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2019/11/28(木) 16:25

〝バラバラでアンバランス〟 ミレニアル世代に受けるか 日鉄興和不「勝どき」

投稿者:  牧田司

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「リビオレゾン勝どきnex」完成予想図

 日鉄興和不動産が10月9日に発表していることなので旧聞に過ぎるが、これまでのマンションのモデルルームの常識を根底から覆す同社の〝バラバラでアンバランス〟なコンセプトルームを体験した。ミレニアム世代の単身女性向けプランで、〝古稀〟の記者はあっけにとられると同時に〝これは受けるかも〟と直感した。

 同社のニュース・リリースをご存じない方は何のことやらさっぱり分からないだろから、まず、同社の6ページからなるリリースを要約する。

 同社が運営するシングルライフのための暮らし・住まいの研究所「+ONE LIFE LAB」(プラスワンライフラボ)は2017年12月、プランニングチーム「素敵なうさぎライフ研究所」(うさ研)を立ち上げた。

 その背景には、「既成のルールや価値観に縛られず独自の感性を持つと言われるミレニアル世代(1980年代〜2000年代序盤生まれ)の意識や生活行動は、住生活においても従来の常識を覆す新しい市場を生み出す可能性を秘めている」ことから、「これまでのマンション企画をゼロから見直すこととし」「かつて欧米から『うさぎ小屋』と呼ばれた日本の小さな家…『うさぎ小屋』ライフは、とても素敵なものにできるのではないか」という発想がある。

 「うさ研」は、「都内に居住するミレニアル世代の単身女性を対象にエスノグラフィーを中心としたリサーチを実施。その結果、自分らしい個性的な生き方を愛するミレニアルズは、画一的な枠組みに収められることを好まず、自分にふさわしい個性を住まいに対しても求める願望があることが明らかになり」「『大衆』に向けて設計された平均値発想の間取りや仕様・設備ではミレニアルズの真の期待に応えることはできない。均整のとれた汎用性を目指すのではなく、コンパクトマンションの優位性を活かして、ちょっといびつでアンバランスな個性を持つ人にぴったりな『自分らしい居場所』を作れないだろうか。そんな発想から、“アンバランスな私たちのアンバランスな住まい”『i-Be2』は生まれた」と結論付けている。

 「i-Be2」とは、私(=「i」)がもっともっと自分らしく(=「Be2」)生きられるという意味と、「いびつ(仏Baroque)」の意味を重ね合わせたネーミングだ。その結果、生まれたのが今回のコンセプトルームだ。

 コンセプトルームは、①worcube(ワーキューブ)②sportio(スポルティオ)③ambientum(アンビエンタム)の3つ。

 ①worcube(ワーキューブ)は、自宅を仕事場として使えるよう工夫を凝らしたもので、仕事場と生活感を切り離すため独立キッチンとし、床は掃除がしやすい塩ビシート、仕事道具が収まる壁面収納などとしているのが特徴。

 ②sportio(スポルティオ)は、身体を動かすことが大好きで、生活の中心にスポーツがある人向けで、玄関に土間を設け、リビングと洋室の境を取り払い、天井にはエキスパンドメタルを配し、チューブトレーニングなどができるようにし、靴など汚れものが洗えるシンクを設置している。

 ③ambientum(アンビエンタム)は、ストレスを解消し、コクーン(繭)のように〝自分に帰る場〟を提案。天井には人工(リリースは人口)天窓を設置、部屋の中でも太陽に包まれたような気分にひたるようにしている。直線部分は丸みを持たせ、床は天然板素材を採用している。

 コンセプトルームは近く分譲する「リビオレゾン勝どきnex」で体験できる。物件は、都営大江戸線勝どき駅から徒歩9分、中央区勝どき5丁目の準工業地域に位置する敷地面積約710㎡、13階建て全96戸。専有面積は25.12~32.18㎡、予定価格は2,900万円台~4,200万円台(最多価格帯3,800万円台)、予定価格からして坪単価は400万円台の前半になる模様。竣工予定は2021年2月下旬。施工は新日本建設。販売代理は伊藤忠ハウジング。

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①worcube(ワーキューブ)

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②sportio(スポルティオ)

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③ambientum(アンビエンタム)

◇       ◆     ◇

 ずいぶん長くなってしまったが、百聞は一見に如かず。「西日暮里」「月島」と同様、同業の方にも見学することをお勧めする。先に書いた同社の「月島」は、狭くて高いコンパクトに飽き足りない層をターゲットにしている。「勝どき」は逆に、専有面積を10坪(33㎡)以下に絞り、その空間を最大限に生かそうという提案だ。

 つまり、大激戦のコンパクトマンションニーズを〝独り占め〟しようという目論見が見え隠れする。

 一つ、記者からの提案。人工天窓はいい。そこまでやるのなら、さらに一歩進めて「自然採光システム」の導入を考えてはどうか。コストがかかるので大規模でないと不可能だが、マンションの立地、方位を劇的に変えるはずだ。

◇       ◆     ◇

 ミレニアル世代の分析については異論がないわけではなく、記者はリリースの通り〝バラバラでアンバランス〟なのがミレニアル世代だと思うが、果たしてどうか。弊社のミレニアル世代数人に同社の分析結果を読んでもらって、その感想を聞いた。以下がその回答だ。

 「そうかしら。わたしはちょっと違う」

 「家を買おうとは思わない。地震が怖い。マンションを買っても土地は残らない。賃貸でいい」

 「家を買うお金があったら、何かに投資・運用する」

 「旦那さんに頼るよりたくましく自立して生きたい」

 また、ミレニアル世代の男性は「高望みしないというのが我々の世代」と語り、ミレニアル世代を超えた女性はミレニアル世代を「小島よしおさんの〝そんなの関係ねぇ〟じゃないですか」と評した…これってまさに〝バラバラでアンバランス〟ではないか。

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