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2022/05/13(金) 15:49

民主主義は死滅した 千代田区のイチョウ伐採 続またまた「街路樹が泣いている」

投稿者:  牧田司

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神田警察署通りⅡ期道路整備区域のイチョウ(左は「テラススクエア」の公開空地の樹木)

 千代田区の神田警察署通りⅡ期道路整備では、少なくとも2020年12月の段階で区はイチョウ30本を伐採することを決めており、第17回神田警察通り沿道整備推進協議会でその旨を報告し、了解を得たとしている。2021年9月21日開かれた企画総務委員会の議事録には、事前に住民に諮ることなく、議会で論議もしないで決定したことがはっきりうかがえる。

 この問題について、最初の記事で「プーチンのウクライナ侵攻と変わりないと言ったら失礼か」と書いたが、全然失礼に当たらないことが分かった。民主主義は死滅しつつあるのか、既に死んだのか。そもそもが幻想なのか。

 以下、企画総務委員会のやり取りを紹介する。

 〇大串副委員長 私が不思議だなと思うのは、この根拠としている沿道ガイドラインのゾーン別の将来像が書かれています。そこには街路樹も明確にうたっていますよ。今回のII期工事は、最初のゾーンですよね。既存のイチョウ並木を保全、活用するんだというのが、この沿道ガイドラインには書かれている。この沿道ガイドラインを根拠としてこの工事をやるんだというんだけれども、何でこのイチョウの並木を切ってしまうの、街路樹を。立派な樹冠が形成されているんですよ。どうなんですか。

 ◯須貝基盤整備計画担当課長 まず、ガイドラインのほうには、大串委員おっしゃるとおり、そのように書かれてございます。我々もそういうことで検討していったんでございますが、やはり当初の目的の自転車走行空間、そして、歩道を拡幅して、歩行者空間を確保していくと。そういうことを達成していくためには、今ある街路樹がその位置にあると整備ができないというところから、そして、このガイドラインにつきましては、この1ページのところに、本ガイドラインは、今後の地域の方との協議やまちづくりの動向を踏まえ、必要に応じて発展、改良していくことを想定していますと、そういう記載がございます。 そして、昨年の12月2日ですね、第17回協議会におきまして、ガイドラインの趣旨については達成できたものと考えて、(伐採を)協議会の中で確認したところでございます。

 ◯大串副委員長 昨年の12月の協議会で、切ることが決定したと。じゃあ、その時点で、そういう案が出たなら、その出た段階で、まず、ガイドラインを、これ、書き換えてくださいよ。今もこのままホームページに載っている。

 ◯須貝基盤整備計画担当課長 大串副委員長のおっしゃるとおり、確かにガイドラインを協議会の中で議論を交わして変わったということで、それに関しては、おっしゃるとおり、周知をしていくべきだったと思っております。遅まきながらですが、ホームページのガイドラインにつきましては、先週、実は更新をしたところです。申し訳ございません。

◇        ◆     ◇

 ガイドラインとは、区が平成25年3月に制定した「神田警察通り沿道賑わいガイドライン」のことで、当初は「豊かに育った既存の街路樹を活用する(白山通りのプラタナス、共立女子前のイチョウなど)」となっていたのを「豊かに育った既存の街路樹を活用する(白山通りのプラタナス、共立女子前のイチョウ)」と「など」を削除した。

 「など」を削除したことについて、区は朝日新聞(2022年1月27日付)の取材に対し「協議検討の結果、ガイドラインと違った形になることがあり、その都度改定はしない。今回はガイドラインと違うという指摘が多々寄せられたため、誤解を招くおそれがあるので『など』を削除した」とある。

 「等」は法律やビジネス文書でもよく用いられる。例えば建築基準法。同法には「国の機関の長等」「建築主事等」「避難施設等」「確認審査等に関する指針等」「がけ崩れ等」「「木造建築物等」「防火壁等」「住宅等」「津波、高潮、出水等」「都市計画区域等」「用途地域等」などの「等」は600か所以上登場する。これらは用語の概念をあいまいにするのではなく、むしろ例示しているほかのものにも法律で縛る役割を果たしている。「等」とは何かを省令、施行令で詳細に定めているケースが多い。都合のいい文言ではある。

 今回の千代田区のケースはその逆だ。既存樹を活用するのは白山通りのプラタナスと共立女子前のイチョウのみで、神田警察通りⅡ期以降はイチョウなどの巨木を全て伐採する意思を明確に打ち出したと理解できる。

 ガイドラインは区も住民も縛る法律とほとんど同じだ。それを区は一方的に放棄した。これまで頻繁に行われてきた過去の歴史を塗り替えることと同じだ。

 区の道路公園課は5月11日、記者の「第三期以降も街路樹を伐採されるのか(第三期はケヤキがかなり多い)」との質問に対し「伐採の予定です」と回答した。

◇        ◆     ◇

 この問題について、片山善博氏は「世界」(岩波書店)6月号の連載コラム「日本を診る」で、「全国あちこちに見られる、議会本来の役割を果たさない議会の一つ」と切り捨て、「どうして、区議会は予算審議の過程で伐採に反対する住民の意見を聴かなかったのだろうか」と疑問を投げかけている。

 議会関係者や千代田区はこの片山氏の声をどう受け止めるかだが、令和4年3月17日行われた区議会企画総務委員会での大串副委員長の発言を紹介する。

 ○大串副委員長 これは検討というよりも、既に千代田区のこの意見公募、手続要綱にやりなさいともう定められているんだよ。本当はやらなくちゃいけなかったことをやってこなかったんだよ…工事の看板が出て、初めて知るんですよ。こんなかわいそうなことはないよ。だから、僕は、まちづくりを行政から住民に返してくださいと。千代田区のやり方だけが何かちょっとおかしいんだよな。(「そうだ」と呼ぶ者あり)ここに手続要綱を定めながら、それを1回もやってこなかったというのは、まちづくり部だけですか。僕は、それを、あの予算の審議のときに間違った報告というかな、答弁をする。それから、1月8日の住民説明会での資料も頂きましたよ。そのとき、説明会で区側は何と言っていたか。神田警察通り賑わいガイドラインを前段として、区民参画の協議会とパブリックコメントの場を通じてオーソライズしてきたと。これはどうなんですか。うそじゃないんですか。住民に向かってきちんと説明しなくちゃいけない説明会において、うそを言ったらいかんよ。公務員はそんなことをやっちゃいけないんだよ。(「そうだ」と呼ぶ者あり)だからこそ、住民の間で要らないトラブルというかな、対立を生むきっかけは行政側にあるんだよ。十何年間積み上げてきたと言うけれども、その間、1回も議事録を公開せず、説明会も行わない。パブリックコメントも行わない。これで何で十何年積み上げてきたなんてよく言えますよ。(拍手)入っている協議会の人だけしか知らないんだよ。(中略)今のこの神田警察通りII期工事のイチョウ32本の伐採について、伐採しなくてはならないという合理的な理由もなかった。また、ここに至るまでの適正な手続を欠いていた。

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Ⅱ期の区域内にはこのような公開空地が2か所ある

 

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