三菱地所と三菱地所グループのロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは8月25日、「サステナブルな野菜を使ったスープ」のメディア向け発表会・試食会を行った。
野菜スープは「オニオンスープ」と「コーンスープ」の2種類。オニオンスープは皇居外苑濠から除去された水草の「ヒシ(菱)」を堆肥化し、山梨県北杜市の協力農家で栽培された玉ねぎを、コーンスープは三菱ケミカルが開発した水と二酸化炭素に分解される生分解性樹脂「BioPBS」ストローを堆肥化し、長野県諏訪郡原村で栽培されたトウモロコシをそれぞれ使用。いずれも横浜ロイヤルパークホテル総料理長・髙橋明氏が監修した。
提供するのは「ザ ロイヤルパークホテル アイコニック 東京汐留」など7か所のホテルで、期間は8月25日~10月31日(なくなり次第終了予定)。
「ザ ロイヤルパークキャンバス 銀座8」と「ザ ロイヤルパークキャンバス 神戸三宮」では9月18日と19日、玉ねぎやトウモロコシを含めた野菜のマルシェを開催する。
三菱地所グループは、2019年から「大地への恩返しプロジェクト」として皇居外苑濠から刈り取った水草「ヒシ(菱)」を堆肥化し、この堆肥を用いて北杜市で栽培された野菜を買い取った上で、三菱地所本社カフェテリアやロイヤルパークホテルズで食材として活用している。
また、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツは8月から、運営する一部ホテルの飲食店舗などで使用するストローを三菱ケミカルが開発した生分解性樹脂製品に切り替え、三菱ケミカルが行う生分解性樹脂の堆肥化プロジェクトに参加する。プロジェクトで栽培された野菜を三菱地所グループが買い取り、ロイヤルパークホテルズが食材として提供していく。
三菱地所グループは、「三菱地所グループのサステナビリティビジョン2050」で「Be the Ecosystem Engineers」というスローガンを掲げ、都市と地方が継続的な共生関係を維持するための新たな資源循環(サーキュラーエコノミー)の実現を目指す取り組みを行っており、今回の一連のプロジェクトもその一環。
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記者は、お湯を注ぐだけでいい粉末スープは自宅でよく飲んでいる。文句など言ったことはない。ありがたく頂いているが、自分から進んで飲みたいと思ったことはない。レストランなどでも同じだ。
今日頂いた2つのスープは今まで飲んだスープとは天と地ほどの差があるおいしいものだった。記者などはこのスープと酒と多少のつまみがあれば何もいらない。素材の良さを引き出した髙橋さんの腕の凄さを見る思いがした。
取材の帰り、「認証ワイン」でも買って帰ろうとレストランに寄ったら、販売はまだだった。担当者の方は「フェアトレード認証コーヒー」についても話された。価格は2,000円くらいになるという。これには驚いた。ラグジュアリーホテルでも1,500円くらいのはずだ。なぜそんなに高くなるのかについて、担当の方は「現地で働く人が適正な報酬を受け取り、安定的に良質な商品を提供するにはそれくらいコストがかかるということです」と語った。
なるほど。記者も昨年からSDGsのバッジをつけるようにしているが、まだまだ甘い。記者もそうだが、読者の皆さんは1杯2,000円のコーヒーが飲めるだろうか。17のゴール到達への道のりは平易ではない。それでもSDGsの取り組みを加速させようとする同社の姿勢はさすがというべきか。
使用済みの生分解性樹脂ストローを堆肥に利用し、今年10月に開業する国内初の高層ハイブリッド木造の「サ・ロイヤルパークキャンバス札幌大通公園」では、歯ブラシ、シェイバー、ヘアブラシなどのアメニティの一部はもみ殻を原料にしたものにするというのもとてもいい取り組みだ。
この点について、ロイヤルパークホテルズアンドリゾーツ・仲條彰規副社長は、「SDGsの認識は急激に高まってきたが、業界全体としての取り組みは緒に就いたばかり。排水を再利用したり食材などをコンポストにしたりすることは進んでいるが、生分解性樹脂ストローを堆肥にするのは当社だけではないか」と話した。
環境省は先日、6月にプラスチック資源循環促進法が成立したことを受け、大量の使い捨てプラスチック製品を扱う業者に対して、削減策を義務付けることを決定した。対象となるのはホテルのクシや歯ブラシなどのアメニティも含まれる。
発表会でも少し話題となった山梨県北杜市の「空と土プロジェクト」は2度取材している。機会があったらまた行ってみたい。
三菱地所CSR「空と土プロジェクト」10周年 純米焼酎「大手町」販売など活動強化(2017/9/9)