日本財団は7月16日、誰もが快適に利用できる公共トイレを渋谷区内17 カ所に設置する「THE TOKYO TOILET」プロジェクトの11か所目となる「代々木八幡公衆トイレ」が完成したのに伴うメディア向け見学会・撮影会を行った。トイレの一般利用は同日から開始される。
デザインを担当したのは、プリツカー建築賞などを受賞した世界的な建築家・伊東豊雄氏で、タイトルは「Three Mushrooms」。隣接する代々木八幡宮の森から生まれた3本のキノコのようなトイレ。個室型のトイレを3つに分散させることで回遊性を生み出し、行き止まりがなく視線が抜けることで防犯性を高めているのが特徴。
伊東氏のコメントは次の通り。
公衆トイレは男性の僕でも出来るだけ利用したくないと考えていました。そこで今回、落ち着いて安心して利用できる、さり気ないデザインに是非トライしてみたいと思い、喜んでお受けしました。今回設置した代々木八幡公衆トイレは、「夜間でも女性が利用できるような安心感を抱けるトイレ」や「デザインが目立たず、さり気なく利用できるトイレ」になってほしいと思っています。
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伊東氏の人柄そのもののトイレだ。地上から上に向かって淡いブラウンから白までの7色のグラデーションのデザインは、小さな丸い折り紙を張り付けたような、あるいは点描画のような仕上げで、世も末の絶望的なあのきのこ雲でも七つの大罪でもない、背後の代々木八幡の森にしっとりと溶け込んでおり、幸せを呼び込むラッキー7のそれで、童話の世界に引き込まれそうな雰囲気を漂わせている。
記者はこれまで開設された11か所すべてのトイレを見学したが、好きなベスト3を選ぶとすれば槇文彦氏の「恵比寿東公園」、隈研吾氏の「鍋島松濤公園トイレ」、そして今回の伊東豊雄氏の「代々木八幡公衆トイレ」を挙げる。
安藤忠雄氏の「神宮通公園トイレ」は恐れ多く、外から眺めるのがいい。
佐藤可士和氏担当の恵比寿駅西口は「白」の箱 日本財団「THE TOKYO TOILET」PJ(2012/7/15)
素晴らしい槇文彦氏、田村奈穂氏、片山正通氏 日本財団 渋谷公園トイレPJ(2020/9/21)