昨日、〝三井不動産の独走・独占を許していいのか〟と書いたが、売上高や戸数はともかく、売れ行き、商品企画は互角に戦っているデベロッパーが一社ある。モリモトだ。
三井不動産レジデンシャルの2019年3月期のマンション事業は売上高2,522億円、計上戸数3,283戸、一戸当たり単価7,683万円、完成在庫141戸だ。第1四半期の今期計上戸数予定戸数3,400戸に対する事業進捗率は実に86%(前年同期81%)で、完成在庫も106戸に減少している。一戸当たり単価の高さ、完成在庫の少なさ、事業進捗率は業界トップクラスだ。
さて、モリモトはどうか。同社は2008年12月に民事再生法を申請して上場廃止となったので、公表データは少ないのだが、2008年当時の年間供給量は500戸くらいだったはずで、それが2018年は829戸(不動産経済通信調査)となり、首都圏供給ランキング9位にランクされた。
売れ行きも極めて好調のようだ。ホームページなどからすると完成在庫はほとんどゼロに近いはずだ。一昨年、大和地所レジデンスが2018年3月期の計上予定戸数929戸を全て完売したのと同様、極めてまれなケースだ。
なぜ、売れるのか。正確に知るためには一つひとつ検証しなければならないが、一言で言えば傑出した商品企画力だ。バブル崩壊後、他社に先駆けて〝デザイナーズマンション〟に特化して事業展開してきたのが花開いた格好だ。
同社のマンションには必ず「友の会優先住戸」がある。例えば「アールブラン高津レジデンス」。全88戸に対し友の会優先は30戸もある。全住戸のうち3割以上を会員だけで販売できるのは、約3万人の〝モリモトファン〟の心を捉えている証左だ。
最近の物件は、用地高・建築費上昇の影響から設備仕様レベルダウンは否めないのは残念だが(以前は坪300万円クラスでも億ション並みだった)、それでも〝ワイドスパン・内廊下〟を死守しており、デザイン性の高い商品を供給している。
近く分譲するコンパクト中心の「ピアース神楽坂レジデンス」(55戸)は、坪単価500万円を突破しそうだが、プランがいい。31㎡でも約3.7mスパン、41㎡で5.1mスパンだ。ドアノブはコロンボ製。
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