野村不動産と竹中工務店は2月27日、柱・壁などの構造部に木質系構造部材を使用した日本初の木造ハイブリッド高層分譲マンション「プラウド神田駿河台」を分譲すると発表した。
野村不動産が建築主として事業を企画し、竹中工務店が設計と施工を担当するもので、建物を構成する構造部材として木質系構造部材を使用。中層階(2~11階)には単板積層材(LVL)と鉄筋コンクリート造耐震壁を組み合わせた「LVLハイブリッド耐震壁」を、高層階(12~14階)には直交集成板(CLT2)を用いた「CLT耐震壁」と耐火集成材「燃エンウッド®」を使用する。
いずれの部材も表面を耐火被覆材などで覆うことなく木肌を現して使用し、積極的に木構造を住宅のインテリアとして視覚化している。共用部エントランスの壁や床・住戸内の天井の一部に無垢の杉材を使用し、木の温もりを演出する。
構造部材に使用される木材は全て国産材(鹿児県産スギ、山梨県産アカマツなど)を使用している。
施工を担当する竹中工務店は、中大規模建築の木造化に積極的に取り組んでおり、これまで事例は約20件ある。
物件は、JR御茶ノ水駅から徒歩5分、千代田区神田駿河台一丁目に位置する敷地面積約580㎡、鉄筋コンクリート・木造ハイブリッド構造14階建て全36戸。専有面積は48.51~79.66㎡。設計・施工は竹中工務店。竣工予定は2021年3月下旬。4月にモデルルームをオープンする。
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やったぜ!野村!快哉を叫びたい。小生は10年くらい前から森林・林業の再生、緑環境の保全に関する記事を積極的に書いてきた。CLTも応援したく、ことあるごとに取材してきた。昨年は、三菱地所が「高森」「下地島空港」「晴海プロジェクト」の3連発で話題を独占した。「下地島空港」は、飛行機が怖い小生は石垣島空港で乗り継ぎだったので離着陸合わせ8回も死ぬ思いで取材した。
野村不動産は先の「亀戸」でも全館空調を全934戸のうち872戸に採用し、全戸に二重サッシ・樹脂サッシを採用すると発表した。
これで、同社はESG経営、SDGsの取り組みで他のデベロッパーと肩を並べたどころか一歩リードしたのではないか。
三井不動産は、昨年竣工した「三井ガーデンホテル神宮外苑の杜プレミア」(施工:清水建設)の外観を本物のスギの板で覆った。
企業の優劣は、このように人にやさしい・地球環境にやさしい事業をしているかで決まる時代は掛け声ではないことを今回のニュース・リリースで実感した。
マンションの現地もよく知っている。山の上ホテルの下、つまり谷に当たりお茶の水の一等地ではない。近隣に分譲事例はないが、モリモトが4年前に分譲し、人気になった「ピアース千代田淡路町」は坪単価420万円だった。これよりはるかに高くなるのは間違いない。坪単価500万円はちょっと高いような気がするが…。人形町、築地などとの比較からすれば坪550万円もあるか。
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