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2019/01/19(土) 21:11

藤原利彦氏の「週刊住宅」連載コラム1000回に 中身最高 レイアウトが問題

投稿者:  牧田司

114日付「週刊住宅」に掲載されたハウジングライター・藤原利彦氏(76)の連載コラム「住宅評論 トレンドを斬る」を興味深くかつ感慨をもって読んだ。

コラムは今回で1,000回に達したのを機に、特別編として「トップに聞く」とし、3月まで合計14名くらいの企業トップを登場させる企画のようだ。

1,000回といえば年間約50回として約20年になる。連載漫画などは50年というものもあるので、それらと比べると少ないかもしれないが、不動産業界紙にはそんな例は少ないはずだ。小生が師と仰ぐ故・佐藤美紀雄先生の同紙連載コラム「ワンポイント時評」は1,000回ちょっとで終了したはずだ。藤原氏の連載は間もなくそれを突破する。

藤原氏は同紙の元編集長で、定年退社されてからも、このコラム記事などでずっと支えてきた。

若いころからデベロッパーやハウスメーカーなどのトップ取材を得意としていた。今日では信じられないことだが、アポなしで各社の広報部に堂々と入り込み「何かネタはない? 」と動き回るのを日課としていた。文句をいう広報マンはいなかったはずだ。

趣味はゴルフだった。バブルのころは週に1回、年間で50回くらいこなしていたようだ。「俺はグリーン上で記事を書く」と豪語していたように、企業の幹部と一緒に回りながら記事ネタを引き出しものにしていた。常に新しい情報を発信せよというメッセージ、叱咤激励だった。

その趣味は実益の記事に生かされた。せっかちな性格もそうさせたのか(失礼、何しろ食べるのが速く小生の2倍はあった)、とにかく、どこかで仕入れた新ネタ(裏を取っていたかどうかは不明)を大げさに書く傾向があった。まるで「奈良」が「平安」に、「江戸」が「明治」に、「昭和」が「平成」に変わるかの如く、「不動産流通はFCの時代」などとセンセーショナルな大見出しが毎号の紙面を踊った。ゴルフのように的(穴か。穴といえば藤原氏は競馬好きで、大穴を的中させたことはほとんどなく、財布にぽっかり大きな穴を空けていた)を外していなかった。

しかし、原稿の締め切りが迫るとキリキリと胃が痛み、言葉をひねり出すのに呻吟する毎週だった駆け出しの記者にそんな芸当ができるわけがない。〝これは勝てない〟とあきらめ、苦しみから逃げるように〝戦って負ける記事は書かない〟と決断した。「人」ではなく、マンションや戸建てなどの「モノ」の現場取材に転向した。ゴルフとは50歳で決別した。糖尿を発症したのもそのころだが…。

あのときの決断がいまも生きている。藤原氏には感謝してもしきれない。数少ない尊敬するライターの一人だ。自ら「評論家」などと名乗らないのも小生=記者は見習っているつもりだ。

       ◆     ◇

「トップに聞く」第一弾は、アールシーコア・二木浩三社長だ。小生はアールシーコアがどのような事業をされているのかよく知らないのだが、ログハウス(別荘)からスタートし、年間1,000棟も販売する会社のようだ。

記事には「BESSブランド」「LOGWAYクラブ」が頻繁に登場するのに閉口もしたが、「展示場という呼称にはしたくなかった」「異端でメジャー」「〝業界最狂、ハピネス拡散〟」「住宅も建てる動機は無限」などの魅力的なフレーズが二木氏から発せられている。実に心地よい。

そして、小生が唸ってしまったのは、「LOGWAYクラブ」の会員からは年1万円の会費を徴収し、成約時には「それまで納めていただいた会費も8倍にして返却する仕組みにしている(最大64万円)」というくだりだ。会員は255人もいるというではないか。

これはすごいと思った。さすがに64年間も会員でい続ける人はいないだろうが、8年間、つまり8万円払えば8倍の64万円が戻ってくる計算だ。

もちろん、二木社長も会員もそんな打算で動くはずはない。お金を払う以上はそれなりの決談は必要だし、同社も適切な対応をしなければすぐ退会される。企業と顧客のこの自由ではあるが張り詰めた関係が面白い。

次はどなたが登場するのか、14人のメンバーはどうなるのか楽しみだ。読者が次号を楽しみにするようにしなければ業界紙は生き延びられない。

       ◆     ◇

 中身、料理は最高なのに、レイアウト、盛るお皿が問題だ。コラムは本文だけで約2,200字。400字原稿用紙で約5.2枚。普通の新聞なら最低半10段(紙面を縦に15段に分け、下の広告部分を除いた10段の1/2)のスペースを割くはずだが、同紙は101/3くらいしか割り当てていない。

 よく撮れている二木氏の顔写真も小さすぎるし、見出しもつまらない。

 小生は昨年、業界紙のデザインについても注文をつけた。見本とすべき美しいレイアウトの新聞が毎日発行されているのに、業界紙は全然学ぼうとしない。「ボーっと生きてんじゃねーよ!」と5才のチコちゃんに怒られるぞ!

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