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2019/09/13(金) 21:57

和解、ノーサイドの道はないのか オリンピック選手村裁判 第7回口頭弁論

投稿者:  牧田司

東京都が晴海オリンピック選手村用地を民間事業者に約130億円で売却したのは「適正価格」約1,653億円(従来主張は約1,611億円)からして異常であり、妥当額との差額1,480億円(同約1,200億円)を支払うよう不動産会社11社に請求せよと原告の住民らが被告・小池百合子都知事を訴えた住民訴訟の第7回口頭弁論が913日、東京地裁で行われた。

原告側は、新たに判明した事実・数値などを論拠に、提出済みの桝本鑑定士による適正売却評価額を従来主張の約1,611億円から1,653億円と〝上方修正〟し、都が民間業者に売却した約130億円との差額も従来価格から約280億円上乗せした約1,480億円を民間業者に請求することを求めた。〝異常〟な安値で売却したのは、官民が「シナリオに基づく、綿密な事前協議のもとに実現しており、行為の違法性は明らか」と主張した。

これに対し、被告側弁護人は、桝本鑑定士による鑑定評価は鑑定士が遵守すべき鑑定手法に基づいて行ったものではなく不当であるとし、不当な鑑定手法に基づき、具体的証拠を示さず「官製談合」などと主張するのは「重大な名誉棄損」であり、「極めて恣意的かつ悪意を持った」言いがかりと反論。次回は、「網羅的かつ具体的に反論を行う」とし、次回をもって「速やかに弁論を終結のうえ、早期解決にご尽力いただきたい」と裁判長に訴えた。

次回は来年1月17日(金)15:00から、419号法廷で。

       ◆     ◇

 この裁判を傍聴するのは3回目だ。前2回と異なり、今回は最前列のやや被告側席に座り、裁判長、原告側弁護士、被告側弁護士のそれぞれの一挙手一投足を野球のスコアを付けるのと同じように克明にメモした。

女性裁判長は年代にして40代か。肩までありそうな黒髪を後ろで束ね、イヤリングは点けず、化粧などもほとんどしていないように見えた(記者は近眼&老眼)。女性らしいと言えば、黒の法衣と白いうなじから覗く小さなやや赤みがかったスカーフ(あるいはボウタイと呼ぶのか)だけだった。

原告、被告の口頭弁論が行われた約20分間、ほとんど身じろぎせず、デスクトップ(何が置かれているのか不明)を凝視し続けた。発した言葉は、双方の手続き上に関することのみで、場を和ませるジョークや私語は一つもなし。

被告側弁護士は総勢8名。うち7名は職業病と思われる老眼ではない近眼メガネ。最後尾に座った30代と思われる3名はややくたびれた、しわだらけのボタンダウンのシャツ姿だったほかは、責任者と思われる弁護士をはじめダークスーツにネクタイ。

責任者と思われる弁護士は、原告側の主張を聞きながら、余裕なのか苛立ちなのか腕を組んだり、額に手を当てたり、祈りのポーズを取ったり、指をかんだりしていた。

原告側席は前回と同じように20名以上はいた。その多くは記者と同年配か。普段着の人も多かった。責任者と思われる淵脇弁護士は黄色のシャツに黒のスーツ。もう一人の弁護士はシマウマ模様のスーツ姿。

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 どうでもいいことを書いたが、少しはこの種の民事訴訟の法廷の雰囲気を伝えられたはずだ。記者が好きなジョン・グリシャムの法廷小説のような激しいやり取りは皆無で、観客(傍聴人)を沸かすシーンもなし。時間も30分足らず。拍子抜けをするのは間違いない。

 双方の意見陳述書が配布されたので、機会を改め、できれば全文を紹介しようと思うが、以下は大まじめの記者の感想。

 双方の主張はよく分かる。このままどこまで行っても平行線だろう。決着、黒白をつける意味はあるのか。もうノーサイド、引き分けにしてはどうか-これが率直な意見だ。

 白黒をつけた場合、記者がもっとも危惧するのは不動産鑑定士の立場だ。これまでも機会あるごとに書いてきたが、不動産鑑定士の試験はものすごく難しいのに、難関を突破してもそれなりの地位・所得が保証されない。法律に違反すれば罰せられる。仕事上で得た情報は守秘義務の壁が立ちはだかる。意味不明のクライアント・プレッシャーも感じているようだ。

 今回の裁判でどちらかが勝訴(敗訴)しても、不動産鑑定は何なのかが問われる。何しろ鑑定評価額は110だ。決着をつけるより、不動産鑑定はそんなものとグレー、アンタッチャブルゾーンにしたままでいいのではないか。(被告側は桝本鑑定士を徹底して批判したが、これは公平ではない。汚点となるか名誉となるか知らないが、ならは被告側の鑑定士も名を名乗れ)

もう一つ。もう論議は尽くされた。これ以上やっても時間とカネと労力を浪費するだけだ。「官製談合」だの「名誉棄損」だの「人権侵害」だのと、たいした根拠もありそうもないのに、大口を叩く弁護士にはうんざり。

 裁判長、ここは是非とも和解勧告をしていただきたい。〝わたしがルールブック〟-従わなければ法廷侮辱罪で退場させればいい。(わが国にはそんな罪はないのか)

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