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2020/08/25(火) 13:38

4LDKは最高15倍 コロナ禍で驚異的売れ行き 東武鉄道他「流山おおたかの森」

投稿者:  牧田司

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「ソライエグラン流山おおたかの森」

東武鉄道など4社の電鉄(系)会社が分譲中の大規模マンション「ソライエグラン流山おおたかの森」を見学した。駅から徒歩2分の流山市最大級の全794戸の規模で、コロナ禍にあるにも関わらず3月の分譲開始からすでに280戸を成約。「これほど売れるとは」と販売担当者も驚くほどの人気で、急きょ50戸を近く追加販売する。上げ潮〝母になるなら、父になるなら流山市。〟を象徴するマンションだ。

物件は、東武アーバンパークライン・つくばエクスプレス流山おおたかの森駅から徒歩2分、千葉県流山市おおたかの森北一丁目に位置する15階建て全794戸。建物はアリーナコート・ブライトコート・カームコート・ディライトコート・エレガンスコートの5棟構成。専有面積は60.0390.19㎡。91日に抽選分譲する第250戸の価格は3,498万円~4,468万円(最多価格帯4,200万円台)、専有面積は70.1475.39㎡、坪単価は195万円。竣工予定はアリーナコート・ブライトコートが20218月下旬、カームコート・ディライトコート・エレガンスコートが20238月下旬。設計・施工は長谷工コーポレーション。販売代理は長谷工アーベスト、東武不動産。売主は東武鉄道、東急、JR西日本不動産開発、相鉄不動産。

 第1期として180戸を3月18日に販売したが、購入希望が多かったため100戸を追加。それでも足りずに第2期として50戸を9月1日に追加販売することになった。反響数は3,800件を突破している。

現地は、先に竣工したスターツが開発した集合住宅棟、ホテル・商業棟、公共施設棟の3棟からなる開発面積約11,000㎡の複合開発の隣接地。今回分譲住棟は東南東向き。主な基本性能・設備仕様はリビング天井高25002600mm、直床、ディスポーザー、食洗器など。共用施設としてゲストルーム、スタディラウンジ、パーティルーム、キッズルームなどが設置される。また、併設される複合施設には保育園、学童保育、カフェ、クリニックなどが整備される。

 販売を担当する長谷工アーベスト東京支社受託販売部門販売五部エリアマネージャー・廣林登紀子氏は、「ここまで売れるとは思っていませんでした。想定外、久々に抽選会を行いました。今回販売対象の第一工区406戸の竣工が来年の8月で、翌年の3月までに完売する予定でした。金額が高い住戸から売れているのが特徴で、もっとも広い1スパン14戸の91㎡の4LDKは最高15倍の倍率が付き、他も10倍くらいの倍率が付きました。3スパン33戸の75㎡の3LDKも残り10戸。コロナ対策のため4月、5月はモデルルームをクローズし、現在も1日マックス二十数組に来場を制限していますが、土曜・日曜は912日まで全て満席。有給休暇をとって平日に来場されるお客さんも多い。来場者の特性としては年配の方が2割弱あり、都内の荒川区、墨田区など中域からの集客もできています。このままのペースだと年内までに完売しそうです」などと話した。

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モデルルーム(この4LDKのプランは完売)

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販売事務所

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売れ行きを示す赤いバラ

       ◆     ◇

 人気の要因はもちろん駅近、大規模、価格の安さなどだ。価格を決めるのは市場だが、坪単価195万円は街の熟成度からして超割安だと思う。4,000万円台後半から5,000万円台後半の4LDK13戸にほとんど10倍以上の倍率が付いたのも、お客さんは〝安い〟と感じているからだろう。

 なぜ、これほど安いか。一つ考えられるのは供給量だ。同駅圏ではオリックス不動産他「ザ・フォレストレジデンス」(524戸)が坪単価165万円で早期完売してから現在までの十余年間で15物件約3,600戸(記者の推計)のマンションが供給されている。首都圏郊外部でこれほど供給量が多いのは他にないはずだ。にもかかわらず概ね好調に推移しているのは、それを吸収する需要があるということだが、やはり〝価格下げ〟圧力が耐えずかかることは否定できない。

 もう一つは、2017年にスターツが分譲した「クオン流山おおたかの森」(162戸)が210万円だったのが壁になっているのではないかということだ。最高立地の物件を抜くのは容易ではない。今回の物件も、戸数の多さや隣接する柏市の物件との競合などを考慮して低めに設定したと思われる。

 それにしても、コロナ禍でのこの販売スピードだ。直近の郊外型ではポラス中央住宅「ルピアグランデ浦和美園」340戸が19か月で完売したが、これをはるかに上回ることは間違いない。

 これほどまでユーザーを引き付けるのは、やはり〝母になるなら 流山市。〟(〝父になるなら、流山市。〟バージョンもある)のスローガン通り、魅力ある街として定着しているからだろう。データの裏付けもある。

 流山市の人口は約19万人で、平成23年と比較して約3万人増加している。伸び率は千葉県内ナンバーワンだ。生産年齢人口が多く、一人の女性が生涯に産む子どもの数を表す合計特殊出生率は1.67で、千葉県の1.34や全国平均の1.42を上回っている。市民の定住志向率は首都圏トップクラスの80%に達している。

 この数値がどれだけ高いか、隣接する埼玉県三郷市とポテンシャルは流山市に負けないと思うわが多摩市と比較してみる。

 三郷市の平成23年の人口は約13.3万人で、現在は約14.2万人。永住志向率は75.1%(平成30年)、合計特殊出生率は1.37(平成29年)。参考までに示すと、市内でもっとも「住みよい」とされる三郷中央地区は69.6%だ。同地区は駅周辺の商業施設が貧弱で、マンションの売れ行きも芳しくないのは業界関係者ならよくご存じのはずだ。流山おおたかの森とは雲泥の差だ。

 多摩市の平成23年の人口は約14.4万人で、現在は約14.9万人。合計特殊出生率は1.22。永住志向率は77.8%。全て流山市に負けている。勝っているのはマンションの価格水準くらいで、多摩センター駅の駅近なら坪250万円はする。

 これら数値が高いのは、井崎義治市長の手腕に負うところが多い。井崎氏は2003年、市長選に当選し長老政治を打破すると、市民自治を掲げ次々と行財政改革の手を打った。都市間競争が激化すると読み、マーケティング戦略にも熱心で、〝母になるなら 流山市。〟のキャッチフレーズで知られるように、メディアへの露出でも突出しているはずだ。今回のマンションもテレビで取り上げられた。宣伝広告費に換算したら億単位だろう。

 もう一つ。最近では珍しいタレント起用について。このマンションには元AKB48の主要メンバーで女優・前田敦子さんがプロジェクトサポーターとして物件ホームページやその他の宣伝に頻繁に登場している。

 記者は興味がないので全然分からないのだが、芸能人の動向とデパートに詳しいかみさんは「前田敦子? 評判悪いわよ。離婚の噂があったり…。どこのマンション? 東武? 東急? だから一流になれないのよ」と手厳しい(記者が言っているのではない。念のため)

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現地(「クオン流山おおたかの森」から写す)

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流山おおたかの森駅で

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