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2021/11/04(木) 10:28

「目指すは企業価値の向上」タカラレーベン・髙荒美香氏 女性活躍の視点から注目

投稿者:  牧田司

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髙荒氏

 企業価値の向上-タカラレーベンは今年4月1日付で従来の機能別組織体制を事業別組織体制へ変更し、新たに事業開発推進室を設置し、室長には同社取締役兼執行役員の髙荒美香氏が就任した。髙荒氏は、「中長期的な視点に立ち、マンション購入者のほか社員とその家族、株主などすべてのステークホルダーの『幸せ』を追求し、企業価値を向上させるのが私のミッション」と語った。

 同社の組織改編の目的は、1972年9月に板橋区に「宝工務店」を設立してから来年で創業50周年を迎えるにあたり、次の50年、100年先を志向した組織体制を構築するため。従来の営業本部・開発本部・建築本部・投資開発本部・総合企画本部の5本部体制から、4月1日付でマンション事業本部・投資開発事業本部・エネルギー事業部・管理本部・事業開発推進室・経営企画本部の6事業本部体制へ移行した。

 髙荒氏にインタビューを申し込んだのは、これまでマンション営業本部副本部長として活躍されてきた同氏が何を語るかに興味があったからだ。

 髙荒氏の答えは簡潔明瞭。「企業価値の向上」だった。部署が新設されてからまだ半年しか経過していないが、「これまでマンションの営業、広告、インテリアなどを手掛けてきた経験を生かし、各部署とのつなぎ役としてブランディング、グッドデザイン賞の獲得など社会的評価を向上させるクリエイティブな提案をしていく」と語った。

◇       ◆     ◇

 答えは想定内だった。ひょっとしたら新規事業を立ち上げるのかもしれないと思ったが、それも含めて検討しているようだ。

 当面は、グッドデザイン賞の獲得を目指し積極的に動くようだ。同社が同賞を受賞したのは2013年の太陽光発電「ソラパワ」が初で、その後2021年までに19件受賞しているが、全て髙荒氏が関わったものだ。2021年の「レーベン検見川浜GRANVARDI」もその一つだ。この物件は記者も取材している。大激戦の総武線・京葉線の中で圧倒的な売れ行きを示した物件で、モデルルームデザインが秀逸だった。

 記者は、髙荒氏こそが同社のマンション商品企画とブランディング、広告・インテリアを一変させた最大の功労者だと思っている。その軌跡を読者の方にもたどっていただきたく、関連する記事を添付した。ぜひ読んでいただきたい。

 最初にお会いしたのは10年前の驚天動地、疾風怒濤の「非日常」を演出した「レーベンリヴァーレシュアレジデンス駒込」(記事は「ディプティエレメンツproject(仮称)」)だった。

 これを「髙荒モデル」とするなら、あれから10年、同社のすべてのマンションがそうなった。インテリアだけでなくパンフレットに英語(アルファベッド)を取り込んでデザイン化したのも同社だ。

 記者はそのデザイン力、情報発信力の凄さや髙荒氏のファション・身なりなどから「女性活躍」の旗手としての期待を込め〝業界のレディ・ガガ〟と紹介した。アクセスが殺到した。髙荒氏関連の記事は全て3~4千件に達している。

 その後「女性活躍」では、野村不動産・宇佐美直子氏、コスモスイニシア・岡村さゆり氏、フージャースコーポ・友野珠江氏、東京建物の女性社員からなるプロジェクト「Bloomoi(ブルーモワ)」、サンケイビル・佐々木ゆかり氏、積水ハウス・河崎由美子氏などを紹介したが、これらの記事も全て数千件の反響があった。

 それだけ「女性活躍」は関心が高いからだろうが、記者はこの言葉にずっと腑に落ちないものを感じている。なぜか。「女性活躍」に続く動詞は自動詞の「する」なのか、それとも助動詞の「させる」なのか。自動詞なら女性自身が自らを叱咤激励する意味で「活躍する」「活躍しろ」という用法もあるだろうが、どちらかといえば男性の側からの「活躍させない」「活躍させろ」などという用法が圧倒的に多いのではないか。

 これは、男性社会だから当然といえば当然だが、女性の側から見れば、「活躍する」「活躍しない」は自分の勝手で、十分活躍している女性にとっては「活躍しろ」などと言われるのは大きなお世話で、男性に向かって言いたい言葉ではないか。

 「女性活躍」を「男性活躍」に置き換えればよく分かる。男性も必ずしも活躍できる社会・職場環境ではないが、多くの男性は〝これ以上働けというのか〟〝俺は十分活躍している〟などと怒り出すのではないか。

 記者のように「女性活躍」に違和感を覚える人はいるようだ。ネットで調べた。すぐ「女性活躍と聞いたとたん、気持ち悪いって思う。その前は『女性が輝く』だったでしょう。こちらも気持ち悪い。女性を男性に置き換えてみるとわかる。『男性活躍』『男性が輝く社会』って言葉って、どうか。気持ち悪いでしょう」(MASHING UP Equality 2020/6/29)という発言がヒットした。社会学者の上野千鶴子氏だ。「女性活躍」「男性活躍」とも気持ち悪いと感じる女性は少なくないようだ。

 ではどのような言葉が適当か。記者は、今も昔も女性は活躍しているのだから、改めなければならないのは男女差別・格差だと考える。「機会均等」「共同参画」というのも何だか変だ。ストレートに「(女性との)差別をやめよ」といえばいい。さらに言うならば「(女性に対して)虚勢を張るな」「(女性に)負けるな」「それでも男か」という言葉がぴったりのような気がする。

 しかし、かくいう記者も女性蔑視の考えが身に染みている。戒めているつもりでもそれは行動や言葉に現れる。

髙荒氏のインタビューでも出た。記者は「ある女性が役員になった途端老けた」と喋ってしまった。髙荒氏はすぐ反応した。「そうでしょ。男性は老けても〝貫禄がついた〟と言われるのに、女性はそれが許されない。あなたたちの年齢の男性はいつまでも吉永小百合さんを追い求めるし、もう少し低い年代の男性は黒木瞳さんを理想形にする」と。

 これには返す言葉がなかったのだが、「失敗しない女? 誰でしたっけ。彼女は好かれているんじゃないですか」と聞いたら、「米倉涼子? あれだと相当嫌われてしまいますよ」と言い返された。「…」

 脱線ついでだ。記者は髙荒氏が担当した最初の「巣鴨」を取材したとき、〝若い女性に同社初の高額マンションのモデルルームを任せていいのか、村山さんも島田さんもよくぞ認めたものだ〟と正直思った。

 これは誤っていたら謝るほかないのだが、記者の見立て。例えが適当かどうか分からないが、髙荒氏は野球の投手で言えば、剛速球できりきり舞いさせるタイプではない。足りないストレートの力を補う変化球やブラッシングボールを交え、丹念にコーナーに投げ分けるタイプだ。柔道なら寝技に持ち込み、相手が〝参った〟というまでぐいぐいと締め上げるのではなくて、相手の力を利用し鋭い切れ味で投げ飛ばすタイプだ。

 柔よく剛を制す-こんな言葉がぴったりだ。記者は髙荒氏にぜひとも男社会の縦社会の同社の組織に横串を刺していただきたい。試されるのは全ての社員だし、島田社長の舵取りだ。危険球をよけ切れず昏倒するのか、受けを間違い骨の一つや二つを折るのか。成否は全てのデベロッパーにも影響を及ぼすはずだ。それくらい今回の同社の機構改革・人事異動の意味は大きいと思う。3年後くらいにまた取材したい。

 髙荒氏は2000年1月、同社入社。2014年4月、同社営業本部営業統括グループ長兼営業推進部長兼営業企画室長。2015年4月、同社執行役員 営業本部 営業統括グループ統括部長兼営業推進部長兼業務部長、2016年6月、同社取締役兼執行役員営業本部 営業統括グループ統括部長兼営業推進部長 兼 業務部長、2018年4月、同社取締役兼執行役員 営業本部 営業統括グループ統括部長を歴任 。2021年4月、同社取締役兼執行役員 事業開発推進室室長兼事業開発推進部部長に就任。

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