三井不動産と竹中工務店は9月29日、木造高層建築物として国内最大・最高層となる賃貸オフィスビルを中央区日本橋本町一丁目で建設する計画を進めていると発表した。
計画は地上17階建て、高さ約70m、延床面積約26,000㎡で、2023年着工、2025年竣工を目指す。三井不動産がライフサイエンス事業の拠点にしているエリアの主要な施設の一つとして設置する予定。
主要な構造部材に竹中工務店が開発した耐火集成材の「燃エンウッド」を採用し、木材は三井不動産グループが保有する森林の材など国産材を積極的に使用していく。
物件は、中央区日本橋本町一丁目3 番地、敷地面積約2,500㎡、用途は事務所、店舗、駐車場など。構造はハイブリッド木造。竣工時期は2025年の予定。
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今回の両社のニュース・リリースには「国内最大・最高層」とある。早速、三井不動産にその根拠を聞いたが、「しっかりマーケティングしているので間違いはないが、どこを抜いて国内最大・最高層なのかは他社のことなので言えない」とのことだった。ならばと、一方の竹中工務店にも聞いた。「当社の計画も含めてこれを上回るものがあるかどうかはノーコメント」(同社広報)とのことだった。なので、以下の記事は記者の推測によるものであることを断っておく。
さて、現段階で記者が「最高層」と思っている木造ハイブリッドは野村不動産の高さ約47mの14階建て「プラウド神田駿河台」だ。施工はやはり竹中工務店だ。
これに迫るのが東急不動産が今年8月に発表した高さ約45mの「(仮称)道玄坂一丁目計画」だ。同社は「鉄骨造・木造によるハイブリッド構造のオフィスとして発表されているものとしては、国内最高の階数となる13階建て」と発表した。
今回の三井不動産と竹中工務店の計画は高さ約70mなので、野村不動産も東急不動産も上回るのは間違いない。
では、このほかにこれを上回るオフィスやマンション計画があるかどうかだが、三菱地所の竹中施工の「PARK WOOD 高森」は10階建てだし、「(仮称)大通西1丁目プロジェクト」ホテルは11階建てだ。高さは不明だが、1フロア4mとしても70mには遠く及ばない。
つまり、やはり日本橋本町一丁目のプロジェクトが「国内最大・最高層」となると記者も結論を下した。間違っていたらごめんなさいと謝るほかない。
外国ではこれらよりはるかに上回る超高層建築物の計画があるが、わが国のデベロッパーの木造ハイブリッドをめぐる〝覇権争い〟が面白い展開になってきた。ゼネコンでは竹中と清水が大きくリードを奪っている。住友林業の高さ350mのW350計画はあと20年も先だ。
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