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2019/10/26(土) 18:14

低層住宅地に生活利便施設やサテライトオフィス可能に 東京都 用途地域指定基準改正

投稿者:  牧田司

 東京都は10月23日、新たな「用途地域等に関する指定方針及び指定基準」を施行した。

 主な改定ポイントは、①田園住居地域の指定方針・指定基準を新たに整備②活力とにぎわいの拠点等における容積率メニューの追加(容積率800%の指定を可能とする)③住居専用地域における建蔽率の緩和メニューの追加(木造住宅密集地域の不燃化に向け、地区計画の策定や新たな防火規制区域の指定にあわせて建ぺい率80%の指定を可能とする)④低層住居専用地域などにおける用途規制の緩和手法の明示(地区計画の策定などに合わせて用途規制を緩和し、生活利便施設やサテライトオフィス等の立地を推進する)-など。

 2019年2月に東京都都市計画審議会から示された「東京における土地利用に関する基本方針(都市づくりのグランドデザインを踏まえた土地利用のあり方)」の答申を踏またもので、「右肩上がりの経済成長を背景とした土地利用の規制・誘導から、将来の人口減少を見据えた安全で魅力や活力の高い都市の創出を図る土地利用へ転換」し、「個性やポテンシャルを最大限に発揮する都市機能の適正配置、国際競争力の強化、都心居住の見直し、集約型の地域構造への再編、都市づくりのあらゆる機会を捉え減少する緑地や農地を守り、増やすための取組、災害に強い都市の実現等を総合的、一体的に推進する必要がある」(同基本方針)から改定にいたったもの。

◇       ◆     ◇

 「指定基準」は総花的で60ページにも及び、従前の平成16年度施行の「指定基準」との対照表もないので読みこなすのは大変だ。

 新たに打ち出されたのは「中核的な拠点」で、地域特性に応じた都市機能の集積を図るため、中核広域エリアの商業地域では容積率800%の指定を可能とする。

 また、おおむね環状7号線外側の地域において、主要な駅周辺や身近な中心地に生活に必要な機能を集積させ、その徒歩圏に住宅市街地を誘導し、歩いて暮らせるまちへの再構築を図るとともに、駅や中心地から離れた地域では、みどり豊かで良好な環境を形成するなど、集約型の地域構造への再編を目指す。

 さらに、区市町村の創意工夫により地域の実情に応じて特別用途地域や特例容積率適用地区、高層住居誘導地区などの指定も容易にする。

 このほか、みどりの量的な底上げと質の向上量的底上げと質の向上を図るため、緑化基準を強化するとしている。

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 1低層に生活利便施設やサテライトオフィスの設置を促し、中高層階住居専用地区や特別用途地域の指定を容易にするというのは大賛成。

 ただ、平成16年の制度見直しの際に採用された土地の細分化やミニ開発を抑制する最低敷地面積の指定は一部区市にとどまっており、定めていても実効性に乏しいと思われる区は少なくないはずだ。

 木密地域の不燃化を促進するため建ぺい率80%の指定を可能としたが、建ぺい率の緩和より、空地の確保、土地の集約化を促し、再開発を容易にする容積率の緩和のほうが良好な街づくりに寄与するのではないか。

 建築物の絶対高さ規制についてほとんど言及がないのが残念だ。都の資料によると平成16年の改定により絶対高さを定めたのは3区3市、約420haとあるが、指定によって街並みがどうなったか検証していただきたい。わが国の都市計画の専門家は統一されたスカイラインの美しさを強調する。確かに高さが統一された街は遠くから眺めるにはいいかもしれないが、敷地一杯に建てられた建物が壁のように迫り、街路樹は電柱のようぶった切られ、敷地がコンクリで固められた街を歩いていただきたい。

 記者は、商業地域や近隣商業では耐火基準を満たせは100%建てられる法律を改め、道路に面した敷地に緑地・空地を確保するよう求め、その分の容積率を緩和したほうが美しい街ができると確信している。

 こんなことを書いても詮無いが、あの国立マンションの明和地所は当初、敷地内にカフェを設け、一般に開放する計画を立てていた。

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