産は10月18日、分譲マンションBRANZ(ブランズ)の新たな商品企画に東京ガス、資生堂と連携し、各社の調査研究データをもとに“より美しくスマートな暮らし”を実現するための浴室空間と入浴方法、美容方法を加えた「自分を整えるBRANZのバスタイム」を提案すると発表。実際の提案をオリジナル商品企画「MEUP(ミアップ)」の一環として来春分譲する「ブランズ南荻窪」に採用する。
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東京ガスの「ミストサウナ」を採用したマンションは少なくない。その効用は記者も体験したのでいうまでもないが、今回の商品企画は資生堂が参画したのがみそだ。
ニュースリリースには「資生堂の研究結果によると、肌を温めることで細胞が活性化し、肌全体に美容成分が届きやすくなることが明らかになっています。資生堂のプレステージブランドベネフィークのスキンケアは、肌温に着目し、独自の『℃(ドシー)美容』で、ひとをあたためて美しくするブランドです。『温・冷・温』のサーマルギャップが“Nカーブ”で冷えた肌をほぐし、うるおい環境を整え、角層深く美容成分の効果をしっかりと受け止める肌へ導きます」とある。
結構なことだ。しかし、記者は風呂嫌いで、冬場は湯船に入り、寝込んでたたき起こされるまで時間を忘れるが、普段は5~6分のシャワーだけで済ませる。一般の人は15~30分入るようだ。
そこで、同社に提案。今回の提案もいいが、次は風呂代を浮かせ、浴室スペースも削減できる商品を開発してほしい。
ネット情報などによると電気、ガス、水道代、洗剤その他を合計すると1日当たり150円くらいで、入浴時間、掃除時間などを時間給1,000円として計算すると月に2万円くらいになる。
わが国は労働時間が長く、睡眠時間が少ないのが問題になっている。入浴時間を半分以下に減らせは、その分睡眠や余暇時間に充てられるので、月に1万円は節約できる計算になる。手っ取り早いのは、自動身体洗い機だと思う。洗濯機のように身体を入れれば数分で身体を洗い、乾燥もしてくれる機器を開発してはどうか。省スペースにもなるし大ヒットするはずだ。
非日常の極み 三井不レジ「パークコート青山 ザ タワー」は坪単価950万円
「パークコート青山 ザ タワー」外観イメージ
三井不動産レジデンシャルは10月18日、〝AOYAMA FLARE〟をコンセプトにした曲線美を強調した世界基準のラグジュアリタワーマンション「パークコート青山 ザ タワー」の第1期分譲55戸の申し込み登録を10月15日から開始したと発表した。青山公園を眼下に見下ろす26階建て全163戸で、第1期分譲の坪単価は950万円。もっとも広い約300㎡の住戸(価格は未公表)も含め今回の最高価格15億円(234㎡)住戸にも申し込みが入っているという。登録締め切りは10月23日。来場者は約500組。
物件は、東京メトロ銀座・半蔵門線・都営大江戸線青山一丁目駅から徒歩3分、港区青山2丁目に位置する26階建て全163戸。第1期55戸の専有面積は70.07~234.04㎡、価格は1億7,880万円~15億円。坪単価は950万円。竣工予定は2018年3月下旬。施工は大林組。売主は同社のほかシンガポールのデベロッパーCITY DEVELOPMENTS LIMITEDがこの事業のために設立した特定目的会社Iconique。
現地は、道路を挟んだ東側に青山公園、南側に青山霊園が広がる繁華街から一歩入った比較的静かなエリアの一角。
建物の設計に当たっては、世界的に活躍するインテリアデザイナーであるブルーノ・モワナー氏、ガラス師のエマニュエル・パロワ氏、彫刻家の安田侃氏を起用。〝AOYAMA FLARE〟をコンセプトにし、外観から外装のディテールに至るまで曲線の美しさをデザインに取り込んでいるのが特徴。
1階部分は人工地盤とし、最高5メートルの高さの石垣で囲う。人工地盤上の2階レベルはプライベートガーデンとし、安田侃氏のアートが配置される。最上階には貸し切り(30分2,500円)も可能なインフィニティプールなど共用施設を設置するなどラグジュアリタワーマンションにふさわしい様々な共用施設・サービスを行う。
住戸デザインでは、床から天井までのフルハイサッシとガラス手すりを採用。ガラス手すりは眺望の妨げにならないよう笠木を設けず、住宅床よりサービススペース(建物外周のバルコニー)の床レベルを下げ、さらにサービススペースは避難経路と設備配置スペースに用途を限定する。
スカイラウンジ
インフィニティプール
サービススペース
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曲線美を強調したマンションはそこそこあるが、これほど徹底したマンションを初めて見た。シアターからしてそうだ。マンションの概観や共用部分を背景に背丈の3倍くらいありそうなドレスをまとったバレリーナが優美に舞うシーンが音楽と共に映し出される。ナレーションは一切なし。観る者を異次元の世界に誘い込む。非日常の極みのマンションだ。
モデルルームもしかり。115㎡と234㎡は角住戸タイプで、床、壁、天井、家具調度品に至るまでアール状のものばかり。ドアノブも握り玉にする凝りようだ。デザインを担当したブルーノ・モワナー氏が映像で紹介され、浮遊感を演出した旨のことを話したが、記者などはガラスの向こうから自分を見つめる醜悪な顔に愕然とし、眩暈を起こしそうになった。来場者の多くも「初めて見た」と驚くそうだ。
素材はコルキア(大理石)、シカモア、黒檀、オーク、本皮などがふんだんに用いられ、設備機器はジェシー、ガゲナウ、ミーレ、ジャクソン、ドンブラハなど外国製ばかりで、日本製はTOTOの便器くらい。ガラス製のオブジェでもあり腰掛は数百万円するそうだ。同社の最高級シリーズ〝パーク・マンション〟とほぼ同等のグレードと見た。
300㎡の最高価格住戸の価格は未公表だが、20億円を突破するのは間違いない。30億円と聞いても驚かない。
234㎡のモデルルーム
〝埼玉一儲かる〟!? マリモ「グラディスさいたま新都心」好調スタート
「グラディスさいたま新都心」
マリモが10月から竣工販売を開始した「グラディスさいたま新都心」を見学した。JR埼京線北与野駅から徒歩3分、京浜東北線・高崎線・宇都宮線さいたま新都心駅から徒歩11分の全36戸で、この半月で18戸を成約(申し込み含む)するなど好調なスタートを切った。
物件は、JR埼京線北与野駅から徒歩3分、JR京浜東北線・高崎線・宇都宮線さいたま新都心駅から徒歩11分、さいたま市中央区上落合2丁目の第二種住居地域に位置する7階建て全36戸。専有面積は65.51~70.00㎡、現在分譲中の住戸(9戸)の価格は4,740万~5,420万円(最多価格帯4,700万円台)、坪単価は250万円。建物は平成28年6月完成済み。設計・監理はイクス・アーク都市設計。施工は飛島建設。販売代理はアートランド。
現地の用途地域は第二種住居地域だが、敷地南側は第一種低層住居専用地域で2~3階建ての戸建てが建ち並ぶ住宅街の一角。住戸は全戸南向きでのファミリータイプ。
10月から販売を開始しており、低層階住戸や角住戸、高層階住戸中心に第1期18戸が完売・申し込み済み。販売担当者は「スタートとしては順調。立地・アクセスのよさが評価された」と話している。
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初めてマリモのマンション「ポレスター飯能」を見学してから9年。その後、リーマン・ショックの打撃を受けながら経営の立て直しを図り、ここ数年はマンションデベロッパーから総合デベロッパーへの転換を図っている。
市街地再開発事業、戸建事業、戸建賃貸事業、インバウンド、アウトバウンド事業、収益不動産事業(流動化事業)に参入、さらに中国、フィリピン、インドネシア、マレーシアなど南アジアへも進出した。
新しい事業が開花するのはこれからだろうが、「利他と感謝の精神」を経営理念に掲げるこうした中堅デベロッパーを応援したい。
「グラディスさいたま新都心」は、やはり建築費高騰の影響を受けているのだろう。植栽など外構には力を入れているが、設備仕様は普通で、専有面積も圧縮気味だ。坪単価も安くはないが、浦和・大宮駅圏は坪300万円を突破してきている現状を考えれば妥当な値段か。
モデルルーム
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見学する目的は他にもあった。「不動産ビッグデータでビジネス展開する」スタイルアクトが10月3日、「首都圏エリア別『沖式儲かる確率上位物件ランキング』2016年10月版」を発表したのだが、この「沖式儲かる確率上位物件」の首都圏エリア別トップマンションに埼玉県ではマリモのこの「新都心」が選ばれていたからだ。他のエリアは住友不動産、野村不動産、三井不動産レジデンシャル、新日鉄興和不動産など大手が並んでいる。
「沖式儲かる確率」とは、簡単に言えばマンション収益(家賃相当額+売却時損益)を新築時分譲価格で割って、「マンション利回り」を算出し、2%以上だと資産性が高く、1%台だと平均的、1%未満だと資産性が低いとするものだ。
投資用マンションならともかく、ファミリーマンションを収益面だけで「儲かる」「儲からない」などとする乱暴な手法にあ然とするほかないのだが、スタイルアクトが宅建業者であることには注目したい。同社もいわゆる「不動産テック」の部類に入るのだろうが、レインズのビッグデータは不動産業者のみが利用可能なもので、その優位性を武器に消費行動を左右させる情報を提供する商行為はいかがなものか。
「新都心」の販売担当者にこの件について聞いたが、「全然知らない。70㎡のモデルルームは家賃相当額18万円としているが、価格は5,300万円台。利回りは決して高くない」と戸惑っていた。他のデベロッパーも同じではないか。
マリモ「弊社の健全な経営状況について」公開(2008/11/30)
徒歩15分だが周辺は第一種低層 NTT都市開発他「ウエリス世田谷砧」
「ウエリス世田谷砧」中庭 完成予想図
NTT都市開発(事業比率50%)、三菱地所レジデンス(同25%)、東急不動産(同20%)、長谷工コーポレーション(同5%)の4社共同マンション「ウエリス世田谷砧」を見学した。最寄り駅の小田急線祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩15分とややあるが、周囲は住居系エリアで、坪単価が軒並み300万円を突破している世田谷区にあって290万円と300万円を切る。準都心部のマンションの今後を占う意味で一つのバロメータになる物件だ。
物件は、小田急線祖師ヶ谷大蔵駅から徒歩15分、世田谷区砧1丁目に位置する10階建て全182戸。第1期(戸数未定)の専有面積は70.04~94.25㎡、予定価格は5,300万円台〜9,500万円台(最多価格帯6,500万円台)、坪単価は290万円。竣工予定は2017年12月中旬。設計・施工・監理は長谷工コーポレーション。共用部のインテリアデザイン監修は建築家の南部昌亮氏。販売予定は10月下旬。
現地は研修所の跡地で、敷地の用途地域は第2種住居地域(容積率198%)だが、敷地の東側、北側、西側は第一種低層住居専用地域。砧公園までは徒歩9分。
建物は南東・南西向きが中心で、別棟としてクラブハウスか建設され、ラウンジ、コミュニティルーム、ゲストルーム、ライブラリー、学童保育などが設置される。
住戸プランは6200ミリスパンの76㎡が中心で、二重床・二重天井、ディスポーザ、食洗機、天然御影石キッチン天板などが標準装備。
NTT都市開発住宅事業本部分譲事業部・中村舜氏は、「周辺物件は分譲単価が高くなっているので、グロスを抑えるために専有面積の圧縮を図っている物件が多いが、当社は76㎡が中心。広めの面積を求めているお客さんのニーズに応えたい。周辺が第一種低層住居の開放感もアピールできるはず」と話している。
リビング
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住宅の質は基本的には広さだ。その点でこのマンションは3LDKで76㎡を確保している。別棟の共用施設も充実しておりいい物件だと思う。
問題はやはり駅から徒歩15分というアクセスだ。これは如何ともしがたい。駅からは遠いが、76㎡の3LDKならどのような暮らし方ができるか、充実した共用施設の価値をしっかり伝える以外にない。
それにしても、新宿や渋谷までドアツードアで30分圏の城西エリアのマンションは坪単価250~300万円が相場だ。普通の会社員の取得限界を超えてきている。何とかならないのか。
ライブラリー
デザイン・プラン・仕様レベル高い モリモト「ディアナコート日本橋浜町」
「ディアナコート日本橋浜町」完成予想図
最後にモリモトの「ディアナコート日本橋浜町」。「クレヴィア日本橋浜町」にも「プレミスト日本橋浜町」にも立地は劣るかもしれないが、デザイン・設備仕様では負けない。好勝負とみた。
物件は、都営新宿線浜町駅から徒歩2分、中央区日本橋浜町2丁目に位置する10階建て全44戸。専有面積は54.42~101.46㎡、価格は未定だが坪単価は伊藤忠より安く、大和ハウスより高い430万~450万円くらいになる模様だ。竣工予定は平成30年1月下旬。設計・監理はIAO竹田設計。デザイン監修はアーキサイトメビウス。施工は新日本建設。
現地は、表通りから一歩入った商業地で、三方道路。建物は西側道路に面したシンメトリックなデザインが特徴で、垂直と水平ラインを強調するとともに、基壇部には御影石、耐候性鋼板、大判タイルをリズミカルに配し風雅な表情を演出している。ペントハウスはフィンを庇のように際立たせ象徴的なデザインにしている。
住戸プランは角住戸比率を高めた1フロア4戸~5戸。ディスポーザ、食洗機、シーザーストーンキッチンカウンタートップ、グローエ水栓、ミストサウナなどが標準。壁・建具に大雪山のナラ材を、床はオーク材を採用しているのが特徴。
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立地条件は伊藤忠都市開発にも大和ハウスにも負ける。しかし、圧倒的なデザイン力と本物志向の設備仕様、ワイドスパンのプランで真っ向勝負できると記者は見た。デザイン監修は大和ハウスの物件と同じ今井敦氏だ。
完成予想図を見ていただきたい。似たようなデザインのマンションはあるかもしれないが、とにかく凛とした美しさがある。外観に配管などが出ないように、側面に配する工夫も施しているという。
建築士の横堀健一氏とデザイナーのコマタ トモコ氏が提案したモデルルームがまたいい。記者は同社のマンションをほとんど見学しているが、まず当たりはずれがない。今回も同様だ。ナラ材の突板仕上げが美しい。来場者は玄関に入って一様に驚きの声を上げるというが、さもありなん。
分譲開始は10月下旬の予定だ。大激戦のエリアでどのような売れ行きを見せるか見ものだ。同社が中央区で分譲するのは初めてではないか。
基壇部
浜町公園も浜町駅も15~23秒立地抜群の伊藤忠都市開発「クレヴィア日本橋浜町」(2016/10/11)
広さ=単価の安さと提案力で勝負 大和ハウス「プレミスト日本橋浜町公園」(2016/10/11)
広さ=単価の安さと提案力で勝負 大和ハウス「プレミスト日本橋浜町公園」
「プレミスト日本橋浜町公園」完成予想図
「クレヴィア日本橋浜町」の次に大和ハウス工業の「プレミスト日本橋浜町公園」。立地は伊藤忠都市開発の物件に劣るが、それだけ単価も低く億ションのプランはいい。
物件は、都営新宿線浜町駅から徒歩2分、中央区日本橋浜町2丁目に位置する14階建て全78戸。専有面積は65.10~83.17㎡、現在分譲中の住戸(17戸)の価格は6,790万~12,080万円(最多価格帯9,900万円台)、坪単価は410万円。竣工予定は平成29年12月上旬。施工は長谷工コーポレーション。デザイン監修はアーキサイトメビウス・今井敦氏。
現地は、浜町駅A1出口から徒歩2分。敷地は南北に細長い四角形。敷地南側が道路を挟んで浜町運動場と浜町公園。
住戸は1フロア6戸で、公園側に面した73~82㎡の南向き住戸と北向きの65~70㎡の住戸が各3戸。ディスポーザ、食洗機、黒御影石のキッチン・洗面浴槽カウンター、ガラスクローゼットなどが特徴。これまで半分くらいが成約済み。
基壇部
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浜町駅に近い同社のマンションを見学するのはこれで2回目だ。最初はいまから10年前の「プレミスト日本橋浜町リデアル」で、立地条件はよくなかったが、デザインがよく圧倒的な人気になったのを記憶している。坪単価は250万円だった。
今回は立地もターゲットも単価も異なるが、共用部も含めて総じて設備仕様レベルは高い。デザイン監修に今を時めくアーキサイトメビウス・今井敦氏を起用していることでも力の入れ具合がうかがい知れる。
82㎡のモデルルームの出来もいい。まず玄関のシューズインクローク。扉がガラス製になっており、奥の壁もガラスだった。単に靴などを収納するだけでなく、観葉植物なども置かれていた。これには唸ってしまった。〝魅せる収納〟はこれまでたくさん見学したが、〝魅せる下駄箱〟は初めて見た。
ダイニング・キッチンカウンタートップとサイドは高級感のする黒御影石を使用しており、圧倒的な存在感がある。
とはいえ、20坪で億ションというのが相場になった浜町・人形町エリアには競合物件も多い。広さ=単価の安さと提案力で勝負できるか。
エントランス
浜町公園も浜町駅も15~23秒 立地抜群の伊藤忠都市開発「クレヴィア日本橋浜町」(2016/10/11)