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2019/09/16(月) 18:18

オリンピック選手村裁判 原告側桝本鑑定士の意見書は証拠価値なし 被告側が意見陳述

投稿者:  牧田司

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 9月13日行われた、いわゆるオリンピック選手村裁判で、被告(小池百合子都知事)側代理人弁護士・薮田広平氏は次のように述べた。

◇       ◆     ◇

 原告らの主張及び提出した書証に多くの問題があることは、既にこれまでにも述べたところですが、今回甲92号として提出された桝本鑑定士の修正意見書にも、明確な問題・矛盾が含まれています。

 第一に、甲92号証の修正意見は、価格時点を「平成28年5月25日」とした上で、本件土地の価格の算出を行っていますが、不動産鑑定士が遵守すべき国土交通省の定める不動産鑑定評価基準運営上の留意事項(乙28号証)によれば、算出に当たって参照すべき基礎資料も価格時点である「平成28年5月25日」に近い時点において入手可能であったものでなければなりません。しかしながら、桝本鑑定士は、甲92号証の修正意見書において「令和1年7月22日時点の晴海フラッグの販売価格表」に記載された販売価格に言及する等、価格時点近辺においておよそ入手し得なかった資料を価格算定の基礎資料として使用しているため、まさに論理が破綻している上に不動産鑑定評価基準違反による算定を行ったものと言わざるを得ません。これは、桝本鑑定士の意見、そしてひいてはこれに依拠する原告らの主張かぜ根拠のないものであることを如実に顕すものです。

 第二に、原告らが甲68号証として提出した桝本鑑定士の作成にかかる不動産鑑定評価書においては、最有効使用を前提とした正常価格として、本件土地の価格を1611億1800万円と算出している一方で、甲92号証の修正意見書では、本件土地の価格を1653億2100万円と算出しています。すなわち、桝本鑑定士の価格算出結果によれば、最有効使用を前提とした正常価格よりも選手村要因に基づく様々な負担を考慮した価格の方が高く算出されているという結果となっており、これも論理的な整合性を欠いたものであり、算定のいい加減さを顕すものと言わざるを得ません。

 第三に、甲92号証の修正意見書においては、実際には本件土地上に建築が予定されている建物には大規模(合計100台以上分)もの地下駐車場が設けられることになっているにもかかわらず、この点が価格算出の基礎とされていません。地下駐車場の設置は、土地の掘削等のために多くの工事費の発生を伴うものであり、共用部分とは言え、居住部分を繋ぐ共用廊下の施工に要する工事費と同列に扱うことは出来ません。(後略)

 第四に、仮に、原告らが適正価格であると主張する価格で東京都が特定建築者に本件土地を売却することを想定した場合には、特定建築者がその取得に要する費用がおよそ1500億円増額となるため、現在「晴海フラッグ」として販売が開始されている分譲マンションの土地代込みの開発費用は、その分増加することになります。現在の「晴海フラッグ」の分譲価格でさえ「高い」という専門家の意見があるのは周知の事実ですが、これが更に大幅に高額化し、本件開発事業が事業として非現実的なものになってしまうことからも、原告らの主張のいい加減さを顕すものと言わざるを得ません。

 「晴海フラッグ」は、いわゆるオリンピックレガシーの一部として後世に残すべきものであり、これは東京都が立候補ファイルにおいて公約している事項です。そして、このような趣旨に鑑みれば、適正な価格の範囲でできる限り多くの人に購入の機会が確保されるのが望ましいものです。仮に、原告らが適正価格であると主張する価格で特定建築者に売却した場合には、この趣旨の反するものと言わざるを得ない点も、被告弁護団として付け加えさせていただきます。

 第五に、原告らは、「土地譲渡価格の90%が後払いであることが考慮されていないこと」に言及した上で、日本不動産研究所の調査報告書の内容を批判してもいますが、そもそも、不動産鑑定士が遵守すべき国土交通省が定めた「不動産鑑定評価基準運用上の留意事項(乙28号証)に拠れば、「マンション等の販売総額」と「建物の建築費及び発注者が直接負担すべき通常の付帯費用」は割り戻し計算の対象となりますが、土地価格はその計算の結果として算出される額であるため、土地の譲渡価格の支払条件を考慮して土地価格自体の割り戻し計算を行うことは許されません(略)。この点についても被告は追って詳細に主張いたしますが、桝本鑑定士の意見及びこれに依拠する原告らの主張はこの点を看過した不当なものと言わざるを得ません。

 (中略)

 そもそも、公益社団法人日本不動産鑑定士協会連合会鑑定評価基準委員会が定めた「『価格等調査ガイドライン』の取扱いに関する実務指針」によれば、原告らが主張の根拠としている修正意見書は(中略)、「価格等調査ガイドライン」の適用を受けるものとなります。ところが、当該修正意見書には、価格等調査ガイドラインの定めた必須記載事項を未記載としている問題点があります。(中略)桝本鑑定士の意見書は不動産鑑定士が作成した書面としての証拠価値を認めるには足りないものに過ぎません。

 加えて、先ほど原告ら代理人はこのような、不動産鑑定士が遵守すべき義務に従うことなく作成された文書のみをもって、本件土地の譲渡価格を「不当に低廉」と強弁し、これを実行するため東京都と事業協力者が綿密な官製談合協議を行ったなどと、再び関係者に対する重大な名誉棄損行為を行いました。しかしこれまで再三に亘り、被告からその官製談合協議が行われたことを示す証拠を提出するよう原告らに対して求めていたにもかかわらず、結局今回、原告らが提出した証拠は、第三者が作成した文書一つのみであり、相当な証拠に基づかずに原告らがこれまで名誉棄損行為に及んできたことが明白になったといえます。このような極めて恣意的かつ悪意を持った原告らの官製談合などという言いがかりは、第1回期日で被告代理人が原告らに申し上げたところですが、重大な人権侵害であり、根拠づける証拠の提出を原告らが出来ないことも明らかになった以上、即刻取り下げて然るべきものです。

 冒頭に述べましたとおり、被告は、次回、ここで意見として述べた点を含め、今回原告らから提出された主張に対して網羅的かつ具体的に反論を行うとともに、その反論の基礎付けとなる書証を提出する予定です。

 なお、原告らは、原告らとして出すべき主張及び証拠はすべて今回までに提出するとの前提の下、およそ6か月もの準備期間を経て、今回準備書面及び書証を提出するに至っているものであり、既にすべての主張及び立証を尽くしているものと理解しております。このような状況を踏まえ、裁判所におかれましては、今後提出を予定している被告の反論及び書証の提出が済みましたら、速やかに弁論を終結の上、ご判断を賜り、早期解決にご尽力いただけますよう、切にお願い申し上げます。

 

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